2009/03/30

南アフリカのセックスとHIV/AIDS

性別・年齢別のHIV感染率は以下のようになっている:
HIVrateSA.png
[HIV prevalence by sex and age 2006 in The Demographic Impact of HIV/AIDS in South Africa by Natinal and Provincial Indicators for 2006]

母子感染などによる乳幼児感染者と、成長後のセックスによる感染者という2つの感染グループがありそうに見える。

このセックスによる感染について米国PBSは次のようなレポート記事を掲載している:
南アフリカからの記者ノートの最終回で、Ray SuarezはセックスとHIV/AIDSによる死の絡み合いを考え、誰もが議論したくない問題への直面に挑戦する。

セックスに関する文化的タブーがもたらしたAIDS流行



長きにわたって、南アフリカは非常に保守的な地域だった。 カルビン主義のアフリカーナ[英国系でない白人]たちは、肌を露出させる衣服や酒の飲みすぎや大衆文化のセックスの描写に深刻に眉をひそめる。英国政府と英国国教会は、夫婦間以外のいかなるセックスも禁じる。そした大多数派である黒人たちと、彼らが信仰するプロテスタント諸派や南アフリカで生まれた教会は、伝統的なキリスト教を支持している。

アパルトヘイトに対する抵抗運動のときも、長年にわたり亡命先で過ごした指導者たちも、厳格だったことは容易にわかる。大人になってからの人生の多くを東側ブロックと退廃的な西側で洗練され、見聞を広めても、彼らは、ただしく授業を学ぶミッションスクールの生徒のようなもので、複数のパートナーや離婚や同性愛やポルノに眉をひそめた。

南アフリカ史の多くの部分同様に、南アフリカは長い道のりを短時間で駆け抜けなければならなかった。その道のりを南アフリカが喜んで走ったか、追い立てられ、引きずられていったのかは重要なことではない。

セックスによって効率的に伝染した病気によって数百万人の生命が脅かされている。今年は、1日あたり1000人以上の南アフリカ人がHIVに感染するだろう。

根本的にセックスと愛は切り離された。さらに悪いことに、セックスについての議論から死が切り離された。これにより問題は悪化した。

ケープタウンの議会ビルにある美しく調度品を整えられた大臣室の南アフリカ厚生相から、人の多いソウェト郡区のゴミが散乱した市場の30代の既婚女性に届くメッセージは、順序が違うだけで、いつも同じだ:

  • 男たちは女からのセックスを求める
  • 男たちはコンドームを使いたがらない
  • 男たちはHIV検査を拒否する
  • 女たちは頼りにしている男たちとのセックスを拒めない

男たちも、女たちも、長い付き合いがあるにせよ、金や食料や保護のためのゆきずりにせよ、複数のセックスパートナーを持っている。

女たちが、男たちがHIV検査もコンドームを使うことも拒否したと私に語ったとき、私は「それが彼を死なせ、あなたをも殺すと意味しているとしても」という簡単な質問を必ずした。彼女たちの答えは、シンプルに「イエス」だった。

南アフリカ政府の組織図の上位にいる政策担当者たちは、AIDSの議論から、恥と死刑宣告と罪をはぎとるメッセージを見つけようと努めている。彼らは、HIVがコレステロールレベルや血圧と同様に注意をひかない医学的事実にしようと、公然と努力している。

HIVとAIDSについての初期のメッセージは、人々を怖がらせて、正しい行動をとって安全な状態にとどめようとするものだった。しかし、治療法がなかったために、この戦略は逆効果になった。人々はセックス行動を変えなかった。確実な死と治療のためにとれる手段がないことを意味するので、人々はHIV検査を避けた。

この戦略に知恵を見出せるもしれない。AIDSで怖がらせるのをやめること。そして、HIV陽性判定を、抗レトロウィルス剤を使うことで自分自身およびセックスをした相手の生命を救えるかもしれないという希望を見出せるものにすること。しかし、HIVとAIDSを、判断と行動についての倫理的結論から切り離そうとすると、愛という意図せざるものを投げ捨てさせることになるかもしれない。

南アフリカの人々は、HIVのあらゆる側面についてのラジオやテレビや掲示板や印刷物の公衆衛生メッセージを20年にわたって浴び続けてきた。セックスパートナーや広域セックスネットワークによるHIV感染の広まりが、特に妊婦と新生児であることは目新しいことではない。

HIVがAIDSを起こすことに懐疑的だったThabo Mbekiが大統領在職中も、民間による、これらのメッセージを広める努力は減速しなかった。何十万もの人々が診断を受けることなくAIDSで死んでいき、南アフリカが単独で世界最大のHIV陽性人口を抱える国になったときに、これらはすべて起きていた。

それでも、男たちは複数のセックスパートナーを求めている。女たちはHIV検査を受けていない男たちとコンドームを使わずにセックスすることを認めている。男たちは、自分自身の子供たちに、苦しみに満ちた短い人生と死を強要し続けている。

人々が他人のことを冷淡に無視できるのは目新しいことではない。男たちが自分自身の妻子に無慈悲なことができるのは目新しいことではない。わからないのはそのスケールだと思う。繰り返しHIVサイコロを振って、いつもOKが出ることを望む人々が、あまりにも多くいる。

だからこそ、汚名を取り除かなければならないと私は言われた。ある男がコンドームをつけようと言えば、ただちにその男はHIV感染を疑われ、セックスパートナーとして不適だとみなされてしまう。セックスパートナーにコンドームをつけることを求める女性は、不義を責めているか、不義を容認していると見られる。女性たちはそのどちらも選びたくない。なので、何百万もの人々が、惨憺たる結末が予測できることを、続けている。

...

[Ray Suarez: "Reporter's Notebook: Cultural Taboos Around Sex Feed AIDS Epidemic" (2009/02/23) on PBS]
複数セックスパートナー&コンドーム不使用という、セックスを媒介として感染が広まる病気に対して、きわめて脆弱な社会になっていることが、AIDSパンデミックを招いた原因のひとつに、なっているという。

このことは、母子感染などによる乳幼児感染者と、成長後のセックスによる感染者という2つの感染グループがありそうに見える年齢別のHIV感染率と整合している。
posted by Kumicit at 2009/03/30 00:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

[応答][思想・哲学・心理学]【胎児の権利】を錦の御旗に、人を殺してまで守るもの
Excerpt: 重い話題にかかわらず反応がある、しかも好意的な反応がそこそこあって少し驚いていますにゃ。 二つのスタンダード - uumin3の日記 生命倫理を語ることの難しさ 追記あり、カトリック文献資料の紹介 ..
Weblog: 地下生活者の手遊び
Tracked: 2009-04-08 19:56
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。