2008/11/30

人間の心は進化論を理解しにくいようになっている?

Telegraphの報道によれば、University of OxfordのDr Justin Barrettは子供は生まれながらに神を信じるという研究を公表した:
Dr Justin Barrett, a senior researcher at the University of Oxford's Centre for Anthropology and Mind, claims that young people have a predisposition to believe in a supreme being because they assume that everything in the world was created with a purpose.

University of OxfordのCentre for Anthropology and Mindの研究者Dr Justin Barrettは、若い人々は、世界のあらゆるものが目的を以って創造されたと仮定するので、超越的存在を信じる傾向があると主張した。

He says that young children have faith even when they have not been taught about it by family or at school, and argues that even those raised alone on a desert island would come to believe in God.

Dr Justin Barrettは「子供たちは信仰について家族や学校で教わっていなくても、信仰を持つ。砂漠の島でひとりで育っても、神を信じるようになるだろう」と述べた。

"The preponderance of scientific evidence for the past 10 years or so has shown that a lot more seems to be built into the natural development of children's minds than we once thought, including a predisposition to see the natural world as designed and purposeful and that some kind of intelligent being is behind that purpose," he told BBC Radio 4's Today programme.

Dr Justin Barrettは本日のBBCラジオで「過去10年の科学的証拠により、子供たちの心の自然な成長過程で、自然界をデザインされ、目的あるものとして見て、その目的の背後にインテリジェントな存在があると考える傾向ができることが示されている」と述べた。

...

In one study, six and seven-year-olds who were asked why the first bird existed replied "to make nice music" and "because it makes the world look nice".

ある研究では、6-7歳の子供たちに、何故に鳥が存在しているか問うたところ「良い音楽を作るため」と回答し、その理由を「それにより世界が良くなる」と答えた。

...

He added that this means children are more likely to believe in creationism rather than evolution, despite what they may be told by parents or teachers.

Dr Barrett claimed anthropologists have found that in some cultures children believe in God even when religious teachings are withheld from them.

"Children's normally and naturally developing minds make them prone to believe in divine creation and intelligent design. In contrast, evolution is unnatural for human minds; relatively difficult to believe."

Dr Justin Barrettは、「これは両親や教師から何を言われようとも、子供たちが進化論より創造論を信じる傾向があることを意味する。人類学者たちは、ある社会の子供たちは宗教教育を受けなくても、神を信じている。子どもたちは通常かつ自然に発達させた心により、神による創造やインテリジェントデザインを信じるようになる。これに対して、進化論は人間の心には不自然であり、理解するのが難しい」と述べた。

[Martin Beckford: "Children are born believers in God, academic claims" (2008/11/24) on Telegraph]
同様な研究は以前にもあった。Kelemen&DiYanni(2005)は、英国の児童を調査して、「生物および非生物の自然界の事物について、人工物のような目的機能の説明をつくり、動物と人工物の起源としてインテリジェントデザインを支持する傾向があること」を見つけている。

==>Deborah Kelemen and Cara DiYanni: "Intuitions About Origins: Purpose and Intelligent Design in Children's Reasoning About Nature", Journal of Cognition and Development, 2005, Vol. 6, No. 1, Pages 3-31 (doi:10.1207/s15327647jcd0601_2)[Abstract]
==>忘却からの帰還: "目的論を語る子供たち" (2006/11/13)

大人になっても、理解できない力で制御不可能になったという感情を抱くと似たような思考を行うことも示されている:
理解できない力で制御不可能になったという感情を、パターン認識が埋め合わせていること。パターン認識は、生命はランダムだという感覚を均衡させ、何が起きているか理解し、その事態に自分が影響を及ぼせるという感覚を回復させる。株式市場の崩壊を巨大な陰謀論で説明する方が、金融システムが自分の理解を超えていると考えるよりも安心できる。陰謀論を信じれば事件の原因と動機が定まり、単なる偶発時と考えるよりも合理的だと思えるようになり、乱れて予測のつかない現実のコントロールのもとにおくことができる。

人間の精神は、世界はランダムであると考えるよりも、神秘的で目に見えない力が秘かに働いていると信じたがる。Whitsonは次のように書いている「あらゆるデータに、人々は誤ったパターンを見出し、株式市場にトレンドを見出し、なじみの人間に陰謀を見出す。コントロールを失うと、たとえそれが空想上の秩序であっても、本能的に秩序を求める。」

[Sharon Begley: "Feeling Powerless? Do I Have a Conspiracy Theory for You" (2008/10/02) ]


posted by Kumicit at 2008/11/30 03:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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