これのコメントを見てみた。といっても、そのまま読んでいるだけでは傾向が見えないので、まずは単語統計から...
核 | 54 |
シェルター | 41 |
放送 | 38 |
日本 | 33 |
怖い | 31 |
家 | 27 |
死ぬ | 26 |
ヤマト | 23 |
絶望 | 20 |
水 | 20 |
攻撃 | 20 |
ラジオ | 17 |
放射能 | 16 |
トイレ | 12 |
音声 | 12 |
状況 | 12 |
特に興味をひく単語は上位にはいない。「音声」は熟語「機械音声」あるいは「音声合成」が分解されたもの。
KH coderで共起グラフ(単語60個で)を描いてみると...
2つの大きなグループとそれ以外のつながりがみえる。
ひとつめの単語のつながりは...
予定原稿は「地下」と「作る」を含まないが「地下・シェルター・作る」がつながっている。「核攻撃」は「地下シェルターの作成」を想起させるものなのだろう。
また、「勝ち」は14日間引きこもる必要があるので、引きこもりは勝利という流れ。ヤマトはBGMによるもので、福島は3.11以降に見られる。
ひとつめのグループと弱いつながりでつながっている2つめは...
注目は「トイレ・方式・水・生命・汚染」あたり。水洗トイレの使用を禁じるのは、水道供給が止まるので、残された水を飲料に使うために、トイレでムダに使うなという意味。しかし、予定原稿には明示的に書かれていないため、「トイレの水は汚染されている」といった違った方向の発想が生まれている。
断片的な単語群は...
この中で目立つのは「機械音声, 怖い」と「聞ける, ラジオ, 壊れる」だろうか。
「聞ける, ラジオ, 壊れる」は核戦争では「高空爆発による電子機器破壊攻撃」が行われるという知識によるものだろう。BBCのThreads(1984)やABCのThe Day After(1983)でも、高空爆発で電子機器が壊滅する描写がある。
もうひとつの「機械音声, 怖い」は、読み上げをMISAKIにさせたことによるもの。MISAKIリリース以後も新たな音声合成エンジン・データが世の中に出されているが、自然さではMISAKIはまだまだ強い。それでも、合成音声である違和感があるようだ。
実際のBBCの予定原稿に関して、誰が読むかの議論があった。このとき、見知らぬアナウンサーの声や合成音声だと、BBCが壊滅した印象を与えるのではないかという意見があった。同じ調子で繰り返される放送だと、録音テープが流れているだけだと思われるという懸念もあったようである。「機械音声, 怖い」はそれらの懸念が杞憂ではないことを示唆しているかもしれない。
とはいえ、開き直って、「ゆっくり朗読+明るいBGM」で作ってみると、「怖さ」が完全に失われるようである。