- エネルギー医療装置という分野があるが、どれひとつ科学的に効果があると示された装置はない
- 米国FDAとの係争を避けるために、形式的にはストレス解消装置と称して販売されるが、実際には万能の検査・治療装置だと宣伝されている
- 代表的例は強力な販売ネットワークを持つWilliam NelsonのEPFXである。
- William Nelsonは米国FDAの追及を逃れるために国外逃亡し、ブダペストに本拠地を置く
- EPFXが病院に導入されたことがあるが、導入にかかわった副院長と看護婦は、EPFXの販売ネットワークに参加していた
- EPFXを信じて通常医療を受けなかったため、手遅れになった例がある[JoAnn Burggraf]
- 現在も、EPFX販売ネットワークは健在である
以下、残り部分の翻訳:
How one man's invention is part of a growing worldwide scam that snares the desperately ill
世界的成長する、わずかの希望に望みをかけている患者に対する詐欺において、ひとりの発明がいかなる役割を果たしたか
Michael J. Berens and Christine Willmsen, Seattle Times staff reporters
最終更新 2007年11月19日
Karen McBeth's losses (Karen McBethの死)
シアトルの癌患者Karen McBeth 59歳は、EPFXオペレータを簡単に見つけられた。州のJuvenile Rehabilitation Administrationを退職したKaren McBethは末期の骨ガンに急成長した扁平上皮癌があった。彼女は化学療法を受けた。2005年初までに、彼女は痛みで歩くのも困難になっていた。
治療法を求めて、彼女は代替案を探して、友人から、EPFX医療を提供するPort Orchardの健康管理クリニックBioScienceのことを知った。BioScienceはRobert ErdmannとMarie Erdmann夫妻と娘のAnn Rinerが経営していた。3人とも健康管理の州の免許を持っていなかった。Karen McBethは最初は懐疑的だった。しかし、彼女はインターネットをサーチして、製造業者がFDAに登録しており、数十人の医者と指圧療法師が装置を宣伝していることを知った。
彼女は週2回の治療を受け始めた。彼女はさらに、自宅で使うための装置購入を説得され、退職貯金から17,000ドルを支出した。
「妻はその治療法で癌が治るのだと思い込まされていました」と彼女の夫 Al Bergsteinが言った。
夏までに、彼女はその装置に効果があるのか疑うようになっていた。そして、2005年9月3日に彼女は死亡した。(Karen McBethの死亡記事およびメモリアルサイト参照)
夫のAl Bergsteinは、「この装置がニセの希望を示して、妻を食い物にし、妻と家族から残された貴重な時間を奪った」と言う。
Microsoftの管理職だったAl BergsteinはEPFXのソフトウェアのソースコードを見た。それはランダムな結果を出すもののようだった。「これは完全な詐欺だ」と彼は言った。
昨年、夫の死んでからは一人でクリニックを経営しているMarie Erdmann 64歳は、EPFXを擁護した「これこそ医療の進む道です。しかし、それには長い時間がかかります」
A cure for everything (あらゆるものの治療)
世界最大のEPFX卸売業者 The Quantum AllianceはカナダのAlberta州Calgaryを本拠地とする。さらにカナダのBritish Columbia州Victoriaで北米最大のトレーニングセンターを運営している。
CEOであるKen Wilkinsonは、診断あるいは治療装置としてEPFXを出荷していないと述べた。
しかし、そのような主張(診断あるいは治療装置だという)は、この会社のパンフレットやニュースレターに見られる。たとえば、ワシントン州の開業医が今年使ったパンフレットは、EPFXが毒素、バクテリア、ウイルス、アレルゲン、寄生虫と病気を検査できると主張している。
さらに、The Quantum Alliance社は、「EPFXが傷ついた組織を修復し、治癒を早める」とWilliam Nelsonが語っているトレーニングビデオを販売している。
CEOであるKen Wilkinsonは、「当社はそのビデオをもう取り扱いません。EPFXはストレス解消ツールとしてのみ出荷します」と言った。
しかし、先月にThe Quantum Allianceが発行したトレーニングニュースレターでは、唇や頬を大きくして、歯の問題を治療するためにEPFXを使う方法を、段階的に提示した。
Brian Thompson社長は「EPFXは数千人を救ってきた」と言う。しかし、彼はこの装置がどんなもので、どうやった機能するのか説明できなかった。「我々は売っているだけだ」とBrian Thompson社長は述べた。
数百の他の代理店や開業医は同様にこの装置を販売して、1台当たり最大2500ドルのコミッションを稼いでいる。彼らの数十のWebサイトは奇跡的な治癒の証言を宣伝し、EPFXが数百の治療法を提供できると断言している。
EPFXの最も変な特徴はこれだ。5インチの銀のプレート。William Nelsonはこの装置が身体の問題点を、プレート上に置かれた髪や唾液や血液から検出できると主張する。そして、たとえ患者が数百マイル離れていても、この装置は治療周波数を患者に発射できると。
A taunt to regulators (規制当局へのあざけり)
Puyallupで開かれた今年のWestern Washington Fairの大きな呼び物はEPFXだった。Pierce CountyのEatonvilleにあるThe Healing Circle CounselingのオーナーであるBart Keoughは、ブースを開いて、400人以上を治療した。治療された人々は30分の治療に20ドルを請求された。
Bart Keoughは自身を「認定バイオフィードバックスペシャリスト」と称している。この認証は通信販売のトレーニングプログラムから得たものである。彼は、FDAとの係争を避けるためにEPFXについての記述に注意を払ったと言う。「我々は。この装置がなんでも治療できるとは言わないようにと、告げられる」
しかし、彼のブースの垂れ幕には、EPFXが提供できる数十の治療法が書き連ねられていた。Bart KeoughはEPFXの治療法がFDAが認可したものを逸脱していることを認めた。「私はBill(William) Nelsonがそれをどうやって通すのか知らない」と彼は言った。
ブダペストにいるWilliam NelsonはFDAについてまったく心配していない。昨年には米国に新製品を持ち込むための会社を設立した。
さらに彼は、FDA本部の大きなイメージの前で自ら歌うミュージックビデオを作成した。William Nelsonの歌は規制当局へのあざけりで終わっている「あなたはなにもまだ見ていない」
なお、William Nelsonの販売ネットワークはアジア方面には展開されていない。ただし、同様の商品は日本国内でも販売されている。
関連エントリ
- ニセ医療装置EPFX (1) (2008/07/30)
- ニセ医療装置EPFX (2) (2008/07/31)
- ニセ医療装置EPFX (3) (2008/08/01)