2006/02/05

宇宙は広い..."若い地球の創造論"の困難な問題

「創造6日間限定の何でもあり」な"若い地球の創造論"だが、彼らにとってこの宇宙は理解できないことが多すぎる。そのひとつが、宇宙の年齢は6000年なのに、6000光年よりも遠い星が見えること。



"若い地球の創造論"の大問題は

  • 星の光の到達時間問題:数百万光年あるいは数十億光年彼方の銀河からの光が見えるの宇宙の年齢が6000年であるという聖書の記述に反する証拠
  • 洪水地質学:ノアの大洪水の水の供給源と行き先、及び地層や化石など地球の年齢が6000年であるという聖書の記述に反する証拠
  • "進化しない論":変化し続けるウィルスやバクテリアなど、生物は最初の6日間に創造され、その後は変化しないという聖書の記述に反する証拠
をどう解釈するかである。

今回は、星の光の到達時間問題(starlight travel time problem)について、Ken Hamが主宰する"若い地球の創造論"サイトThe in-depth journal of Creation Vol17(2) (2003/08)に掲載された「John G. Hartnett:A new cosmology: solution to the starlight travel time problem」によれば、これについて、考え方は5つあるという:

  1. 創世記は見た目(Appearance)を記述したもの: 数百万光年あるいは数十億光年の彼方の星は数百万年前あるいは数十億年前に創造され、その光が創造第4日に地球に到達したと考える。この説はRobert NewtonがAiGの"The in-depth journal of Creation"に掲載した記事「Distant starlight and Genesis: conventions of time measurement(2001)」で発表したもの。しかし、これは聖書の解釈が違うというのがJohn G. Hartnettの考え。彼は"The in-depth journal of Creation"の翌々号で反論を述べている。

  2. 創造6日間の宇宙の時間は地球上の時間より10兆倍も速く流れた:これはStuart Burgess が自著「He Made the Stars Also: What the Bible Says About the Stars」で2001年に発表した説である。John G. Hartnettは、もしそうなら青方偏移が観測されるはずだが、実際は赤方偏移が観測されているので、これは間違いだと考えている。

  3. 創造6日間の地球上の時間は宇宙の時間より10兆倍も遅く流れた
    これはRussel Humphreysが自著「Starlight and Time: Solving the Puzzle of Distant Starlight in a Young Universe」で1994年に発表した説である。地球上の時間の方を創造6日間限定で遅らせてしまうことで、青方偏移が観測されない問題を解決する。諸般の都合により、地球が宇宙のほぼ中心に位置する必要があるらしい(これについてはまたの機会に:Russell Humphreys: 2002])。

  4. 光速は現在よりも1000億倍から1兆倍も速かった:これはSetterfield and Normanが1986年に主張したもの。しかし、それを裏付けるような観測事実がないのでこの説は排除される。これの派生として、光速は無限だったが、アダムとイブの楽園追放時に有限になったというHarrisが1978年に唱えた説もある。これも青方偏移が観測されないことから棄却される。

  5. 神は星から放たれた光も創造した:超新星1987Aが十数万年前に爆発したかのような光を創造した(実際には超新星1987Aは存在せず、残骸が創造されている)。いわゆる"Appearance of Age"という考え方である。かつての創造科学の主導者Henry Morrisは自著「Scientific Creationism」で1974年にこの説を述べている。ただし、これは検証不可能。

John G. Hartnettは「創造6日間の地球上の時間は宇宙の時間より10兆倍も遅く流れた」を修正採用している。

宇宙と地球の年齢は6000年という聖書の記述と、宇宙は100億年以上前から存在しているかのように観測されるという事実を整合させるべく、あーでもないこーでもないと議論が続いているのが"若い地球の創造論"。一応は以下のような掟があるようだが:

  • なんでもありなのは創造6日間だけ
  • 宇宙についての観測事実は、できる限り受け入れる
  • "Apperance of Age"はできるだけ使わない

従って、創造6日間については光速や時間の流れる速度の違いについての物理理論を作る必要はない。なので、"時間の流れが10兆倍"みたいな議論ができてしまう。
それでも、現在の物理法則や観測事実は無視できないので、"決定版な理論"は作れない。

なかなか大変な"若い地球の創造論"である。そこまでするなら、宇宙と地球の年齢は諦めて"古い地球の創造論"にしてもよさそうなものだが...


ちなみに、インテリジェントデザインは地球や宇宙の年齢については何も言わないので無関係。基本は"古い地球の創造論"の一変種である進歩的創造論(大進化は神・小進化は自然法則・宇宙は150億歳・地球は45億歳)なので、光速や時間を操作する必要はない。
posted by Kumicit at 2006/02/05 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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