2006年04月30日

複数デザイナー理論をめぐって (2)

 複数デザイナー理論(Multiple Designers Theory)はRichard B. Hoppeが、インテリジェントデザインの公式サイト群(International Society for Complexity, Information, and Design, Access Reseach Network)で展開した議論である。基本は:

  • インテリジェントデザイナーは複数で有限個存在する
  • 複数のデザイナーは不完全である(完全なら、同じ最適なデザインを創るので、複数いても識別できない)
  • その他のデザイナーの特性は、デザインを自然界に置く方法を含めてDembskiまかせ


インテリジェントデザイン理論の構成上、インテリジェントデザイナーを単数に限定する方法はない。何故なら、Dembskiが提示しているものは唯ひとつ、「自然法則の必然でも確率過程でも説明できなくて、意味のある情報はデザインである」というものだけ(The Explanatory Filter by Dembski, )。そのデザインを創った存在を規定する方法と提示していないからだ。もちろん、Dembski自身は完全にして唯一の超越的存在としても神を想定しているが。

==>Intelligent Design is not Optimal Design
==>忘却から帰還: アンインテリジェントデザイナー

そして、デザイナーが複数存在した場合、デザイナーたちは不完全な存在にしかなりえない。それはインテリジェントデザイン理論家たちは最も望まない仮説だ。ある意味、フライングスパゲッティモンスターと同程度に嫌うかもしれないものだ。

==>忘却からの帰還:フライングスパゲッティモンスターに対するインテリジェントデザインの反応

それとともに、Richard B. Hoppeは複数デザイナー理論の欠陥たる「デザイナーがいかなる存在であるか不明」と「デザイナーがデザインを自然界に置く方法が不明」の責任をDembskiに押し付けている。

They are not of the material or biological world, but they can affect it in the same way(s) that Dembski’s “intelligent agency” affects the material world. In Intelligent Design Coming Clean Dembski suggested that since (in the limit) as the wavelength of electromagnetic radiation tends to infinity the energy tends to zero, an unembodied intelligent agent could in principle transmit information (designs) to biological entities via an infinite-wavelength zero-energy signal. That sort of conjecture makes physicists of my acquaintance very edgy, invoking as it does a purely mathematical abstraction (“in the limit”) to argue for the causal efficacy of an unembodied agent acting on physical matter via a zero-energy (and therefore zero channel capacity) signal using unfocusable (because of its infinite wavelength) electromagnetic radiation, but that’s something to be worked out later as the technical details of Multiple Designers Theory are fleshed out. As Dembski assured us in Intelligent Design Coming Clean, we don’t have to immediately understand how it happens as long as we know it does happen. In fact, we don’t even have to know how it happens, according to Dembski:

それ物質界あるいは生物世界のものではなく、Dembskiがインテリジェントエージェンシーが物質界に影響を与えるのと同じ方法で、生物世界に影響を及ぼす。Dembskiは"Intelligent Design Coming Clean"において、電磁波は波長が無限大の極限でエネルギーがゼロとなるので、肉体を持たないインテリジェントエージェントは原理的に、波長無限大のゼロエネルギーの信号を通じて情報(デザイン)を生物に対して伝送できると示唆した。そのような推論は私の知人の物理学者をいらだたせた。というのは、(極限での)純粋数学的な抽象化を用いて、肉体を持たないエージェントが、ゼロエネルギーの(従って伝送容量がゼロ)信号を、(波長が無限大なので)焦点を合わさない電磁波放射を使って、物理的事象に作用する因果率効率を論じるているからだ。しかし、複数デザイナー理論の技術的詳細ができれば、その後作ることになるだろう。Dembskiが"Intelligent Design Coming Clean"において保証しているので、我々は実際にことが起きるまで、そのように起きるのかを理解する必要はない。Dembskiによれば、実際、それがどのように起きるか必要ない:
So too, we don't "understand" how a designer imparts information into the world, but we "know" that a designer imparts information.

従って、我々はデザイナーが情報を我々の世界にいかにして与えるか"理解"していない。しかし、我々はデザイナーが情報を与えたことを"知っている"。

この点について、インテリジェントデザイン理論家たちは反論しようがない。なかなかの嫌がらせと言えるだろう。

で、理論本体はというと、「デザインだ」しか言わない単一デザイナーなインテリジェントデザインよりも説得力のあるものになっている。たとえば、共進化すなわち軍拡競争を複数デザイナーであれば、自らが責任を持つ生物群を生き延びさせるために次々と新デザインを投入するという妥当な説明がつけられる。しかし、単一デザイナーでは妥当な意味づけが困難。


今回はプロローグ・概観・特性・証拠についての訳を掲載するので、お楽しみいただきたい。
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posted by Kumicit at 04/30 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID: General