2009/05/24

"Nature is wild."

自然界では、ときとして感染症によって種が絶滅の危機に至ることがある。

Ebolaに脅かされるアフリカ中部の類人猿 -- 予防接種集団による対エボラ防衛ライン



エボラは体液の接触によって感染し、急速に死に至らしめる。人間が感染すると、急激に病気になり、肉体は文字通り融解する。なので、他の人々は感染者に近づく時間がない。さらに、急速に死に至るために、ウィルスを遠くまで運べない。エボラは孤立した集落やコミュニティを破滅させて、そこからどこへも行けずに終わる。

「人々は、ゴリラも人間と同じだと考える」とWalshは言う。ゴリラは比較的小さな集団で生活し、集団の間で相互作用はないので、そう考えることに意味が出てくる。しかし、奇妙なことにエボラはゴリラでも集団の境界を越えて、年間29マイルの速さで、感染を広めている。アウトブレークおよび動物の行動のフィールド研究が、この謎の解明に役立つかもしれない。Walshの研究チームはすぐに、この謎を解明した。

....

ニシローランドゴリラは大半は果物で生きており、果樹が乏しいために、複数のゴリラの集団やチンパンジーの集団が、同じ果樹を違う時間帯に利用している。「彼らは、果樹のまわりで、うんこやおしっこをする。残された液体によって、次にやってきた集団への感染が広まる。」とWalshは言う。ゴリラは知能が高く、死因を知ろうとして、類人猿の死体を調べようとする。これが直接的な感染経路になる。

[Why Ebola is Killing Gorillas (2007/04/26) on TimeCNN]
エボラの感染拡大に無防備なゴリラたちは自然なままでは、絶滅するかもしれない。これを止めるためには、感染が拡大する前方の集団に、予防接種して防壁を展開することが必要かつ効率的:
感染のメカニズムがわかったので、これを止めることは比較的容易である。エボラのワクチンがある。ただし、アナウンスしてもゴリラ全頭へ予防接種センターへ集められない。代りに、集団全体への予防接種が現実的でない場合に人間社会で有効に機能する選択的予防接種を使う。感染拡大の前線のゴリラ集団への予防接種をすることで、ウィルスがそこに到達したところで感染を止める。
とはいえ、予防接種に漏れがあれば、防衛ラインを突破されてしまうわけだが。


多様性保存対策の段階にあるタスマニアンデビル



ゴリラのエボラよりも状況がもっと悪いのが、感染する癌によって絶滅の危機にあるタスマニアンデビル。
DFTD describes a horrific and fatal condition in Tasmanian devils which is characterised by the appearance of facial cancers. The tumours or cancers are first noticed in and around the mouth as small lesions or lumps. These develop into large tumours around the face and neck and sometimes even in other parts of the body.

DFTD is extremely unusual as it is only one of three recorded cancers that can spread like a contagious disease. The cancer is passed from devil to devil through biting. The live tumour cells aren’t rejected by their immune system because of a lack of genetic diversity among Tasmanian devils.

DFTDは、顔面の癌によって特徴づけられる恐るべき致命的な、タスマニアンデビルの病気である。腫瘍もしくは癌は、最初は小さな口腔内あるいは付近の小さな塊として現れる。これらは顔や首回りの大きな腫瘍になり、ときには胴体でも腫瘍が発達する。

DFTDは3つしか知られていない感染性の癌のひとつである。癌は噛みつきによって、タスマニアンデビルからタスマニアンデビルへと感染する。タスマニアンデビルの遺伝的多様性が小さいために、生きた腫瘍細胞が免疫系によって拒絶されない。

[Devil Facial Tumour Disease on Department of Primary Industries and Water -- Tasmania]
感染を抑止する方法がなさげな状況である。このため、既に野生での絶滅を想定した対策が始まっている。
Insurance population(保険集団)

The Save the Tasmanian Devil Program established a captive breeding insurance population in 2005, gathering animals from areas of the State where there has not been evidence of DFTD. As at February 2009, the insurance population had grown to 145 disease-free Tasmanian devils.

The animals in this breeding program could play an important role, if ever needed, in helping re-establish healthy wild populations in Tasmania.

タスマニアンデビル保護計画は、DFTD感染の証拠がない地域から動物を集めて、捕獲飼育保険集団を確立した。2009年2月辞典で、保険集団は病気になっていない145頭のタスマニアンデビルを集めた。この飼育計画の動物たちは、必要になれば、タスマニアでの健康な野生集団を再確立するために、重要な役割を担う。

Devils in the insurance population were initially isolated and housed in purpose-built quarantine enclosures, before being sent to mainland wildlife institutions, approved by the Australasian Regional Association of Zoological Parks and Aquaria (ARAZPA). Mainland wildlife parks were largely chosen because they are well away from diseased areas.

保険集団のタスマニアンデビルは最初は、検疫隔離場所に隔離され、オーストラリア地域動物公園協会の承認のもとで、オーストラリア本土の野生動物公園に送られる。オーストラリア本土の野生動物公園が選ばれたのは、主として感染地域から遠く離れていることによる。

...

Taking advice from ARAZPA, the Save the Tasmanian Devil Program has determined that we need an effective population size of around 500 breeding devils to maintain the genetic diversity of the species over a period of 10 to 20 years. This may mean having as many as 1,500 devils being intensively managed in captivity – a massive task.

ARAZPAからの助言に従い、タスマニアンデビル保護計画は遺伝的多様性を10〜20年にわたって維持するために、有効頭数500規模の集団が必要だと判断した。これは最大1500頭のタスマニアンデビルを飼育する必要があることを意味する。それは大きな仕事である。

[Devil Facial Tumour Disease on Department of Primary Industries and Water -- Tasmania]
感染した個体を隔離するのではなく、感染していないことが確実な個体を守る段階にきている。


人間の介入



タスマニアンデビルの遺伝的多様性が小ささによって感染が止まらなくなっているDFTD, そして、同じ果樹を複数の集団が時間帯別に利用することによって感染が拡大しているニシローランドゴリラのエボラ。いずれも感染抑止あるいは種の存続のために、人間の介入を必要としている(タスマニアンデビルやニシローランドゴリラを保護すべきかどうかはさておき)。

まさに、"Nature is wild."というところ。


posted by Kumicit at 2009/05/24 02:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。