2008/12/10

創造論者が使ってはいけない論(第11回) -- 始祖鳥は捏造 -- [まとも後アフォ]

Answers in Genesisの創造論者が絶対に使ってはいけない論

「始祖鳥は捏造だ」

アーケオラプトル、いわゆるピルトダウン鳥と違って、始祖鳥は解剖学的研究および化石断面の詳細分析から捏造ではないことが示されている。始祖鳥は鳥類であってミッシングリンクではない。


Mark Isaakの創造論者の主張



まずは「始祖鳥は捏造だ」から:
Claim CC351:
ロンドンの始祖鳥の標本の羽毛の印影(impressions)は捏造された。その証拠は:

  • 羽毛の印影(impressions)は雄板(main slab)にあって、雌板(counterslab)にない
  • 羽毛のある領域と羽毛のない領域の表面の模様が違っている
  • 少し持ち上がった死骸は、雌板の凹とマッチしない
  • 羽毛は二重刻印されている
  • 骨と羽毛を横切っているクラックはセメントに置き換えられた後に雄板(slab)が少し動いて形成されたかもしれない
  • 拡大すると、標本の化石部分とそれ以外の部分の石灰岩が異なる
  • 化石部分の基質内に未知の物質がある
  • X線化学分析で、化石部分にケイ素や硫黄や塩素があるが、それ以外の部分にはないことが示された。

これらの点は羽毛の印影(impressions)は、誰かがセメントのような基質に羽毛を押し付けて作って石版にくっつけて作られたものであることを示している。羽毛がなければ、始祖鳥は恐竜サイガクリュウと同定され、中間化石にはならない。

Source:

  1. Watkins, R. S., F. Hoyle, N. C. Wickramasinghe, J. Watkins, R. Rabilizirov, and L. M. Spetner, 1985a. Archaeopteryx -- a photographic study. British Journal of Photography 132: 264-266.
  2. Watkins, R. S. et al., 1985b. Archaeopteryx -- a further comment. British Journal of Photography 132: 358-359,367.
  3. Watkins, R. S. et al., 1985c. Archaeopteryx -- further evidence. British Journal of Photography 132: 468-470.
  4. Hoyle, Fred, N. C. Wickramasinghe and R. S. Watkins, 1985. Archaeopteryx: Problems arise -- and a motive. British Journal of Photography 132(6516): 693-695,703.
  5. Hoyle, Fred and C. Wickramasinghe, 1986. Archaeopteryx, The Primordial Bird, Christopher Davis, London.
  6. Spetner, L. M., F. Hoyle, N. C. Wickramasinghe and M. Magaritz, 1988. Archaeopteryx -- more evidence for a forgery. British Journal of Photography 135: 14-17.


Response:

  1. 文献で十分に裏付けられた状況のもとで、他に異なる時に異なる場所で見つかった9個の始祖鳥の化石がある。これらのうち少なくとも6個は明確な羽毛がある[Charig 1986; Wellnhofer 1993; Mayr et al. 2005]。Maxburgの標本では、羽毛は骨の下に続いていて、ときには層理面の中で生ずる樹枝状結晶の上にあり、ねつ造の可能性は否定される[Charig 1986]。さらに、他にも羽毛のある恐竜が発見されている。

  2. 小さな骨折が方解石で埋められていて、羽毛と骨の両側に広がっている。これは羽毛と骨が同じ起源であることを示している。それらは雄板(slab)と雌板(counterslab)で完全にマッチしていて、これら2つがマッチしていることを示している[Charig 1986]。これらの骨折は普通は目に見えない。19世紀の捏造者たちはその存在すら気づくことはなく、とても複製などできない。

  3. 雌板(couter slab)の「二重刻印効果」は化石化の過程による。羽毛の下で羽毛を分解する細菌が増殖し、これにより沈殿物が落ちて石化し、硬化した羽毛の印影(impression)が保存される。羽毛が腐食して消え去ると、沈殿物は表面のキャストを創り出す[Davis and Briggs 199]。石化した細菌を含む、この過程の証拠は、高倍率で見ることができて、それらしく捏造することは不可能である。

    微細な印影(impression)がないのは、始祖鳥の身体が平らな面に十分に沈み込まなかったことによる。化石の大半は海底から、化石の周囲や上に溜まった堆積物の中へ入っている。頁岩が最初の海底面に沿って割れると、上部にのみ化石が残り、下部は死骸が海底に作った印影(impression)のみが残る。このパターンがSolnhofen化石の典型例である[Swinburne 1988]。

  4. 化石のある部分と化石のない部分の表面の模様の違いは、動物の死骸の印影(impression)によるものである[Charig 1986]。

  5. 持ち上がった死骸は自然なイレギュラーである。対応する凹が雌板(counterslab)にないものはない。表面の片側が破壊されない限り、両側は一致する[Charig 1986]。

  6. 二重刻印は印影ではない。それらは基礎をなす羽毛である。二重刻印は単一刻印よりも捏造がむつかしい。

  7. オリジナルの雄板(slab)とSoetnerがセメントだと主張するものにあるヘアラインクラックは、いずれも方解石で埋められている。さらにクラックは雄板(slab)と雌板(counterslab)でマッチしている[Charig et al. 1986]。セメントで固められた後にできたクラックなら、いずれもが方解石で埋められるようなことはない。

  8. 概観上の違いはSEM写真撮影の解像度の違いによる[Nedin 1997]。

  9. 未知の物質は明らかに石灰岩母体にはない[Spetner et al. 1988, Figs 4b-f]。表面の炭酸塩はダストである。

  10. 化石のある部分と化石のない部分の化学組成の違いは、化石領域に塗布された保存剤によるものと考えられる[Nedin 1997]。


Links:

  1. Nedin, Chris, 1997. On Archaeopteryx, astronomers, and forgery.

References:

  1. Charig, Alan J. et al. 1986. Archaeopteryx is not a forgery. Science 232: 622-626.
  2. Davis, Paul G. and Derek E. G. Briggs. 1995. Fossilization of feathers. Geology 23(9): 783-786.
  3. Mayr, Gerald, Burkhard Pohl, and D. Stefan Peters. 2005. A well-preserved Archaeopteryx specimen with theropod features. Science 310: 1483-1486.
  4. Nedin, Chris. 1997. (see above)
  5. Spetner, L. M., F. Hoyle, N. C. Wickramasinghe and M. Magaritz. 1988. Archaeopteryx - more evidence for a forgery. British Journal of Photography 135: 14-17.
  6. Swinburne, N. H. M. 1988. The Solnhofen Limestone and the preservation of Archaeopteryx. Trends in Ecology and Evolution 3(10): 274-277.
  7. Wellnhofer, P. 1993. The seventh specimen of Archaeopteryx from the Solnhofen Limestone. Archaeopteryx 11: 1-47.

Further Reading:

  1. Majka, Christopher, 1992. Archaeopteryx - is this bird a fraud? New Brunswick Naturalist
「Mark Isaakの創造論者の主張」の記述は長いのは、主張者たちが大杉なため。

ここまではAnswers in Genesisも受け入れるところだが、その後が創造論者一般の対応。すなわち、「2つの生物の中間化石ではなく、どっちかだ」に進む。これも、あまりに創造論者一般の主張であるため、「Mark Isaakの創造論者の主張」にも収録されている:
Claim CC214.1.1:
Archaeopteryx was fully bird. It had fully formed wings and feathers.
始祖鳥はまったくの鳥である。始祖鳥には完全な翼と羽毛がある。

Source:
Watchtower Bible and Tract Society. 1985. Life--How Did It Get Here? Brooklyn, NY, pp. 79-80.
Morris, Henry M. 1985. Scientific Creationism. Green Forest, AR: Master Books, p. 85.

Response:

  1. 始祖鳥は鳥類(学術用語 avialan)の一種だと定義されている。しかし、始祖鳥は鳥の特徴よりも恐竜の特徴を持っている。鳥の特徴は:

    • 長い外部の鼻孔。
    • 縫合されていない2つの顎の骨である方形骨(quadrate)と方形頬骨 (quadratojugal)
    • 3つの伸展を持つ口蓋骨
    • すべての歯に鋸歯状部がない。
    • 脊柱の一番上の後部の大きな横の溝。

    始祖鳥が持つ、これら以外の鳥のような特徴は、いつくかの非鳥類恐竜にも見られる。それらには、羽毛や、中央線で融和する叉骨(二又の骨)や、伸びて後に向かっている恥骨などがある。始祖鳥が持っている考えられる鳥のような母指(爪先)は、保存状態の良い最近の標本には見当たらない[Mayr et al. 2005; see also Middleton 2002]。

    恐竜のような特徴は以下の通り:

    • 嘴がない
    • 前上顎骨と上顎骨の歯
    • 目から遠く離れた鼻 (nasal opening far forward, separated from the eye by a large preorbital fenestra)
    • 後部から頭にくっついている首。
    • 単純な凹関節側面を持つ頸椎の中心。
    • 骨の入った長い尾。尾端骨がない。
    • 接合あるいは鉤状突起のなく、胸骨と関節でつながっていない肋骨
    • 6本の脊柱を占める仙骨。
    • 小さな胸郭の帯。
    • 3本目以外は自由な掌骨と、柔軟な手首手関節。
    • 融合していない3つの爪。
    • 多くの細かい点で、骨盤帯と大腿部関節はアーケオサウルスのような形状をしている。
    • 融合していない骨盤。
      鳥類との間に100以上の違いがある[Chiappe 2002; Norell and Clarke 2001]。
      さらに、始祖鳥の烏喙骨と上腕骨と脳の形状は恐竜と現代の鳥の中間だった[Elzanowski 2002;Nedin 1999]。

Links:

  1. Nedin, Chris. 1999. All about Archaeopteryx. http://www.talkorigins.org/faqs/archaeopteryx/info.html

References:

  1. Chiappe, L. M. 2002. Basal bird phylogeny. In: Chiappe and Witmer, pp. 448-472.
  2. Chiappe, L. M. and L. M. Witmer (eds.). 2002. Mesozoic Birds: Above the Heads of Dinosaurs. Berkeley: Univ. of California Press.
  3. Elzanowski, A. 2002. Archaeopterygidae (Upper Jurassic of Germany). In: Chiappe and Witmer, pp. 129-159.
  4. Mayr, Gerald, Burkhard Pohl, and D. Stefan Peters. 2005. A well-preserved Archaeopteryx specimen with theropod features. Science 310: 1483-1486.
  5. Middleton, K. M. 2002. Evolution of the perching foot in theropods. Journal of Vertebrate Paleontology 22: 88A.
  6. Nedin, Chris. 1999. (see above)
  7. Norell, M. A. and J. A. Clarke. 2001. Fossil that fills a critical gap in avian evolution. Nature 409: 181-184.


コメント



捏造という論点で戦っていると、始祖鳥化石が中間形態であることを認めたことになり、さらに捏造でなければ本物になってしまう。そこで、Answers in Genesisは、橋頭堡を「始祖鳥は鳥」に築いたようだ。

始祖鳥そのものは、鳥類の祖先ではないようなので、創造論的にはどうでもいい気もする。しかし、中間的な形態の存在そのものを認めるわけには以下にのが"若い地球の創造論"の立場らしい。
posted by Kumicit at 2008/12/10 09:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック