そのThe Texas Observerによれば、Don McLeroyは普通の創造論者とはかなり違った考え方と経歴を持っている:
McLeroy, as you may be aware, is chairman of the Texas State Board of Education. He is an avowed creationist of the “young Earth" variety, meaning he believes that God created the Earth some 6,000 years ago, in accordance with the biblical account in Genesis. But McLeroy is not a stereotypical true believer. He reads widely on theology and evolutionary biology. He is willing, even eager, to have his views challenged. His favorite evolutionary biologist is fundamentalist atheist Richard Dawkins, author of The God Delusion.ちょっと奇妙な創造論者であるDon McLeroyはもともと創造論者ではなく、それどころか敬虔なキリスト教徒でもなかった。
おそらくご存知のように、McLeroyはテキサス州教育委員長である。彼は、聖書の創世記の記述どおりに、神が地球を6000年前に創造したという"若い地球の創造論"を信じていることを明言している。しかし、McLeroyはステレオタイプなビリーバーではない。彼は神学や進化生物学の本を広く読んでいる。彼は自らの見方にチャレンジされることを求めてさえいる。彼のお気に入りの進化生物学者は"The God Delusion"の著者である、原理主義的無神論者Richard Dawkinsである。
Saul Elbein: "The Curious Faith of Don McLeroy -- What inspires the man at the center of the Texas creationism controversy? (2009/02/20) on The Texas Observer]
McLeroy didn’t grow up a creationist, or even particularly religious. His family in Dallas belonged to a mainline Methodist church, but they didn’t attend services often. “If I believed in anything,” he says, “I believed in science.” He was “religiously uninvolved” at Texas A&M, where he studied electrical engineering.そんなDon McLeroyが創造論を信じるようになったのは、Nan Flemingとの出会いに始まる。創造論を信じる彼女に導かれるように創造論に近づいて行ったDoc McLeroyは次のような考えを持つようになった。
McLeroyは創造論者として育ったわけでもなく、特に宗教的でもなかった。彼の一家はDallasのメインラインメソジスト教会に属していたが、礼拝にはあまり出かけていなかった。「何かを信じるとするなら、科学を信じる。」と彼は言う。彼は、電気工学を学んだTexas A&Mで、宗教に関わらなった。
“I was a Christian well before I was a creationist,” he says. “People say you have to be a creationist to be a Christian, but my life is proof of the opposite.”字義どおりに「神の似姿に創造された人間」という教義を受け取るなら、論理的に進化論とはバッティングする。Don McLeroyは、その点では間違っていない。ただし、教義についての立場は様々であり、字義どおりに捉えることが唯一のキリスト教の教義というわけではない。
「私は創造論者である前にキリスト教徒だった。キリスト教徒たるには創造論者たらねばならないと人は言うが、私の人生はその逆であることを証明している。」と彼は言う。
This is a nice point, but it’s also true that McLeroy sees a certain lack of consistency in religious people who advocate evolution. One of his favorite tenets of Christianity, the one that underlies all his policy ideas, is the principle that man is made in the image of God. Take evolution to its logical conclusion, he says, and you destroy that idea.
これは重要な点だが、McLeroyが、進化論を支持する宗教的な人々が一貫性を欠いていると見ていることも事実である。彼が好むキリスト教の巨富義のひとつは、彼のすべてのお方針の基礎をなすものである、人間は神の似姿に創造されたという原則である。「進化論を選択すれば、論理的帰結として、この考え方は破壊される」と彼は言う。
“I mean, if evolution is development of life through unguided natural processes,” he asks, “how can we be made in the image of God? How can humans be worth anything?”
「進化が、導きのない自然の過程[超自然の介入のない過程]で生命が発展してきたというものなら、どうやって神の似姿に我々は創造されたのか? 人間の意義は?」と彼は問う。
...
“I would never say that Miller’s not a real Christian,” he says. “I don’t think you have to be one to be the other. But I don’t think he’s very consistent.
“That’s why I like Dawkins so much. He at least takes evolution to where it has to lead—atheism.”
「私はMiller [Kenneth Miller]を真のキリスト教ではないとは決して言わない。私は、どちらかでなければならないとは考えていない。しかし、私は彼が一貫しているとは思わない。だからこそ、私はDawkinsが好きなのだ。彼は少なくとも進化論をとり、その導かれるところ、無神論に至っているからだ。」
論理的にキリスト教と進化論が矛盾するという考えに至ったDon McLeroyだが、"若い地球の創造論者"となったのは、現夫人であり、創造論者であるNan Flemingと婚約後のことだった。
Soon after they were engaged, Nan handed him some books explaining geological phenomena from a creationist viewpoint. McLeroy was initially skeptical --“I thought, goodness, I’m engaged to a crazy woman”-- but he read them, and then he started going with her to seminars on creationism. They presented a world different from any he had thought possible, one that -- despite its foreignness -- felt right. He challenged creationist experts with his doubts about the supposed young age of the Earth -- what about the dinosaurs? what about radiometric dating? -- but slowly, calmly, he says, they answered his objections.なんというか、Don McLeroyは、普通にビリーバーたちに引き込まれていく過程をたどったようである。
彼らが婚約後すぐに、Nan Flemingは彼に創造論者の立場から地質学現象を説明した本を何冊か手渡した。McLeroyは最初は懐疑的だった。「なんてこったい、マジキチと婚約しちまった」と思ったが、彼はそれらの本を読み、彼女とともに創造論者のセミナーに出かけるようになった。彼らは、彼が考えられるものとは異なる世界を提示した。それは見知らぬものだったが、正しいと感じられた。McLeroyはm創造論の専門家たちに、若い地球論についての疑問をぶつけた。恐竜は? 放射性同位元素による年代測定は? それに対して、彼らはゆっくりと穏やかに答えたと、McLeroyは言う。
そして今ではこんなことに...
McLeroy believes that at some point, perhaps in 10 years, perhaps in 50, a new scientific revolution will reveal that “the creationists’ crazy ideas” are actually right -- just as quantum mechanics and relativity overturned the tidy world of classical physics. McLeroy professes a willingness to keep teaching the scientific consensus until the day comes when it jibes with his beliefs. Still, he supports “teaching the controversy” of evolution, though that’s a controversy nearly all scientists say is resolved.「科学的コンセンサスが、信じるものと一致する日が来るまでは、現在の科学的コンセンサスを教え続けることを厭わない」と言うなら、「Teach the Controvesy」とか「Strength and weakness of evolution」とか「Academic Freedom on Evolution」などと今の時点で言うべきではない。"その日"が来るまで待たなければならない。自らの寿命が尽きるなら、誰かに託してでも。
McLeroyは、10年後か50年後かに新たな科学革命がおきて、創造論者のマジキチな考えが実は正しかったことが明らかにされると信じている。量子力学や相対性理論が古典力学をひっくり返したように。科学的コンセンサスが、信じるものと一致する日が来るまでは、現在の科学的コンセンサスを教え続けることを厭わないと、McLeroyは言い切る。しかし、彼は進化論についての「論争を教えろ」を支持する。その論争は、ほぼすべての科学者が解決済みだとしているものだが。
しかし、Don McLeroyはそうしない。彼はテキサス州教育委員長としての創造論用語を教育内容に持ち込もうとする戦いを始める。だからこそ、Don McLeroyは州教育委員長として相応しくないのだ。
ついでだが、その戦いを復習しておくと....
テキサス州理科教育標準をめぐる、創造論者Don McLeroyが委員長をつとめるテキサス州教育委員会での戦い
- インテリジェントデザインの標的は、現代科学の基礎たる自然主義 (2007/11/22)
Texas Freedom Networkによれば、2007年8月にテキサス州教育委員長に就任したDon McLeroyは、2005年に講演で「進化論とインテリジェントデザインの論争を、正統キリスト教徒とそれ以外の勢力の衝突だ」と描写した。 - 懸念されていたテキサス州公立学校へのID理論の侵入は阻止されたもよう (2007/08/27)
2007年8月24日付のAssociated Pressの配信報道によれば、テキサス州教育委員会はインテリジェントデザインを公立学校の理科の授業に組み入れるのではないかと懸念されていたが、教育委員たちはそうしないと回答した。 - テキサス州教育委員会および教育庁に、理科の授業へのインテリジェントデザイン持ち込みへの動きが... (2007/12/01)
テキサス州の地方紙States Manの報道によれば、2007年11月29日付で、テキサス州教育庁の理科教育の責任者が辞任を強要された。(1) 数か月先に理科カリキュラムの見直しが予定されていること。(2) テキサス州教育委員長は、創造論者で、インテリジェントデザインを理科で教えるようという意見を持つDon McLeroyであること。以上の2点から、テキサス州は、理科の授業にインテリジェントデザインを持ち込みへと動いたと見られている。 - テキサス州理科教育標準をめぐる戦いは創造論者敗北方向 (2008/09/29)
2008年9月24日のNational Center for Science Educationの記事および2008年9月23日のDallas Newsの報道によれば、公表された理科カリキュラムの見直し案では、かつてあった創造論よりの記述が削除されている。創造論支持者たちが、理科教育へ創造論を侵入させるために使う法的表現たち、 "weeknesses of evolution"とか"academic freedom on evolution"とかを排除する方向に進んでいるようで、やっと戦闘終了に近づいた感じ。 - 創造論者が委員長なテキサス州教育委員会の逆襲 on 州理科教育標準 (2008/10/16)
テキサス州教育委員会は理科教育標準のレビュー委員に6名を指名した。PZ Myers準教授によれば、3名がテキサス州内の大学の生物学あるいは理科教育の教授たちで、3名が州外のインテリジェントデザイン支持者という構成。 - テキサス州理科教育標準案から創造論用語"strengths and weaknesses"が消えた (2009/01/05)
National Center for Science Educationによれば、2008年9月バージョンでは削除された"strengths and weaknesses"(進化論の強い点と弱点)に代わって、2008年11月バージョンで、"strengths and limitations"(強さと限界)という変形した形で含められた。しかし、文言が2008年12月に変えられ、創造論者の逆襲を少し押し戻して、"strengths and limitations"(強さと限界)が消えて、"analyze and evaluate"が復活。さらに、「National Academy of Sciencesの定義では、科学は『証拠を使って検証可能な説明と自然現象についての予測を作り、同様にこの過程で知識を作る」ものである。... 生徒たちは、科学の範囲外の問いも知るべきである。というのは、そのような問いが、科学的に検証不可能な現象を取り扱っているからである。」という記述が入った。 - テキサス州教育委員会はピンポイントな創造論用語を承認(2009/01/24)
Austin-American States Manの報道によれば、2009/01/22にテキサス州教育委員会の理科教育標準の改訂で、創造論用語「strengths and weaknesses」を引っ込めて、新たな創造論用語「“sufficiency or insufficiency” of scientific theories about common ancestry of different species」を加えた。州教育委員会は最終採決を3月の会議で行う予定である。
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