Answers in Genesisの創造論者が絶対に使ってはいけない論
「地球中心説[古典的な意味で地球が位置の基準]は聖書で教えられていて、太陽中心説は聖書に反する」これは、聖書の記述と自然に関する知識を整合させるために、聖書を解釈によって修正するという古来よりの習わしにのっとったもの。
Answers in Genesisは独断的な地球中心説を否定しており、聖書にある日没や日の出についての記述は、地球を参照座標系として理解すべきだと考えている。しかし、これは物理学的に有効な参照座標系のひとつである。太陽系の質量の中心もまた有効な参照座標系である。
たとえば、イザヤ書40章22節は、地球は円板ではなく球体であるという記述しているという:
主は地を覆う大空の上にある御座に着かれる。地に住む者は虫けらに等しい。主は天をベールのように広げ、天幕のように張り／その上に御座を置かれる。日本聖書協会新共同訳では、地球平板説にしか読めないが、英語の「the circle of the earth」が球体という意味だとされている。
He sits enthroned above the circle of the earth, and its people are like grasshoppers. He stretches out the heavens like a canopy, and spreads them out like a tent to live in.
[refered by Morris, Henry M., 1986. Science and the Bible. Chicago: Moody Press, pp. 13-14.]
そして、地球が宇宙空間にあることをヨブ記26章7節が示しているという：
神は聖なる山を茫漠としたさかいに横たわらせ／大地を空虚の上につるされた。これに反する記述も多い[創世記1章6-20節, ヨブ記9章8節/22章14節/26章11節/38章4-6節]が、それは気にしない。
He stretcheth out the north over the empty place, and hangeth the earth upon nothing.
[refered by Watchtower Bible and Tract Society, 1985. Life--How Did It Get Here? Brooklyn, NY, p. 200.]
Mark Isaakの創造論者の主張
創造論者の大半が主張することのない地球中心説について、Mark Isaakはマジレスをしている：
Claim CH901:
The earth is fixed at (or near) the center of the universe. The sun and other planets travel around it. That is what the Bible plainly says (Ps. 93:1; Ps. 19:1-6; Josh. 10:12-14) and what the evidence indicates.
地球は宇宙の中心（近く）に固定されている。太陽やその他の惑星は地球のまわりをまわっている。これが聖書が言っていることであり、証拠が示すものである。
Source:
Willis, Tom, 2000. "The Laws of Cause and Effect, and the 1st and 2nd Laws of Thermodynamics have been invalidated by modern science", Part 2. CSA News 17(2) (Mar/Apr): 1-2.
Jones, Steven, 2005. Geocentric universe.
Response:
- 地球の自転は観測可能な効果を生み出していて、実際に観測されている:
- 最も目立つのはコリオリ効果である。これは回転座標系で、動く物体に働く見かけの力である。コリオリ効果は海流や、ハリケーンの進路や回転方向を含む風のパターンや氷山の漂流に影響する。長距離ミサイルは標的に関して、この効果を考慮する。
- 地球の自転はフーコーの振子によっても示される。これは地球の自転につれて、振れる方向が変化していく。（回転速度は地球の回転速度に緯度のSINを乗じたものである。）
- 地球の公転も観測可能である：
- 地球に近い恒星には年周視差がある。これは地球が公転軌道上を動くことで、遠くの星々と比べて、その恒星の見かけの位置が変化することである。（数フィート歩いた時の、遠方の山と比べて、近くの電柱の見かけの位置の変化と同じことである。）
- 恒星に対して垂直方向の地球の運動のために、恒星の本当の位置よりもわずかに前方方向に望遠鏡を向ける必要がある（光行差）。これは1728年にJames Bradleyによって初めて観測された。
- 地球の軌道面近くの恒星は視線速度があり、地球が軌道上を、その恒星から遠ざかる方向に移動しているとき、わずかに赤方偏移が観測され、6か月後に近づく方向に移動しているとき、わずかに青方偏移が観測される[Herrick 1935]。
- 視線速度に関して、光の時間の効果がパルサーや短期変光星のタイミングに影響を及ぼし、これの補正には一般相対論の計算が必要である。
- 地球の軌道は楕円であるため、6月よりも1月の方が太陽に近い。これにより太陽の見た目の大きさの違いは観測可能である。
地球が静止しているなら、これらの効果は、すべての恒星が地球の1年にあわせて同時に動いていない限り、説明がつかない。- 太陽中心説は万有引力の法則から自然に導ける。
- 太陽中心説は有用である。前述の項目を適用すると、ハリケーンや氷山の動きを予測し、長距離ミサイルを制御できる。宇宙開発はこれなしには成り立たない。（たとえば、カッシニ探査機は太陽をめぐる地球の運動を利用して、木星へ向けて投擲された。）あらゆる創造論にとって、地球中心説は役に立たない。
- 大多数のキリスト教徒にとって、聖書は字義どおりに地球は静止しているとは言っていない。彼らは聖書が字義どおりに言っていることを解釈することよりも、事実が重要であることを認めている。
See for Yourself:
長くて細いケーブルに重りをつけて、高い天井の部屋に吊り下げれば、フーコーの振り子を作れる。ただし、回転が目に見える前に空気抵抗で止まってしまわないように十分長くないといけない。また風の影響を受けないようにしないといけない。
References:
- Herrick, Samuel, Jr., 1935. Tables for the reduction of radial velocities to the Sun. Lick Observatory Bulletin 470: 85-90.
コメント
わずかながら、地球中心説を唱える団体が米国には実在する。たとえば、これ：
==>The non-moving Earth & anti-evolution web page of
このサイトは、地球中心説と反進化論とともに反ユダヤ主義を掲げている。このサイトの反進化論州法案サンプルを参照したメモを、テキサス州議会下院議員Warren Chisum(共和党)が、テキサス州の下院議員149名に送ったことがある。その結果、反進化論州法案とユダヤと地球中心説という祭りネタ満載で大騒ぎに.....そして謝罪。
HOUSTON, Feb. 16 A leader of the Texas House of Representatives apologized Friday for circulating an appeal to ban the teaching of evolution as derived from “Rabbinic writings” and other Jewish texts.
Texas州下院の指導者が金曜日(2007/02/16)に、ユダヤ教の文献に基づくものとして進化論教育を禁止することを主張する文書を回覧したことを謝罪した。
“I had no intention to offend anyone,” said the lawmaker, Warren Chisum, a Republican from the Panhandle who is chairman of the House Appropriations Committee.
Mr. Chisum said he had received the information from Ben Bridges, a Georgia legislator, and “I never took it very seriously.”
「私は誰かを怒らせるつもりはなかった。情報をGeorigia州下院のBen Bridges議員から受け取ったが、真剣に取り合ったわけではない」と、下院歳出委員会委員長である共和党Panhandle選出のWarren Chisum下院議員は述べた。
On Feb. 9, Mr. Chisum, 68, an 18-year veteran of the House and second in power only to the speaker, Tom Craddick, sent a memorandum to all 149 other state representatives in Texas.
2月9日9に、18年の議員歴を持ち、Tom Craddickに次ぐ州下院の第2の有力者である68歳のChisum議員は、149人のTexas州議会下院議員全員にメモを送った。
The one-page memorandum, marked “From: Representative Ben Bridges,” declared that “tax-supported evolution science” was based on religion and therefore unlawful under the United States Constitution.
It continued, “Indisputable evidence long hidden but now available to everyone demonstrates conclusively that so-called secular evolution science is the Big Bang 15-billion-year alternate ‘creation scenario’ of the Pharisee Religion.”
“This scenario,” the memorandum stated, “is derived concept-for-concept from Rabbinic writings on the mystic ‘holy book’ kabbala dating back at least two millennia.”
「Ben Bridges下院議員より」と記されたメモの1ページ目で、「税金を使った進化科学は」宗教に基づくものであり、従って合衆国憲法違反だと断言していた。さらに続けて「長きにわたって秘されていたが、今や誰の目にも触れる議論の余地なき証拠が、いわゆる世俗な進化科学が、パリサイの宗教の150億年のビッグバンと言う代替創造シナリオであることを決定的に証明する」とあった。
「このシナリオは二千年前に遡る神聖なる書カバラに基づくユダヤ諸書からの派生概念から導かれたものだ」とメモは記していた。
The memorandum said that inquiries could be directed to the Fair Education Foundation, a group in Georgia, and gave its Web address, fixedearth.com. The site features items belittling the Holocaust and portraying Earth as stationary as depicted in the Bible, with Jewish thinkers like “Kabbalist physicist Albert Einstein” responsible for contrary scientific theories.
メモには、疑問があればGeorgia州のグループ"The Fair Education Foundation"を参照するように記され、Webサイトのアドレス fixedearth.com が書かれていた。このサイトは、ホロコースト過小評価や、聖書に記されたように地球は静止しているという描写、そしてそれに反対する理論に責任あるものとしてユダヤ人思想家"カバリスト物理学者Albert Einstein"を取上げている。
Representative Bridges, a five-term Republican from Cleveland, Ga., northeast of Atlanta, did not return calls to his legislative office on Friday.
Atlanta北東のCleveland選出のGeorgia州下院の5期目の下院議員をつとめるBridesは、金曜日に下院事務局からの電話呼び出しに折り返し電話をかけなかった。
The president of the Fair Education Foundation, Marshall Hall, said he had sent the memorandum to Mr. Chisum at the request of Mr. Bridges, whom he called a longtime friend and supporter. Mr. Chisum, in a letter accompanying the memorandum, said he distributed the memorandum “on behalf of” Representative Bridges. He said he knew Mr. Bridges through the National Conference of State Legislatures “and greatly appreciate his information on this important topic.”
Fair Education Foundation代表のMarshall Hallは「長年の友人であり支持者であるBridges氏の依頼によりChisum氏にメモを送った」と述べた。Chisum氏はメモとともに配った手紙において、「Bridges下院議員に代わってメモを配布する。Chisum氏はBridges氏を全米州下院議員コンファレンスで知った。この重要な話題について彼の情報を高く評価する」と記した。
The memorandum was condemned by some Texas lawmakers and by the Anti-Defamation League.
In a letter to Mr. Chisum dated Feb. 14, Mark L. Briskman, director of the league’s North Texas-Oklahoma regional office, said, “We are shocked and appalled that you would share this outrageous anti-Semitic material with your colleagues in the Texas House.”
メモはTexas州下院議員の一部と、Anti- Defamation Leagueによって批難された。Chisum氏への2月14日付の手紙で、Anti-Defamation LeagueのNorth Texas-Oklahoma地域事務所長のMark L. Briskmanは「貴兄がこの法外な反ユダヤ文書をTexas州下院の同僚と共有しようとしたことに、驚愕しショックを受けた」と述べた。
Questioned Friday about his apparent endorsement of the memorandum, Mr. Chisum appeared to back away from it. “I read it, but he didn’t ask me to edit his memo,” he said. “It does not reflect my opinion.”
In a letter to Mr. Briskman, Mr. Chisum wrote, “I sincerely regret that I did not take the time to carefully review these materials and recognize that I may have hurt or offended some groups including some of my dear friends.”
金曜日にメモについて支持するか問われたChisum氏は後退して「私はそれを読んだが、彼は私にメモを修正しないように依頼した。そのメモは私の意見を反映していない」と述べた。Briskman氏への手紙でChisum氏は「十分にこの文書を見る時間をかけずに、これが私の友人たちを含むグループを傷つけるかもしれないと認識しなかったことを心より残念に思う」と述べた。
Mr. Chisum said he had “engaged” a Jewish colleague, former Representative Steven D. Wolens, a Democrat, to intercede on his behalf.
Mr. Wolens, a lawyer who is married to the mayor of Dallas, Laura Miller, confirmed that he would. “I always found him respectful to me and people of the Jewish faith,” Mr. Wolens said.
Chisum氏はユダヤ人の同僚である民主党前議員Steven D. Wolensに調停を依頼したと語った。Dallas市長Laura Millerの夫であるWolens弁護士は、この発言を確認し「私は彼が私とユダヤ教を信仰する人々に敬意を払っていることをわかっている」と述べた。
[Ralph Blumenthal:"Lawmaker Apologizes for Memo Linking Evolution and Jewish Texts" (2007/02/17) on New York Times, COPY]
