- マスカラがつけられるように、睫毛が発達した
- 自動車は暗い道路を照らすために警笛を鳴らす
- 綿の切れ端が集まるので、雲ができる
- 地球は紫外線から防護するためにオゾン層を持っている
- 掃除機は集塵するので人々は掃除機を買う
- 寄生虫は宿主に感染するために増殖する
- コケは土壌侵食を止めるために、岩の周りに生える
- 母親は赤ちゃんを怖がらせるためにキスをする
- ミミズは土に空気を通すために、地面にトンネルを掘る
- シマウマは石炭を食べるので黒い縞がある
- 子供は手が冷たくならないように、手袋をする
- ダニは死んだ皮膚細胞を消費するために、皮膚の上に生息している
- 花は水が足りないと弱る
- 植物が光合成できるように、太陽は光を放つ
- 動物が同時に息を吐くので、突風が起きる
- 地殻構造プレートは再整列しなければならないので、地震が起きる
- 病原体は薬物抵抗を持つために突然変異する
- 分子は物質をつくるために結合する
- 間欠泉は地下の熱を放出するために噴き上がる
- ウィルスに感染するので、インフルエンザに罹る
- ティーポットは水が沸騰していることを知らせるために、口笛のような音を出す
- 大気に水分を与えるために、水は凝集する
- パンはイースト菌があるので膨れる
- フィンチは生存するために多様化した
以上は、「人間は自然界を目的論で説明し、ランダムな現象に必然的因果関係を求め、進化論よりも創造論を信じる傾向があるらしい」という話をしたエントリ:
==>やっぱり人間の心は創造論を信じるような実装になっている (2009/03/03)
で取り上げた論文:
==>Deborah Kelemen and Evelyn Rosset: "The Human Function Compunction: Teleological explanation in adults", Cognition, 111(1), 138-143, 2009
に載っていた、調査用の問題文のサンプル(目的論調査用26と、被験者の注意力確認用54 のうちの24個)を適当に並べ変えたものである。
Table 1対応関係は...
Sample items included in both Study 1 and 2 (presented with Study 2 phrasing and using Study 2 item type labels).
目的論志向を調べるための項目
- Implicit biological: (さりげない生物学)
- Earthworms tunnel underground to aerate the soil.(ミミズは土に空気を通すために、地面にトンネルを掘る)
- Mites live on skin to consume dead skin cells.(ダニは死んだ皮膚細胞を消費するために、皮膚の上に生息している)
- Mosses form around rocks to stop soil erosion.(コケは土壌侵食を止めるために、岩の周りに生える)
- Explicit biological: (露骨な生物学)
- Finches diversified in order to survive.(フィンチは生存するために多様化した)
- Germs mutate to become drug resistant.(病原体は薬物抵抗を持つために突然変異する)
- Parasites multiply to infect the host.(寄生虫は宿主に感染するために増殖する)
- Implicit non-biological: (さりげない非生物学)
- The sun makes light so that plants can photosynthesize.(植物が光合成できるように、太陽は光を放つ)
- Water condenses to moisten the air.(大気に水分を与えるために、水は凝集する)
- Molecules fuse in order to create matter.(分子は物質をつくるために結合する)
- Explicit non-biological: (露骨な非生物学)
- Earthquakes happen because tectonic plates must realign.(地殻構造プレートは再整列しなければならないので、地震が起きる)
- Geysers blow in order to discharge underground heat.(間欠泉は地下の熱を放出するために噴き上がる)
- The earth has an ozone layer to protect it from UV light.(地球は紫外線から防護するためにオゾン層を持っている)
対照項目(被験者が正しく問題文を読んでいるか確認するため)
- Good physical: (正しい物理)
- Flowers wilt because they get dehydrated.(花は水が足りないと弱る)
- Bread rises because it contains yeast.(パンはイースト菌があるので膨れる)
- People get the flu because they catch a virus.(ウィルスに感染するので、インフルエンザに罹る)
- Bad physical: (間違った物理)
- Zebras have black stripes because they eat coal.(シマウマは石炭を食べるので黒い縞がある)
- Gusts of wind occur because animals exhale together.(動物が同時に息を吐くので、突風が起きる)
- Clouds form because bits of cotton collect together.(綿の切れ端が集まるので、雲ができる)
- Good teleological: (正しい目的論)
- Children wear gloves to keep their hands warm.(子供は手が冷たくならないように、手袋をする)
- Teapots whistle to signal the water is boiling.(ティーポットは水が沸騰していることを知らせるために、口笛のような音を出す)
- People buy vacuums because they suck up dirt.(掃除機は集塵するので人々は掃除機を買う)
- Bad teleological: (間違った目的論)
- Cars have horns to illuminate dark roads.(自動車は暗い道路を照らすために警笛を鳴らす)
- Eyelashes developed so that people can wear mascara.(マスカラがつけられるように、睫毛が発達した)
- Mothers kiss babies in order to scare them.(母親は赤ちゃんを怖がらせるためにキスをする)
さりげない生物学 7, 9, 12
露骨な 生物学 6, 17, 24
さりげない非生物学 14, 18, 22
露骨な 非生物学 4, 16, 19
正しい 物理 13, 20, 23
間違った 物理 3, 10, 15
正しい 目的論 5, 11, 21
間違った 目的論 1, 2, 8
Kelemen and Rosset [2009]の実験では、これらを、Fast(画面上に3.2秒表示), Moderate(画面上に5秒表示), Unspeeded(制限時間なし)で実施し、対照項目の正答率の差異に比べて、目的論選択率には大きな違いが出たという結果を得ている。
Table 2対照項目は問題文表示時間が短くてもほとんど正解する。
Mean percentage of unwarranted teleological test explanations accepted
and control items answered correctly in Study 1.
目的論選択率 対照項目正解率
生物 非生物 合計 物理 目的論 合計
Fast 51 44 47 92 96 94
Moderate 41 33 36 92 94 93
Unspeeded 35 26 29 90 91 91
Total 43 35 38 91 91 93
なお、Kelemen and Rosset [2009]の実験では、問題文表示時間によらず「地球は紫外線から防護するためにオゾン層を持っている」のような地球が生命のためにデザインされ維持されていることを意味する誤った文を正しいと判断する傾向があることを見出している。
残念ながら、全設問が掲載されておらず、各設問ごとの選択率も掲載されていないの。したがって、比較しようもないが、「地球は紫外線から防護するためにオゾン層を持っている」のような露骨な表現を選択する比率が、キリスト教の影響が強い米国と、そうではない日本で違うかは興味あるところ。
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