2009/03/19

ヴァチカンはインテリジェントデザインを科学とはみなさない

Catholic News ServiceがヴァチカンのRaniero Cantalamessa神父の発言として、あらためて教皇庁がインテリジェントデザインを科学ではないとみなしていることを報道した:
Capuchin Father Raniero Cantalamessa, offering a Lenten meditation to Pope Benedict XVI and top Vatican officials March 13, said the controversy that has arisen between scientists supporting evolution and religious believers promoting creationism or intelligent design is due mainly to a confusion between scientific theory and the truths of faith.

...

The arguments, Father Cantalamessa said, are due to the fact that, "in my opinion, there is not a clear enough distinction between intelligent design as a scientific theory and intelligent design as a truth of faith."

While science and evolution can explain part of the history of creation and how life exists, they cannot explain why, he said.

"Even those who eliminate the idea of God from the horizon don't eliminate the mystery," the preacher said.

"We know everything about the world, except how it started. The believer is convinced that the Bible furnishes precisely this missing first page. There, as on the title page of every book, is the name of the author and the title of the work," he said.

2009年3月13日に教皇ベネディクト16世とヴァチカン上層部に対して、四旬節の黙想会を行う、カプチン修道会士Raniero Cantalamessa神父は次のように述べた。「科学者が支持する進化論と、宗教信者が推進する創造論やインテリジェントデザインの論争は、主として科学理論と信仰の真理を混同することによって起きている。私の意見では、科学理論としてのインテリジェントデザインと信仰の真理としてのインテリジェントデザインを明確に区別できていないことによる論争である。

科学と進化論は創造の歴史部分と生命がいかに存在することになったかを説明できるが、何故かは説明できない。神という考えを排除する人々も、神秘を排除できない。我々は世界の始まり以外について世界についてすべてを知っている。信者は、聖書が、この失われた第1ページを正確に埋めるものだと納得している。聖書の各記の最初のページには著者と作品名が書かれている。」

[Cindy Wooden: "Papal preacher says intelligent design is truth of faith, not science" (2009/03/13) on Catholic News Service]
ここまでは、通常通り。この後、特に米国で強い温暖化否定論を意識したと思われる発言を報じている。
Father Cantalamessa's Lenten reflection focused on a verse from St. Paul's Letter to the Romans: "All creation is groaning in labor pains even until now."

The text, he said, is an indication that St. Paul believes that the entire cosmos -- not just humanity -- is waiting to be saved and restored to its original beauty by Christ.

The suffering of the cosmos "is not closed and definitive. There is hope for creation, not because creation is able to hope subjectively, but because God has a redemption in mind for it."

Cantalamessa神父の四旬節のは、パウロのローマ人への手紙8章22節「被造物がすべて今日まで、共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、わたしたちは知っています。」にフォーカスしている。

Cantalamessa神父は「この聖書の記述は、人間だけではなく宇宙全体がキリストによって救われ、元の美しき姿への回帰するのを待っているのだと、パウロが信じていたことを示すものである。宇宙の苦しみは、最終的な状態ではない。創造への希望がある。それは、創造が本来的に希望なのではなく、神がその心の中に約束をしているからである。」と述べた。

Christians contribute to keeping hope alive by respecting and defending nature, he said.

"For the Christian believer, environmentalism is not only a practical necessity for survival or a problem that is only political or economic; it has a theological foundation. Creation is the work of the Holy Spirit," he said.

Christians have an obligation to recognize that the moans of creation described by St. Paul "today are mixed with the cry of agony and death" because of "human sin and selfishness," he said.

「キリスト教徒は、自然界をリスペクトし、守り続けることで、希望を生かし続ける。キリスト教徒にとって、環境保護は、生存のために実利的に必要なこと、あるいは政治や経済の問題というにとどまらない。環境保護には神学的基盤がる。創造は聖霊の仕事である。『人間の罪と利己主義により、今は苦痛の叫びと死に満ちている。』とパウロが記述した創造の苦痛を、キリスト教徒は認識する義務がある。」

[Cindy Wooden: "Papal preacher says intelligent design is truth of faith, not science" (2009/03/13) on Catholic News Service]
米国では、これまでの多くの反進化論州法案が生物進化・化学進化とともに、地球温暖化を対象としてきた。たとえば、2008年に成立したルイジアナ州反進化論州法Act473などは「生物進化・化学進化・地球温暖化・ヒトクローン」を対象としている。

これは、福音主義キリスト教(南部バプテスト)が創造論支持であり、聖書創世記の記述により温暖化が起きない(少なくとも海面は上昇しない)と信じていることによる。実際のところは、創造論者の中にも、温暖化対策を支持する者もいるが、南部バプテスト連盟レベルでは温暖化否定サイドにとどまっている。
記事後半は、カトリックとしては、福音主義キリスト教のような聖書の字義通りの解釈に基づく温暖化否定論の立場をとらないことを明示したものと思われる。
posted by Kumicit at 2009/03/19 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Vatican | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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