2015/08/21

メモ「平均寿命と塩分と野菜と」

平成22年都道府県別生命表の概況国民健康・栄養調査 平成22年国民健康・栄養調査 年次 2010年の「都道府県別の肥満及び主な生活習慣の状況(平成18-22年,年齢調整)」から、平均寿命と塩分摂取量と野菜摂取量の関係を見ておく。

女性について...
FemaleSaltLife.PNG
FemaleVegeLife.PNG
塩分がネガテイブ、野菜がポジティブに寿命と相関している(赤色は長野県)。ただし、面倒なことに、塩分摂取と野菜摂取は正の相関にあり、塩分と寿命の関係を見ずらくしている。
FemaleSaltVege.PNG

男性についても、ほぼ同様の傾向である。
MaleSaltLife.PNG
MaleVegeLife.PNG
MaleSaltVege.PNG

なお、男性については、肥満者や喫煙者などの比率も調査されているので、相関を見ておくと...
塩分摂取(g/日) 男性(20歳以上)野菜摂取(g/日) 男性(20歳以上)歩数/日 男性(20歳以上)肥満男性(20-40歳)喫煙率 男性(20歳以上)飲酒習慣者 男性(20歳以上)
男性平均寿命-0.100.200.49-0.41-0.65-0.46
塩分摂取(g/日) 男性(20歳以上)1.000.70-0.16-0.190.230.27
野菜摂取(g/日) 男性(20歳以上)0.701.00-0.07-0.20-0.080.18
歩数/日 男性(20歳以上)-0.16-0.071.00-0.03-0.54-0.41
肥満男性(20-40歳)-0.19-0.20-0.031.000.160.05
喫煙率 男性(20歳以上)0.23-0.08-0.540.161.000.38
飲酒習慣者 男性(20歳以上)0.270.18-0.410.050.381.00

歩数・肥満・喫煙・飲酒との相関が、塩分や野菜よりも大きい。
posted by Kumicit at 2015/08/21 08:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015/08/19

米国の原発関連世論の推移

「Gallup:利用, PEW:利用増加, ABC: 建設」という質問が少しずつ違う、原子力発電に関する米国世論調査...
the use of nuclear energy as one of the ways to provide electricity for the U.S.?
[Gallup Poll 2015]

Promoting the increased use of nuclear power
[PEW 2014]

In general, would you favor or oppose building more nuclear power plants at this time?
[ABC via polling report]

PollUsNukePowerOppose2014.PNG
PollUsNukePowerFavor2014.PNG
Gallupの今世紀の傾向を見ると、2010年頃に向かって原子力支持に緩慢に傾き、その後、元にもどっているように見える。

また、調査間隔の短めなPEWだと、F1事故あたりの変動を捕捉できている。長めに見ると、Gallupほど明瞭ではないが、平均回帰している傾向が見える。

長期の数字のあるが、調査間隔が長いABCだと、今世紀の傾向は読み取れない。チェルノブイリの頃に比べれば、原子力不支持は高くないことは読み取れる。

で、この今世紀のトレンドだが、Gallup Pollのエネルギー関連の調査の「化石燃料を燃やしてエネルギーをつくる vs エネルギーを節約する」が同様の動きをしている。
GallupNukeFossil2014.PNG
エネルギー源の間を世論が動いているのではなく、ProductionとConservationの間で動いているようである。
posted by Kumicit at 2015/08/19 07:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015/08/17

もののついでに、古い「波動」

ニセ科学用語「波動」がいつから日本にあるのか?近代デジタルライブラリを見ると、それらしい本がいくつか見つかった。もっとも古いのは1910年のこれ:
佐々木高明_霊妙感応術奥義_1910_c16.PNG
感通は固と心力の波動作用に由りて起こるものであって、心力の波動は脳髄細胞の作用の転じて精神作用に変化するに由りて起こるものなる故、其張力の変じて活力となるの際に起こる所の一種の振動作用に基づくものなることは明らかな理である。
[佐々木高明:"霊妙感応術奥義"(1910),c16]
「心力の波動」という表現は、現在広く使われている、ニセ科学用語「波動」と違ったものには見えない。そして、病気とのリンク...
吉村紫雲_人生浮沈因縁看破と転換法_1925_c12.PNG
[吉村紫雲:"人生浮沈因縁看破と転換法"(1925),c12]
さらに得体のしれないネタへと...
竹林芙蓉_大日本帝国の進路_1937_c37.PNG
(五)精神また能くエーテルに波動を起こす
(六)亡霊は物質的変化を起こし、音、光等を発し得
[竹林芙蓉:"大日本帝国の進路"(1937),c37]
物理学の世界からは失われたエーテルが、霊の世界には残っていたようだ。

特に、これら3つの主張につながりがあるようには見えない。この後も、ときおり「波動」を掲げる本が出版されている。そして、特にこれらの文献の主張を継承しているわけでもなく、現在の「波動」は存在している。
posted by Kumicit at 2015/08/17 21:54 | Comment(1) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015/08/16

「波動」への言及(さらに、つづき)

EM関連サイトは複数あるが、それらの記述は一様ではなく、ニセ科学用語「波動」への言及量が違っていることを見てきた。他も見ておくと...
波動への言及は少ない波動に積極的に言及
EM研究機構
環境学習ネットワーク
NPO 地球環境・共生ネットワーク
EMLABO
Eco Pure(比嘉氏連載)
Dijital New Deal(比嘉氏連載)
EM生活(物販)
これ以外に、世界救世教サイトのひとつ自然農法国際研究開発センターがあるが、ここは「波動」への言及はほとんどない。

ここで、注意すべきは、「波動」に胡散臭さを感じる顧客をも取り込むことを目指しているように見える「波動への言及は少ない」サイト。「環境学習ネットワーク」以外には、「波動」に言及したページが少しだけ含まれている(漏れだしていると言うべきか)。

その含まれ方が、サイトにより色々。たとえば、「地球環境・共生ネットワーク」をググると2ページだけヒットするが、その言及はかなり豪快なもの。
更に3次元波動が光合成には使われない紫外線を細かく分解し、光合成に使われる可視光線に替えることで、本来持つ太陽エネルギーの無駄を減らすことが出来ます。

[NPO 地球環境・共生ネットワーク「善循環の輪」通信, 213, 2011/12 (archive)]
わずか1文で、このインパクト。そして、もう一つは、あからさまな「波動」ネタである「波動測定器」:
取引先のレストラン経営者が、私の作った米を波動測定器にかけたところ、最高値+20を示したそうです。「波動」についてわかりやすく教えて下さい。

プラス波動は蘇生的な重力波の力と言えます。波動の測定は重力波を人間の体で増幅しておいて、免疫力をベースにしたコードで測定しています。  お米で言えば21を最高に14は体に良い、15以上は凄い、20以上は究極の品質のお米であるという数値です。自分のお米を自分で波動測定すると自分の思いが入ってしまい、正確ではありません。第三者に測ってもらうのが望ましい。複数の人間が測定したらさらに良いでしょう。間違いなく再現性があります。即ち信頼性があるということです。 20というのは普通ではあり得ないほどの素晴らしい値です。最終的には田んぼの土が+20であれば最高です。この田んぼでは徹夜してはたらいてもくたびれないほどの田んぼということになります。逆にマイナス値になると体に悪い状態です。  詳しい波動の説明は1時間にもなるので、ここでは省略します。波動は化学的に証明できないのではなく、信頼できることが大事であり、波動測定値は品質判定に有用です。とにかく20というのは凄いです。
(事務局注:波動値の測定には人体と測定器を使用しますが、人の指を使ったOリングテストでも体に良いものか悪いものかを簡便に測定できます。)

[NPO 地球環境・共生ネットワーク, FAQ (archive)]
このページだけで、このサイトがニセ科学をプロモートしていることを強く印象付けるに十分な記述である。

基本的に会報掲載を主とするサイトの、1ページに全掲載されたFAQの、折り畳まれた部分にまぎれるように記載されているため、実際に目を止める人は少ないかもしれない。

一方、EMROサイトは些末的な「波動」言及が幾つかと...
より高い抗酸化効果や波動効果を持つように、特殊な焼成方法で炭化成分を含んだセラミックスとなったため、灰色に近い色になりました。
[The ボカシ (2003/11) on EMRO]

比嘉教授の講演があり、EMの立脚点の波動効果の解説から、放射能対策や農業利用、水質浄化など幅広いお話しがありました。
[EMニュース (2011/12/02) on EMRO]

EMの最新トピックスからEMの基本概要、波動と放射能対策、農業利用と水系浄化など多岐に渡る解説がなされました。
[EMニュース (2011/11/30) on EMRO]

EMovie News No3「EMを活用した誰でもできる放射能対策」「EMの波動効果について」
[
EMニュース (2011/11/10) on EMRO]

「波動研究家」
[EMニュース (2009/07/13) on EMPRO]
イベント一般参加者の発表Abstractに1件だけ「波動」連呼しているもの(善循環の輪山形の集い in 長井 2009)がある。

EMLABOも、ささやかな言及が2件あるのみ:
光合成細菌活性液・塩・波動水
[EM技術の集大成 on EMLABO (archive)]

EMXの波動効果とセラミックの機能性をドッキング!水中に含まれる不純物をとり、E-セラの波動効果により抗酸化力のある水にします。
[畜産マニ ュアル 養豚編 on EMLABO (archive)]


サイトにより濃淡があるが、「波動」について積極的に掲げはしないものの、それを徹底はしていない(あるいは、徹底できていない)ようである。


posted by Kumicit at 2015/08/16 05:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015/08/14

「波動」への言及(つづき)

前回の続き...

EM関連サイトは、ぞれぞれ用語・記述レベルを違えている。たとえば、"emro"サイトは、わりと抑制されている。まあ、「EMやEM・Xを材料に混入させ、800℃以上で焼成したセラミックスから、EMにも含まれる光合成細菌が蘇生する[FAQ 51]」(via wikipeida)という記述は見られるものの、怪しいキーワード「転写」への言及はなく、「放射能除去は主張している。)

一方、rensaiを含むecopure.infoサイトは、「波動」連呼状態。あやしい主張群も、ここ:
  • ヒヨドリやカラスを退ける[2012/01]
  • 口蹄疫や鳥インフルエンザを退ける[2012/01]
  • 放射性物質を消滅させる[2012/01]
  • 交通安全[2013/08}
  • 地震被害をなくす・雷除け・天災がおこらなくなる[2013/08}
  • 電磁波障害の低減[2013/08}
  • 電気代削減[2013/08}
  • 電気製品の機能向上や寿命延長[2013/08}
  • 人間関係が改善する・イジメがなくなる[2013/08}
  • 動物が仲良くなる[2013/08}
  • 生命力が高まる・生命の息吹が感じられる[2013/08}
  • 健康になる・病人がいなくなる・体調が良くなる[2013/08}
  • 頭も良くなる[2013/08}
  • 人類の抱えるほとんどの難問をすべて解決する[2013/08}

そして、dndサイトはecopureほどで波動連呼していないが、emroほど抑制されてはいない。

このサイト間の差異からすると、「波動」などの用語が訴求する人々と、胡散臭さを感じさせる人々がいることがわかっていて、使い分けているようだ。

この使い分けが意図的であるなら、2015年7月2日の名誉棄損訴訟における...
比嘉氏は同社記者から取材を受けていなかったが、記事では微生物の効果について「開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は『重力波と想定される波動によるもの』と主張する」などと記載。[Sankei 2015/07/03]
という奇妙な記述の理由が見えてくる。

四半世紀前から「現代農業」の連載[(1) 1991/08(11) 1993/07]などで、「波動」を掲げてきて、現在も「波動」などのキーワードを連呼している以上は、能動的に検索した人々が「波動」にたどりついてしまうのは仕方がない。しかし、そうではに人々(すなわちemroサイトが対象としている人々)にまで、新聞報道の形で、「波動」ネタが届けられることは、望ましくない。したがって、そのような人々に対して、「自分たちは非科学を主張していない」と広報しておく必要がある。その広報手段として(そして、同様の報道を躊躇させるために)、訴訟を行うのは効果があるだろう。


もっとも、実際のところは、「波動に胡散臭さを感じる人々」が、「波動」を含む豪快な主張群を目にしたとしても、「自分の信念に合わない聖書の記述への反応」と似たような反応をするかもしれないが。たとえば...
  1. 「EMが環境に良い」以上の知識はなく、それ以上、知る気はない。提唱者が誰であるか知らないし、知る気もない。提唱者が何を主張しているかについて、関心もない。聞かされたところで、聞き流して、記憶にも残らない。
  2. 荒唐無稽な主張は、すべて冗談だと受け取る。「電気製品の機能向上や寿命延長」といった主張を聞いたところで、「本気で言っているわけがない」と思う。それを批判する者たちを、ただの揚げ足取りあるいは、嫌がらせだと思う。
  3. 何らかの理由・理屈を追加したり、主張を改変したりしてから、それらの主張を受け入れる。あるいは比喩扱い。「屋外で活動すれば健康的」とか「EM団子づくりで土に触れると・・・」といった麗しい解釈をするとか。

posted by Kumicit at 2015/08/14 04:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする