2008/12/16

創造論者が使ってはいけない論(第31回) -- 光速は次第に減速してきた -- [まとも]

Answers in Genesisの創造論者が使わないほうがいい論

「光速は次第に減速してきた」

光速減速として知られたこの考えに対する、進化論の対抗議論の大半は誤りだと示されたが、主として創造論者たちが指摘する多くの問題が残っている。Answers in GenesisはDr. Russell Humphreysによる遠くの星が見える理由の説明がよいと考えているが、Answers in GenesisもDr. Russell Humphreysも、そのモデルが間違いないとは主張していない。
これは、「宇宙も地球も6000歳なのに、6000光年より彼方の恒星が見える」問題に絡んだもの。「神は地球への経路上の光線も創造した」が嫌われるようになり、「光速が現在よりも一兆倍速かった」で切り抜けようとしたときの残骸。物理学的な副作用が大きすぎて、これも放棄されるようになった。

Mark Isaakの創造論者の主張



「光速が高速だった」という主張と、「物理学者が光速が高速だったと主張した」という主張について、「Mark Isaakの創造論者の主張」は項目を用意している:
Claim CE411:
The speed of light was faster in the past, so objects millions of light-years away are much younger than millions of years.

光速はかつて現在よりも高速であり、従って数百万光年かなたの天体も数百万歳よりもはるかに若い。

Source:
Norman, Trevor G. and Barry Setterfield, 1987. The Atomic Constants, Light, and Time. Flinders University of South Australia, School of Mathematical Sciences, Technical Report.

Response:

  1. 光速が定数ではないという可能性に物理学者たちが多くの関心を向けて来たが、変化したという証拠は見つかっていない。過去180年にわたって、多くの違った方法で光速は測定されてきた。古い時代の計測は、現在よりも精度が悪い。Setterfieldは193の計測結果(see Dolphin n.d. for the data)から120を選択し、光速が減速してきたという、近似線を引いた。もし全データを使ったなら、近似線は光速が増大を示す。しかし、光速は計測機器の誤差範囲で一定である。
  2. 物理定数が変化するというSetterfieldのモデルでは、紀元1世紀頃だと1年は417日のはずであり、創造週間では急速な放射性物質の崩壊によって地球は溶けてしまう[Morton et al. 1983]。
  3. ついでだが、一部の創造論者は物理法則は変化していないと主張している[Morris 1974, 18]。

References:

  1. Dolphin, Lambert, n.d. Table 1: Master Set of 193 Values of c. (Other URL)
  2. Morris, Henry M., 1974. Scientific Creationism, Green Forest, AR: Master Books.
  3. Morton, G. R., H. S. Slusher, R. C. Bartman and T. G. Barnes, 1983. Comments on the velocity of light. Creation Research Society Quarterly 20: 63-65.

Further Reading:

  1. Aardsma, Gerald E., 1988a, "Has the speed of light decayed?," Impact #179, Institute for Creation Research, El Cajon, CA.
  2. Aardsma, Gerald E., 1988b, "Has the speed of light decayed recently?," Creation Research Society Quarterly 25(1): 36f.
続いて「物理学者が光速は減速してきたと主張している」について:
Claim CE411.1:
Physicists Joao Magueijo at London's Imperial College and Andreas Albrecht at U. C. Davis say the speed of light immediately after the beginning of the universe was many times faster than it is now, and it has been slowing ever since.
ロンドンのImperial Collegeの物理学者Joao Magueijoと、U. C. Davisの物理学者Andreas Albrechtは、宇宙の始まり直後の光速は現在より高速であり、次第に減速してきたこと言っている。

Source:
Dolphin, Lambert, 1999. On the constancy of the speed of light.

Response:

  1. Albrecht and Magueijo [1999]は宇宙の初期には現在より光速がはるかに最大1069倍も高速だったと仮定した。これは宇宙が一様である理由を説明するために、初期宇宙のインフレーション理論に代わる理論モデルとして提唱されたものである。現在より高速な光速はビッグバンモデルにおけるインフレーションステージに対してのみ適用されるものである。それは10-42秒ほどのことである。彼らの理論は観測によって検証されていない。
  2. その他の証拠は、長きにわたって光速が一定であったことを示している。

References:

  1. Albrecht, A. and J. Magueijo, 1999. Time varying speed of light as a solution to cosmological puzzles. Physical Review D 59: 043516


コメント



光速をいじると、電磁場など副作用が巨大すぎて、創造週間が破壊的なことになる。それと、遠方の銀河ほど過去、すなわち光速が高速だった時代の光なので「青方偏移が観測されるべきだが、実際には赤方偏移が観測される」という問題に創造論者自身が気がついたこともあって、この主張は放棄された。

現在の創造論では、「創造週間は地球の時間が遅く流れた」ことになっている。ただし、銀河内における太陽系の位置とか、近接恒星から百億年分の放射を1週間であびてしまうことなどの問題は解決していない。Humphreysは地球をブラックホール内に隠そうとして、あーでもないこーでもないと考え中のもよう。
posted by Kumicit at 2008/12/16 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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