2008/12/18

創造論者が使ってはいけない論 Ex-0 インターミッション

Answers in Genesisは、オーストラリアで誕生し、米国へ進出した、現在、もっとも有力な"若い地球の創造論"ミニストリである。その後、内紛から分裂し、Ken Ham主宰の米国側がAnswers in Genesisの名称をそのまま使い、Carl Wieland主宰のオーストラリア側がCreation Ministries Internatinalとなっている(雑誌定期購読者争奪などめぐって裁判で係争中)。

この「創造論者が使ってはいけない論」はAnswers in Genesis(分裂前)がどう屁理屈をこねても維持不可能になって放棄した主張や、もともと採用していない主張をまとめたものである。ただし、基本的に"若い地球の創造論"を維持することが大前提であるため、「創造論者が使ってはいけない論」もまた、科学的に変なものも多い。振り返ってみると...

復習



ひとつの特徴は、"若い地球の創造論"の証拠だと主張されたが、既に否定されてしまったネタを挙げていること。特に有名なPaluxyの足跡化石や地層を貫く人間の化石など、多くの創造論者が語ったネタも放棄していている:

続いて、「地球も宇宙も6000歳」や「ノアの洪水」を成り立たせるために考え出された屁理屈のいくつかを放棄している。特に創造科学の父たる今は亡きDr. Henry M. MorrisのVapor Canopyも、地上を焦熱化させるという問題を認めて放棄:

また、歴史改変な主張も放棄している:

そして、わりと名品なのが、「進化論に対する誤解」を正している項目。「自然選択による種形成」をAnswers in Genesisは創造論に取り込んでいるため、古典的な反進化論な主張を斬り捨てている:

一方で、"若い地球の創造論"を正しいと主張する前の防衛ラインは決してゆずらない:いずれも、半歩後退したところに、新たな橋頭保を築く形になっている。

また、Vapor Canopyを放棄しても、ノアの洪水のメカニズムとして、アフォな主張(秒速数メートルで大陸が移動した)を持ち出す:
もちろん、地球も宇宙も6000歳という主張の根拠を聖書に置き続ける:

商売敵に対する名指しの批判は、今は亡きRon Wyattのみ:

その他、どうでもいいものが8つ:


情報喪失



Answers in GenesisCreation Ministries Internatinalに分裂後も、ほとんどコンテンツは両サイトに掲載され続けている。この「創造論者が使ってはいけない論」も両方にある:
これらには差異があり、Creation Ministries Internationalにあって、Answers in Genesisにないものが4つある:

  • NASA faked the moon landings. (NASAは月着陸を捏造した)
  • Light was created in transit (恒星からの経路上の光も神は創造した)
  • Laminin: an amazing look at how Jesus is holding each of us together
  • Many of Carl Baugh’s creation ‘evidences' (Carl Baughの主張する創造論の証拠)
これらのうち、1.〜3.は分裂後にCreation Ministries International追加されたものだが、4.は分裂前にあって、分裂後にa href="http://www.answersingenesis.org/home/area/faq/dont_use.asp">Answers in Genesisから失われたものである。

さらに、「創造論者が使ってはいけない論」に絡んだ創造論者Kent Hovind(脱税で有罪となり服役中)への反論記事もAnswers in Genesisから失われ、Creation Ministries Internationalに残っている。

これらAnswers in Genesisに起きた情報喪失について、そのうち、少し追いかけてみたい。


Institute for Creation Researchの主張との関係



"若い地球の創造論"は水利工学者Dr. Henry M. Morrisによって始まったと言っていいだろう。このDr. Henry M. Morrisが設立した"若い地球の創造論"ミニストリが、Institute for Creation Researchである。その主張は1974年初版の"Scietific Creationism"にまとめられている。

30年以上前のネタなので、今となっては古色蒼然たるものになり、「創造論者が使ってはいけない論」が、その主張のいくつかを否定している:

  1. 上空蒸気層(Vapor Canopy)
  2. ノアの洪水前は雨は降らなかった
  3. 恒星からの経路上の光も神は創造した[Creation Ministry International版のみ]
これらのうち1.と2.は「使わない方がいい論」に分類され、3.はAnswers in Genesisにはない。

どうも、Answers in GenesisはInstitute for Creation Researchへの攻撃を抑制しているようだ。このあたりも、そのうち、もう少し詳しくて見ておきたい。


というわけで、もう少し、つづく...





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posted by Kumicit at 2008/12/18 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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