2015/08/17

もののついでに、古い「波動」

ニセ科学用語「波動」がいつから日本にあるのか?近代デジタルライブラリを見ると、それらしい本がいくつか見つかった。もっとも古いのは1910年のこれ:
佐々木高明_霊妙感応術奥義_1910_c16.PNG
感通は固と心力の波動作用に由りて起こるものであって、心力の波動は脳髄細胞の作用の転じて精神作用に変化するに由りて起こるものなる故、其張力の変じて活力となるの際に起こる所の一種の振動作用に基づくものなることは明らかな理である。
[佐々木高明:"霊妙感応術奥義"(1910),c16]
「心力の波動」という表現は、現在広く使われている、ニセ科学用語「波動」と違ったものには見えない。そして、病気とのリンク...
吉村紫雲_人生浮沈因縁看破と転換法_1925_c12.PNG
[吉村紫雲:"人生浮沈因縁看破と転換法"(1925),c12]
さらに得体のしれないネタへと...
竹林芙蓉_大日本帝国の進路_1937_c37.PNG
(五)精神また能くエーテルに波動を起こす
(六)亡霊は物質的変化を起こし、音、光等を発し得
[竹林芙蓉:"大日本帝国の進路"(1937),c37]
物理学の世界からは失われたエーテルが、霊の世界には残っていたようだ。

特に、これら3つの主張につながりがあるようには見えない。この後も、ときおり「波動」を掲げる本が出版されている。そして、特にこれらの文献の主張を継承しているわけでもなく、現在の「波動」は存在している。
posted by Kumicit at 2015/08/17 21:54 | Comment(1) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする