Answers in Genesisの創造論者が使わないほうがいい論
「進化論は理論にすぎない」「理論」の用語説明としては正しい。
人々がこれを言うときは、「進化論は証明された事実ではないので、定説として宣伝してはいけない」ということを意味していることが普通だろう。従って、人々はそれを言うべきだ。問題は単語「理論」を、科学者は"よく立証されたデータの説明"として使っていることにある。アインシュタインの相対性理論やニュートンの重力理論や、あまり知られていないが、電解質溶液のデバイ=ヒュッケルの定理や、疎液性ゾルの安定性のDLVO理論など。個体から集団への進化は立証されていない仮説もしくは推測だと言う方がよい。
Mark Isaakの創造論者の主張
Claim CA201:
Evolution is only a theory. It is not a fact.
進化論は理論にすぎない。進化論は事実ではない。
Source:
State of Oklahoma. 2003. House Bill HB1504: Schools; requiring all textbooks to have an evolution disclaimer; codification; effective date; emergency.
Response:
- 理論という用語は、科学においては不確かさを意味しない。これは、ある種の現象たちについての説明の原則として使用される、首尾一貫した一般命題の集合を意味する[Barnhart 1948]。進化論では次のような現象を含む。すべては事実である:
他にも多くお事実が進化論によって、うまく説明される。
- 生命は20億年以上前に地球上に出現した。
- 生命形態は生命の歴史を通して、変化し、多様化してきた。
- 種は一つもしくは幾つかの共通祖先を通して、関係を持っている。
- 自然選択は州の変化に大きな影響を及ぼす要素である。
- 進化論は実際に証明される。疫学や害虫や薬品発見などの分野に応用されている[Bull and Wichman 2001; Eisen and Wu 2002; Searls 2003]。
- 理論とともに、進化の事実があり、時間とともに生命が変化してきたことの観察がる。進化の事実はダーウィンの理論以前にも認識されていた。進化論はその事実を説明する。
- 「理論に過ぎない」がほんとうに反論だというなら、創造論者は、重力理論や原子理論や病原菌理論などにも文句を言うべきだろう。進化論はこれらの理論のどれよりも有効性が低いわけではない。そして、重力理論でさえも、挑戦を受けることがある[Milgrom 2002]。それでも、重力という現象は進化と同じく事実である。
- 創造論は理論でも事実でもない。よくても意見にすぎない。何も説明できないので、科学的に役に立たない。
Links:
- Moran, Laurence. 1993. Evolution is a fact and a theory
- Isaak, Mark. 1995. Five major misconceptions about evolution
References:
- Barnhart, Clarence L., ed. 1948. The American College Dictionary, New York: Random House.
- Bull, J. J. and H. A. Wichman. 2001. Applied evolution. Annual Review of Ecology and Systematics 32: 183-217.
- Eisen, J. A. and M. Wu. 2002. Phylogenetic analysis and gene functional predictions: Phylogenomics in action. Theoretical Population Biology 61: 481-487.
- Milgrom, Mordehai. 2002. Does dark matter really exist? Scientific American 287(2) (Aug.): 42-52.
- Searls, D. 2003. Pharmacophylogenomics: Genes, evolution and drug targets. Nature Reviews Drug Discovery 2: 613-623.
Further Reading:
コメント
Answers in Genesisは進化論を攻撃することは目標のひとつだが、その手段として「just a theory」を使うつもりはないようだ。これに対して、インテリジェントデザイン運動は、具体的な生物の話よりも、こういった用語問題に関心があるようだ。たとえば、2008年7月にはインテリジェントデザインの本山たるDiscovery InstituteのCasey Luskinが公式ブログで延々と"Theory"と"Fact"という用語について論じていた。
==>Casey Luskin:"Is 'Evolution' a 'Theory' or 'Fact', or Is This Just a Trivial Game of Semantics? (Part 1)"