2008/12/11

創造論者が使ってはいけない論(第13回) -- 新しい種が生まれたことがない -- [まとも後アフォ]

Answers in Genesisの創造論者が絶対に使ってはいけない論

「新しい種が生まれたことがない」

これは真実ではない。新しい種の形成は観察されている。事実、急速な種形成は創造論モデルの重要な部分である。しかし、この種形成は"kind"内のものであって、新たな遺伝的情報を伴うものではない。


Mark Isaakの創造論者の主張

Claim CB910:
No new species have been observed.
新しい種は観察されたことがない。

Source:
Morris, Henry M., 1986. The vanishing case for evolution. Impact 156 (Jun.).

Response:

  1. 新しい種は歴史時代に出現している。たとえば:

    • ロンドンの地下にに隔離された蚊は、アカイエカ(Culex pipiens)から種分化した[Byrne and Nichols 1999; Nuttall 1998]。
    • Helacyton gartleriはHeLa細胞培養で人間の子宮頚癌から1951年に進化した。培養は無限に成長し、広まっている[Van Valen and Maiorana 1991]。

      同様の現象はわりと最近にイヌでも起きている。イヌの感染性の性病腫瘍であるSticker肉腫は、宿主とは遺伝的に独立だが、オオカミあるいはイヌの潰瘍に由来する生物によって引き起こされる[Zimmer 2006; Murgia et al. 2006]。

    • 植物の新しい種の幾つかは倍数体(染色体が2倍、あるいはそれ以上になる)によって出現している[de Wet 1971。ひとつの例は プリムラ キューエンシス(Primula kewensis)である[Newton and Pellew 1929]。

  2. 2つの亜種が稀にしか交配しないか、交配がほとんど成功しないという状況である初発性種分化は広く起きている。以下はそのような例のいくつかである:

    • リンゴウジハエ(Rhagoletis pomonella)は、同所性種分化が進行中である。北米での元々の宿主はサンザシ (サンザシ属)であるが、1800年代半ばに、国内のリンゴ(Malus pumila)を宿主とする新しい集団が形成された。この2種は自然選択によって、部分的に隔離されている[Filchak et al. 2000]。
    • ハマダラカは北西アフリカと南東アフリカの集団の間で、初発性種分化が進行中である[Fanello et al. 2003; Lehmann et al. 2003]。
    • ラプラタトウゴロウ(Silverside fish)は、海洋集団と河口集団への初発性種分化が進行中である[Beheregaray and Sunnucks 2001]。

  3. 環状種は進行中の種形成過程を示している。環状種は、山麓の周りなどの線上に種が分布している。それぞれの集団は隣接した集団と交配できるが、両端の種は交配できない。本当に環状種である場合は、両端の集団は隣接している。環状種の例は次の通り:

    • Ensatinaサンショウウオは米国西海岸に7つの亜種が分布している。それらは、カリフォルニア中央峡谷のまわりに形成されている。南端で隣接する亜種klauberiとeschscholtziは交配しない[Brown n.d.; Wake 1997]。
    • ヒマラヤのまわりの緑色ムシクイ(Phylloscopus trochiloides)。彼らはの行動的特徴および遺伝的特徴は、中央シベリヤから始まって、ヒマラヤ周辺まで段階的に変化して、もとへともどっている。従って、2種類の鳴禽類は共存しているが、居住範囲内で交配しない[Irwin et al. 2001; Whitehouse 2001; Irwin et al. 2005]。
    • シロアシネズミ(Peromyces maniculatus)は北米に50の亜種がある。
    • シジュウカラ(Parus majorとParus major minor)や、ナンヨウショウビン(Halcyon chloris)や、メジロや(Zosterops)やウグイス(Lalage)やハチクマ(Pernis)やセグロカモメ(Larus argentatus)やヤナギムシク( Phylloscopus trochiloides)など多くの鳥類の種[Mayer 1942, 182-183]。
    • アメリカのミツバチ Hoplitis (Alcidamea) producta [Mayr 1963, 510]。
    • 地下デバネズミであるメクラネズミ(ehrenbergi) [Nevo 1999]。

  4. 数百年前あるいは数千年前には存在しなかった環境に存在する生物は、種形成が起きた証拠である。たとえば:

    • 最後の氷河期の後の過去1万年に形成されたカナダの湖には、トゲウオが水深の深いところと浅いところの種に多様化している[Schilthuizen 2001, 146-151]。
    • 最後の氷河期の後の過去1万年に形成されたカナダの湖には、トゲウオが水深の深いところと浅いところの種に多様化している[Schilthuizen 2001, 166-176]。
    • 1859年以前にはなかった銅鉱山にしかない銅の多い土壌に適応したミムラスの種が存在する[Macnair 1989]。
    • 共生生物の感染によって種分化が起きる証拠がある。キョウソヤドリコバチのNasonia vitripennisとNasonia giraultiはウォルバキア細菌に感染すると生殖隔離される[Bordenstein and Werren 1997]。

  5. "若い地球の創造論者"にはノアの箱舟を説明するために種分化が不可欠だと主張する者もいる。箱舟は全種を搭載・飼育するだけの容量がなかったので、種分化を、箱舟に搭載された少数の種類"kind"が多様化して今日の姿になった理由の説明に使う。同様に、洪水期間中に特殊な必要性のあった種(たとえば淡水を必要とする魚)があった。さらに創造論者たちは洪水以後に、より受容性の高い生物が進化したと仮定する[Woodmorappe 1996]。


Links:

  1. Kimball, John W., 2003. Speciation.
  2. Stassen, C. et al., 1997. Some more observed speciation events.

References:

  1. Beheregaray, L. B. and P. Sunnucks, 2001. Fine-scale genetic structure, estuarine colonization and incipient speciation in the marine silverside fish Odontesthes argentinensis. Molecular Ecology 10(12): 2849-2866.
  2. Bordenstein, Seth R. and John H. Werren. 1997. Effection of An and B Wolbachia and host genotype on interspecies cytoplasmic incompatibility in Nasonia. Genetics 148: 1833-1844.
  3. Brown, Charles W., n.d. Ensatina eschscholtzi Speciation in progress: A classic example of Darwinian evolution.
  4. Byrne, K. and R. A. Nichols, 1999. Culex pipiens in London Underground tunnels: differentiation between surface and subterranean populations. Heredity 82: 7-15.
  5. de Wet, J. M. J., 1971. Polyploidy and evolution in plants. Taxon 20: 29-35.
  6. Fanello, C. et al., 2003. The pyrethroid knock-down resistance gene in the Anopheles gambiae complex in Mali and further indication of incipient speciation within An. gambiae s.s. Insect Molecular Biology 12(3): 241-245.
  7. Filchak, Kenneth E., Joseph B. Roethele and Jeffrey L. Feder, 2000. Natural selection and sympatric divergence in the apple maggot Rhagoletis pomonella. Nature 407: 739-742.
  8. Irwin, Darren E., Staffan Bensch and Trevor D. Price, 2001. Speciation in a ring. Nature 409: 333-337.
  9. Irwin, Darren E., Staffan Bensch, Jessica H. Irwin and Trevor D. Price. 2005. Speciation by distance in a ring species. Science 307: 414-416.
  10. Lehmann, T., M. Licht, N. Elissa, et al., 2003. Population structure of Anopheles gambiae in Africa. Journal of Heredity 94(2): 133-147.
  11. Macnair, M. R., 1989. A new species of Mimulus endemic to copper mines in California. Botanical Journal of the Linnean Society 100: 1-14.
  12. Mayr, E., 1942. Systematics and the Origin of Species. New York: Columbia University Press.
  13. Mayr, E., 1963. Animal Species and Evolution. Cambridge, MA: Belknap.
  14. Murgia, Claudio et al. 2006. Clonal origin and evolution of a transmissible cancer. Cell 126: 477-487.
  15. Nevo, Eviatar, 1999. Mosaic Evolution of Subterranean Mammals: Regression, Progression and Global Convergence. Oxford University Press.
  16. Newton, W. C. F. and Caroline Pellew, 1929. Primula kewensis and its derivatives. Journal of Genetics 20(3): 405-467.
  17. Nuttall, Nick, 1998. Stand clear of the Tube's 100-year-old super-bug. Times (London), 26 Aug. 1998, 1.
  18. Schilthuizen, M., 2001. (see below)
  19. Van Valen, Leigh M. and Virginia C. Maiorana, 1991. HeLa, a new microbial species. Evolutionary Theory 10: 71-74.
  20. Wake, David B., 1997. Incipient species formation in salamanders of the Ensatina complex. Proceedings of the National Academy of Science USA 94: 7761-7767.
  21. Whitehouse, David, 2001. Songbird shows how evolution works. BBC News Online, 18 Jan. 2001
  22. Woodmorappe, John, 1996. Noah's Ark: A Feasability Study, El Cajon, CA: ICR.
  23. Zimmer, Carl. 2006. A dead dog lives on (inside new dogs).


Further Reading:

  1. Callaghan, Catherine A., 1987. Instances of observed speciation. The American Biology Teacher 49: 34-36.
  2. Schilthuizen, Menno., 2001. Frogs, Flies, and Dandelions: the Making of Species, Oxford Univ. Press, esp. chap. 1.


コメント



「Mark Isaakの創造論者の主張」にあるように、新種の出現の観察例が多くあるため、Answers in Genesisは「新種は出現するが、"kind"内の変異」という主張を行っている。この"kind"は正式には"Baraminと呼ばれるが、定義は定まっていない。「化石と現生生物との比較・異種交配で繁殖可能な子供ができるか・聖書の記述(特に創世記)」を基準に判断しようとしているが、「ホモサピエンスに近いところは細分化され、細菌なんかは全部あわせて1種類だったりする」こともある。

人間と類人猿の間にBaraminの境界があり、現実に種分化が観察される範囲はBaraminの内側だということ以外は、どうでもよいのかもしれない。

posted by Kumicit at 2008/12/11 21:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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