Answers in Genesisの創造論者が絶対に使ってはいけない論
「Duboisはジャワ原人をミッシングリンクではなく、ただの大きなテナガザルだと主張した」
進化人類学の教科書はこれを主張していて、創造論者たちもこれに従っている。しかし、これは、Stephen Jay Gouldが示したように、実際にはDuboisを誤解したものである。Duboisがジャワ原人(彼はこれをピテカントロピス・エレクトスと呼んだ)がテナガザルの"propotions"を持つと主張したのは本当である。しかし、Duboisは脳の大きさと体重に正確な相関があるという(現在は広く否定されている)風変わりな進化に見方をしていた。ジャワ原人についてのDuboisは主張は、推定体重について再構成された証拠に反している。しかし、人間への移行過程が数学的系列に適合するというDubois独自の提案にとって必要なことだった。従って、Duboisのテナガザルの主張は、ミッシングリンクとしての立場を補強することを意図していた。
TalkOrigins
「Mark Isaakの創造論者の主張」には収集されていないので、同じサイトTalkOriginsから..
Did Eugene Dubois claim that Java Man was a gibbon? (Duboisはジャワ原人をテナガザルだと主張したのか?)
多くの創造論者と一部の進化論者はEugen Duboisが1930年代に、ジャワ原人の頭蓋骨をただの大きなテナガザルだと判断したと主張している[1]。多くの場合、直截的には主張されないが、「Duboisはジャワ原人が人類の祖先であるという主張を取り下げ、人類の進化とは関係がないと判断した」ことを暗に主張している。以下は実際にDuboisが1935年と1937年に発表した論文の中で言っていることである。Pithecanthropus [Java Man] was not a man, but a gigantic genus allied to the gibbons, however superior to the gibbons on account of its exceedingly large brain volume and distinguished at the same time by its faculty of assuming an erect attitude and gait [2]. It had the double cephalization [ratio of brain size to body size] of the anthropoid apes in general and half that of man.これについて、Trinkaus and Shipmanのコメントは次のようなものだった:
ピテカントロプス[ジャワ原人]は人間ではなく、テナガザルと同族の属であるが、テナガザルと比べて、非常に大きな脳容積を持ち、直立および歩行能力において優れていた[2]。そして、頭化[脳の大きさと体の大きさの比率]は、多くの類人猿の2倍で、人間の半分である。
[quoted by Trinkaus and Shipman, and Gould]
It was the surprising volume of the brain - which is very much too large for an anthropoid ape, and which is small compared with the average, though not smaller than the smallest human brain - that led to the now almost general view that the "Ape Man" of Trinil, Java was really a primitive Man. Morphologically, however, the calvaria [skullcap] closely resembles that of anthropoid apes, especially the gibbon.
驚くべき脳容積だった。類人猿にしては非常に大きく、平均的に人間の脳容積よりも小さいが、人間の脳容積の最小値よりは小さくない。このことから、ジャワ島Trinilの"猿人"は原始的な人間であるという見方が導かれる。しかし、形態的には頭蓋骨は類人猿、特にテナガザルに似ている。
[quoted by Trinkaus and Shipman]
... I still believe, now more firmly than ever, that the Pithecanthropus of Trinil is the real 'missing link'.
私はこれまで以上にかたく、Trinilのピテカントロプスが本当にミッシングリンクであると考えている。
[quoted by Gould]
E. Dubois: On the gibbon-like appearance of Pithecanthropus erectus. While possessing many gibbon-like characteristics, P. erectus fills the previously vacant place between the Anthropomorphae and man as regards cephalic coefficient. (Amsterdam Royal Acad., Proc 38, No 6, June 1935). (Reported in Nature, 136:234, Aug 10 1935)
ピテカントロプス・エレクトスのテナガザルに似た姿について。ピテカントロプス・エレクトスはテナガザルのような特徴を多く持っているが、頭化において、これまで隙間だった類人猿と人間の間を埋めるものである。That Dubois ever claimed his fossils to be a giant gibbon is denied by some authorities, but his words here are unambiguous.Duboisの記述はある程度あいまいであるはずだ。というのはGouldの意見は真逆だからである:
一部の権威者によって、Duboisが化石を大きなテナガザルだと主張したことを否定されているが、Duboisの記述は明瞭だ。In other words, Dubois never said that Pithecanthropus was a gibbon (and therefore the lumbering, almost comical dead end of the legend); rather, he reconstructed Java Man with the proportions of a gibbon in order to inflate the body weight and transform his beloved creature into a direct human ancestor - its highest possible status - under his curious theory of evolution. [3]「テナガザルとよく似た」や「テナガザルの同族の大きな属」といった表現はあいまいである。Duboisはジャワ原人がテナガザルとよく似ているか、非常に近い関係だと考えてようだ(現在の科学者たちは、このDuboisの考えを否定している)。これが「大きなテナガザル」と呼ぶことと同じかどうかは議論の余地があるが、ここで私はGouldが正しいと考える。すなわち、ジャワ原人がテナガザルと同族だというのは、ジャワ原人がテナガザルだと言うこととは同じではない。
言い換えると、Duboisはピテカントロプスがテナガザル、すなわち鈍重で、伝説の滑稽な行き止まりだとは、決して言っていない。むしろ、Duboisはジャワ原人をテナガザルのプロポーションで復元し、体重を増やすことで、自らの奇妙な進化論のもとで、自らの愛すべき生物を直接の人間の祖先という最高の地位に引き上げた。
Shipmanはその後の本で、この見方を強める証拠を1938年のDuboisの文献が引用している:I never imagined Pithecanthropus as a 'giant Hylobates' [gibbon], only as a giant descendant from a 'generalized' form, which had inherited from its ancestor, the 'gibbonlike appearance', but had ... doubled [its] cephalization ... (Dubois 1938, quoted in Shipman 2001)創造論者が案に主張するのと違って、Duboisはピテカントロプスが人類の進化とは無関係だとは言っていないことは否定しようがない。Duboisは常にジャワ原人が人間の祖先だと考えていた。
私はピテカントロプスを大きなテナガザルと考えたことはない。テナガザルのような特徴を祖先から継承したが、頭化が2倍の、一般形態の大きな子孫だと考えただけである。
また、Duboisはこの頭蓋骨から45フィート離れたところから見つかった人間の大腿骨が無関係だとも考えていなかった。Duboisは常に同じ生物のものだと主張していた。これについては、Duboisはおそらく間違っていた。しかし、この間違いがあっても大差はない。ジャワ原人は疑いようもなく二足歩行である。このことは1984年にケニアで見つかったホモエレクトスの骨格WT15000で示されている。その頭蓋骨はジャワ原人のものに非常によく似ているが、大腿骨やその他の骨格は現代の人間とマイナーな違いをのぞいて、まったく同じである。
Footnotes:
- Answers in GenesisはDuboisがジャワ原人をテナガザルだと考えたという主張を撤回し、今では「創造論者が使ってはいけない論」に挙げている。
- わかっていることは、Duboisが二足歩行の証拠として挙げた大腿骨が、今となっては同じ生物のものだとは考えられていないが、ピテカントロプスが二足歩行だとDuboisが言ったことは正しかったことである。
- Duboisの理論では、脳の進化は急激に進行し、前段階よりも実質的に脳は2倍複雑になる。この理論では、人間は類人猿の4倍の頭化を持ち、ピテカントロプスは類人猿の2倍の頭化を持ち、類人猿と人間の隙間をピテカントロプスが埋めることになる。
References:
- Gould S.J. (1993): Men of the thirty-third division. In Eight little piggies. (pp. 124-37). New York: W.W.Norton. (an essay about Eugene Dubois' theories on Java Man)
- Shipman P. (2001): The man who found the missing link: the extraordinary life of Eugene Dubois. New York: Simon & Schuster.
- Theunissen B. (1989): Eugene Dubois and the ape-man from Java. Dordrecht,The Netherlands: Kluwer Academic Publishers.
- Trinkaus E. and Shipman P. (1992): The Neandertals: changing the image of mankind. New York: Alfred E. Knopf.
コメント
脳容積と体重の比率が進化とともに大きくなるというDuboisの主張は退けられたことを含め、Answers in Genesisの主張に特に問題はない。ただし、誰が「Duboisはジャワ原人を大きなテナガザルだと主張した」と主張したかについては、あやしいところだが。