2017/04/09

東芝がウェスチングハウスをコントロールできないことが勝利の決め手だった?

東芝によるウェスチングハウス買収が決定した2006年当時の報道では、三菱重工とGEの提示額をはるかに超える50億ドルを東芝が提示した。
Mitsubishi made an offer of more than $2.5 billion for Westinghouse last summer, and The Wall Street Journal reported last week that G.E. and Hitachi had teamed up to make a $3.5 billion bid. But Toshiba made a last-minute, higher offer, the person said.

三菱重工は昨夏、ウェスチングハウスに25億ドルを提示していた。Wall Street Journalの先週の報道によれば、GEは日立と組んで35億ドルで入札した。しかし、この取引の関係者によれば、東芝は最後に、さらに高い価格を提示した。

[Toshiba May Buy Westinghouse for $5 Billion (2006/01/23) on NY Times]
このとき、ウェスチングハウスは技術的にも重要な企業だと、米国と英国では考えられていたようだ。
The decision has upset British critics who believe that the country might need Westinghouse's expertise in the event of the government giving the go-ahead - as expected - to build new reactors. A sale to Toshiba is also likely to attract strong opposition in Washington, where politicians including President George Bush have been lobbying to put Westinghouse under the control of a US firm such as General Electric.

この決定は、「新たな原子炉建設を英国政府が承認したときに、英国はウェスチングハウスの専門性を必要とすることになるだろう」と考える英国の批判者たちをいらだたせた。東芝への売却は、「ウェスチングハウスを、GEのような米国企業のコントロール下に置く」ようにロビー活動をしていた、ジョージ・ブッシュ大統領などのワシントンの政治家たちの強い反対を集めることになりそうだ。

[Toshiba to buy BNFL's Westinghouse (2006/01/24) on The Guardian]
このような見方は、当時の日本でも同様のようで、たとえば...
世界の原発業界では、加圧水型の仏アレバと沸騰水型のGEが2強。三菱重工首脳は「WHを買収すれば、アレバと肩を並べ、3強の一角を担えるようになる」と読む。一方、東芝がWHを買収すれば、沸騰水型と加圧水型の双方を手がけることになる。「東芝・GE連合がアレバとの差を広げ、圧倒的優位に立つ。三菱重工はアレバなどと提携しなければ、海外事業は難しいだろう」(関係者)国内の原発新設は今後も大きな伸びは期待できない。三菱重工と東芝は海外に活路を求めたが、勝ち残りのカギはWH買収の成否が握っている

[原発の業界地図、激変か 三菱重、東芝参加へ 米ウェスチングハウス最終入札 (2005/12/23) on 朝日新聞]
ウェスチングハウス買収は、価格はともかくも、買収自体は間違いどころか、ポジティブに評価されるべきことのように見える、

ところで、ブッシュ大統領を含む米国政府がGEを支援したにもかかわらず、BNFLが売却先として東芝を選んだ理由として、情報源は匿名だがFinancial Timesによれば...
GE and Mitsubishi were seen initially as the frontrunners in the battle for Westinghouse. This month, Carlos Gutierrez, UScommerce secretary, wrote to Alan Johnson, UK trade and industry secretary, in support of GE's bid, and George W. Bush, US president, even lobbied Tony Blair, UK prime minister, on behalf of GE, according to media reports.

A person close to the deal said Toshiba was favoured because BNFL believed it was the most likely candidate to allow senior Westinghouse management to run the business on its own with minimal interference from its new corporate parent.

GE was seen as having a more aggressive corporate culture than Toshiba, which could have harmed Westinghouse's chance of winning a Chinese nuclear reactor contract, the person said.

GEと三菱重工は当初は、ウェスチングハウス買収のフロントランナーと見られていた。今月(2006/01)、
米国商務長官Carlos Gutierrezは、英国通産事務次官Alan Johnsonに、GEの支援を依頼した。メディアの報道によれば、GEに代わってジョージ・W・ブッシュ米国大統領はトニー・ブレア英国首相にロビー活動をした。

取引に深いかかわりのある人物によれば、BNFLは東芝が「新たな親会社からの最小の介入で、ウェスチングハウスの上級経営陣に独自経営をさせる可能性が最も高い候補である」と考えて、東芝を選好した。「GEは東芝よりもアグレッシブなコーポレートカルチャーだと見られており、それがウェスチングハウスの中国の原子炉契約獲得の機会を損ねる」とその人物は述べた。

[Toshiba wins Westinghouse with $5bn bid (2006/01/23) on Financial Times (archive)]
GEはウェスチングハウスの経営に介入すると見られ、それが本命と思われたGE(と日立の連合)が敗れた理由だと言う。

これは2016年末から報道されている「東芝はウェスチングハウスの経営をコントロールできていなかった」ことにつながる。

posted by Kumicit at 2017/04/09 14:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017/03/14

人生に意味を与えるUFO

エイリアンアブダクションは、宗教的体験のようなもので、人生に意味を与えるものだという心理学の示唆がある。

エイリアンアブダクティたちの心理研究と(それの一般向け解説書)で知られるDr. Susan A. Clancyは、その本の出版の際して、エイリアンアブダクションは宗教的体験と同様なものではないかとコメントしている。
Yet abduction narratives often have another, less explicit, dimension that Dr. Clancy suspects may be central to their power. Consider this comment, from a study participant whom Dr. Clancy calls Jan, a middle-age divorcée engaged in a quest for personal understanding: "You know, they do walk among us on earth. They have to transform first into a physical body, which is very painful for them. But they do it out of love. They are here to tell us that we're all interconnected in some way. Everything is."

At a basic level, Dr. Clancy concludes, alien abduction stories give people meaning, a way to comprehend the many odd and dispiriting things that buffet any life, as well as a deep sense that they are not alone in the universe. In this sense, abduction memories are like transcendent religious visions, scary and yet somehow comforting and, at some personal psychological level, true.

Dr. Clancy said she regretted not having asked the abductees she interviewed about religious beliefs, which were not a part of her original research. The reader may regret that, too. The warmth, awe and emotion of abduction stories and of those who tell them betray strong spiritual currents that will be familiar to millions of people whose internal lives are animated by religious imagery.

エイリアンアブダクション事件には、別の、あまり明白ではない面があり、Dr. Clancyはそれらの力のが中心となる可能性があると考えている。Dr. ClancyがJanと呼ぶ、個人的理解を求めている中年の離婚者である、研究の被験者の証言を考えてみよう。「知っての通り、彼らは地球上を我々とともに歩いている。そのために彼らはまず、物理的肉体に変容する必要があるが、それは彼らの取っては非常に苦痛である。しかし、彼らはそれを愛のために行っている。、何らかの形で我々はつながっていると、伝えるために、彼らはここにいる。」

Dr. Clancyは基本的なレベルで、「エイリアンアブダクション事件は人々に『人生を打ちのめす、多くの奇妙で忌まわしいものの意味、あるいはそれらを理解する方法』を与えるものであり、『彼らが宇宙で一人ではないという深い感覚』を与えるものである」と結論している。

Dr. Clancyは、もともとの研究には含まれていなかった、インタビューしたアブダクティたちに、宗教的信念についても質問しておくべきだったと考えている。本の読者たちもそうだろう。エイリアンアブダクション事件とそれを語った人々の、温かさや畏敬の念や感情は、強い霊的な流れを示すものである。そのような流れは、宗教的なイメージによって内面的生活を高めている何百万人もの人々によく知られているものである。

[Benedict Carey: "Explaining Those Vivid Memories of Martian Kidnappers" (2005/08/09) on NY Times]


心理学者Dr. Stephen A. Diamondは、人生に意味を与えるものとして、人々はUFOを必要とすると論じる。
Myth is how we attribute meaning to our existence and experience--no myth, no meaning. Myth is a way of looking at the world, the cosmos, ourselves and our place in and relationship to reality. UFO's, in this sense, are very much part of our collective mythology, both past and present. ... As with all natural or metaphysical phenomena, once science dissects, analyzes and mechanistically explains such mysteries, their numinous, spiritual, potentially healing power is deadened or lost. Like religion, faith in the reality of UFO's provides something to believe in for many in need of more meaningful lives. Today, in a time of cultural chaos and economic crisis, when many are prone to lose or question their faith, sense of purpose, and capacity to find life meaningful and worth living, we may need UFO's--whatever their origin, nature, enigmatic mission or psychological meaning may be--more than they need us.

神話は、我々の存在と経験に意味を与えるものである。神話がなければ意味もない。神話は、現実及び現実との関連における、世界や宇宙や我々自身や我々の場所を見る、一つの方法である。この意味で、UFOはまさしく過去と現在の両方の集団的神話である。...すべての自然現象と形而上学的現象とともに、科学がそのようなミステリーを解体・分析・機械論的に説明してしまうと、それらのミステリーが持つ、数えきれない精神的あるいは潜在的な治癒力が失われる。宗教と同様、UFOが存在するという信仰は、意味のある人生を必要とする多くの人々に対して、信じるべきものを提供する。文化的カオスと経済危機の時代においては、多くの人々が信仰や、目的感や、意味や価値ある人生を見出す力を失ったり疑問に思ったりする。そのとき、その起源や性質や謎のミッションや心理学的意味合いが何であれ、UFOが我々を必要とする以上に、我々がUFOを必要とする。

[Stephen A. Diamond Ph.D.: "UFO's, Close Encounters, and the Cry for Meaning" (2010/10/17) on PsychologyToday]



posted by Kumicit at 2017/03/14 08:33 | Comment(1) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

UFO統計

UFO_awesomeというUFO目撃のopen dataがある。
年別に推移を見てみると、1995年以降急増。これはネットでの情報収集が容易になったことによるかも。
UFOannul.png

UFO映画は1950年あたりから年数本製作されており、直近に増えているわけではない。
UFOmovies.png

UFO目撃は6〜8月に多く、曜日では土日。暇な週末、夜の外出がしやすい季節に多い様だ。
DayOfWeekUFO.png
MonthUFO.png

UFO目撃件数と月齢にはあまり関係が見られない。満月と新月で少し差異はあるが、ささやか。
MoonUFO.png

UFOの形状には少し流行があるようで、1950年ころは人気のあった円盤(Disk)が人気を落とし、光(Light)の人気が高まっている。
FormDecades.png

UFO目撃情報の大半は米国。収集言語が英語であることも影響していると思われるが、やはりUFO流行の地であることが大きい。
posted by Kumicit at 2017/03/14 08:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017/01/30

2011年9月20日

2011年9月11日のテロから9日後、George W, Bush大統領(当時)は、演説の中で、米国 内及び友好国のイスラム教徒は米国の敵ではないと述べた。
I also want to speak tonight directly to Muslims throughout the world. We respect your faith. It's practiced freely by many millions of Americans and by millions more in countries that America counts as friends. Its teachings are good and peaceful, and those who commit evil in the name of Allah blaspheme the name of Allah. The terrorists are traitors to their own faith, trying, in effect, to hijack Islam itself. The enemy of America is not our many Muslim friends. It is not our many Arab friends. Our enemy is a radical network of terrorists and every government that supports them.

私は今夜、世界のイスラム教徒たちに直接話しかけたい。我々は皆さんの信仰に敬意を持っている。幾百万の米国人が自由に信仰しており、米国の友好国の幾億の人々が信仰している。 その教えは良きものであり、平和的であり、アッラーの名によって悪を犯す者は、アッラーの御名を冒涜している。テロリストたちは、イスラムを実質的に乗っ取ろうとする、自らの信仰の裏切り者である。米国の敵は、我々の多くのイスラム教徒の友人たちではない。敵は我々の多くのアラブの友人たちではない。我々の敵は、テロリストのラジカルネットワークであり、それを支持する諸国政府である。

[George W. Bush Addresses Muslims in the Aftermath of the 9/11 Attacks (2001/09/20) via ian bremmer]
「 アッラーの名によって悪を犯す者は、アッラーの御名を冒涜している」と述べたところで、拍手が起こる。

今や、このような保守エスタブリッシュメントの主張は、共和党支持者の怒りを買うようになってきている。その数が、共和党支持者の過半数に達しているなら、共和党の連邦上下院議員たちは、Bushではなく、Trumpのように振る舞わなければ、予備選を勝ち抜けなくなる。

そして、今のところ、共和・民主・中立あわせたTrumpの仕事支持率はこんなところなので、共和党議員がBushのように振る舞うのは、次の選挙を考えれば得策ではないだろう。
Galluptrump.JPG
[Gallup Daily: Trump Job Approva]
posted by Kumicit at 2017/01/30 05:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016/08/06

180年くらい歴史がありそうな都市伝説「ブアメードの血」

昨日の続き...

出版年代が1835年と表示されるフランス語文献を見つけた。
Imagination1835a.PNG
Imagination1835b.PNG
Imagination1835c.PNG

IMAGINATION. Faculté de se retracer vivement les choses absentes et d'en produire de nouvelles par association, par combinaison et par production. L'analyse psychologique de l'imagination, le rôle éminent qu'elle joue dans les sciences, les lettres, les arts, l'induslrie et les circonstances les plus ordinaires de la vie, ne nous occuperont pas dans cet article, nous devons circonscrire notre sujet dans le point de vue médical; c'est- à-dire l'influence de l'imagination sur l'organisme, et d'autre part l'influence de l'organisation et des agents physiques qui la modifient, sur l'imagination elle-même.

想像力: 足りないものを素早く見つけて、新しいものを連想や組み合わせや作成によって作り出すこと。我々の生活の最も普通の部分である科学や人文学や芸術や産業などで重要な役割を果たす想像力の心理学分析は、ここでは取り上げない。ここでは医学的見地のみを取り扱う。すなわち、想像力の身体への影響と、器官や身体変化を生じさせるものの創造力への影響と、想像力自体についてである。

On annonce à un criminel condamnê à mort que sa derniêre heure est venue, mais qu'on adoucira le supplice de l'arrêt irrêvocable en lui ouvrant une veine aux quatre membres. On lui bande les yeux, on pratique quatre piqûres sur lesquelles on fait doucement jaillir un filet d'eau, et le malheureux, que tout, autour de lui, confirme artificieusement dans une illusion funeste, ne doute pas qu'il ne perde tout son sang. L'effroi de la mort qui a glacê son àme, enchaine bientôt les mouvements du corps, la respiration se ralentit, le coeur cesse de battre, on appelle au bout de quelques minutes, et le cadavre ne rêpond pas.

死刑宣告を受けた犯罪者は、死刑執行の時が来たが、四肢の血管を開くことで刑執行の苦痛を緩和すると告げられた。目隠しされ、四肢を刺され、そこに緩やかに水が流れ、彼の周りはすべてが、疑いようもなく血液が流れ出るという、死に至る幻想を彼に信じ込ませた。

Un malade touche à sa fin, le dêsespoir s'est joint à la maladie pour conspirer sa perte. Un mêdecin cêlêbrem un remêde superstitieux raniment l'espêrance, et le malade ressaisit l'existence prês de s'envoler. Qui est-ce qui a opêrê ces prodiges? C'est l'magination. Elle est done bien puissante cette facultê, qui peut tuer et rappeler à la vie!

患者は最期のときに、病気に絶望が重なって死に至る。迷信な治療で希望を呼び覚まし、患者が死の瀬戸際から回復するのを、医師は祝う。これらの驚異に働いたのは何者か?それは想像力である。想像力は力強く働き、人の生命を奪い、回復させる。

["Dictionnaire de medecine usuelle et domestique, ou sont exposés avec clarté et dans un langage dépouillé de termes scientifiques, Volume 2" (1835), p109]
これまでの文献と同じく、場所や時期の記載はない。「死刑囚・目隠し・血液だと思い込ませるための水」など基本設定は他の文献と同様。傷は四肢(quatre membres)とされる。

なお、「ブアメード」の旅路は以下の通り:

出典人名場所年代針の場所固定場所流出したと信じた量
Dictionnaire de medecine (1835)---四肢--
Laws of Health (1878)-フランス-台(table)-
The Cincinnati Lancet and Clinic (1880)-----
Daniel Hack Tuke (1884)-----
Lancet (1886)---台(table)- (6分後)
Items of Interest (1886)---台(table)- (6分後)
Chambers's Journal (1887)------
Chambers's Journal, Volume 64 By William Chambers, Robert Chambers (1887)-フランス(の医師)数年前(ナポレオン3世の許可)台(table)- (6分後)
Columbus Medical Journal (1889)------
Rochas 1887-英国前世紀7-8パイント
Flammarion (1900)[F]-コペンハーゲン1750台(table)7-8リットル
Flammarion (1900)[E]-英国前世紀台(table)7-8クォート
フラマリオン 著 ; 大沼十太郎 訳(1924)-英國先世紀テーブル六、七升
Toledo News Bee (1922)-英国の医科大学-心臓近くの皮膚手術台-
St. Petersburg Times (1926)-フランス(の医師)数年前動脈台(table)- (5分)
Arthur Brisbane (1930)---裸足の裏全体椅子-
谷口雅春 (1932)--或る時頸部椅子全身の血液の三分の二
PHILADELPHIA NEUROLOGICAL SOCIETY (1935)-インド(の医学誌)-四肢の先端台(table)-
谷口雅春 (1962)--あるとき頸椎椅子全身の血液の三分の二
広告屋のネタ帳 (1998)-アメリカ----
笠巻勝利 (1999)ブアメードオランダ1883足の親指ベッド全身の1/3
長谷川淳史(2000)ブアメードヨーロッパのある国第2次大戦前足の全指ベッド全身の10%


posted by Kumicit at 2016/08/06 11:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする