2006/02/21

創造科学にとって神様は勝手な初期条件を用意するためのもの

創造科学(Scientific Creationism あるいは Creation Science)とは:

  • 以下の"事実"を科学的に説明する

    • 宇宙の年齢は6000年であるにもかかわらず、150億年に見える
    • 地球の年齢は6000年であるにもかかわらず、45億年に見える
    • 生物は進化しないにもかかわらず、進化したように見える
    • ノアの洪水は起きたにもかかわらず、洪水前の水のありかと、洪水後の水の行き先が不明

  • その際の掟は

    • 創造6日間は物理法則を無視してよい。どんな初期状態を作ってもよい
    • その後は、物理法則は完全に有効である
       
    • 神様は直接介入しない





"Appearance of Age"(神は"かのように"世界を創造した)については意見が分かれるところだ:

  • Ken Hamが主宰する"若い地球の創造論"のもっともアクティブなサイトAnswers in Genesis は、"Appearance of Age"をできる限り避けようとしている。
  • かつての創造科学の主唱者であるInstiture for Creation ScienceのHenry Morrisは、"Appearance of Age"は創造の本質であり[Henry Morris: "The Twilight of Evolution"]、いかなる地層の年代も(神託以外に)確実にする方法はない[Henry Morris: "Scientific Creationism]と言っている。星が光りだす前に、星からの光もまた創造されたと主張する。
ただ、いずれも、「恐竜は化石だけが創造された」という"偽造"としての"Appearance of Age"は認めていない。

ここで、違和感があると思えるのは「神様は直接介入しない」だろう。でも、実際、"神様の直接介入なし"に"ノアの洪水"を起こそうという、洪水地質学という"研究分野"がある。そのひとつが、退役空軍大佐でMITにて機械工学で学位を取得したDr. Walt Brownが提唱するHydroplate Theory(Web,本人による説明(Quick Time)

We can see on our planets, seventeen very strange features, which can now be systematically explained, as a result of catastrophic global flood whose water was erupted from subterranean chambers with energy release exceeding the explosion of ten billion hydrogen bombs. ....

我々の惑星には17の非常に奇妙な特徴があるが、今やこれらは系統的に説明できる。100億の水爆の爆発を超えるエネルギーの放出とともに、地下洞から噴出した水による全地球的破滅的洪水の結果として。...

となかなか自信たっぷりなご説明。で要約すると

  • 地球には巨大な大陸があった
  • 地下10マイルにある互いにつながった地下洞に水が貯えられていた。
  • 水にはその上の10マイルの地殻の圧力が加わっていた
  • 水圧で、地殻にもストレスがかかっていた
  • そして、あるとき微細なクラックが地殻に入り、秒速3マイルで亀裂は広がって2時間で地球を一周
  • 亀裂から、20マイル上空まで水は噴出
  • 上空で冷やされた水は氷となって落下し、氷河期を起こす
  • 盛り上がった亀裂をすべり落ちるように大陸プレートが移動。大西洋の海嶺を含む海底地形を形成。
  • 大陸プレートは時速45マイルまで加速
  • 噴出した水が現在の海洋の水となる

なんと、氷河期から大陸移動まで一気に始末をつけてしまうというお話。欠点を挙げ始めればきりがない。進化論サイドで創造論と戦うサイトTalkOrigins.Orgにある
Mark Isaak: "Problems with a Global Flood"が、このHydroplate Theoryの欠点を挙げている:

  • How was the water contained? Rock, at least the rock which makes up the earth's crust, doesn't float. The water would have been forced to the surface long before Noah's time, or Adam's time for that matter.
  • Even a mile deep, the earth is boiling hot, and thus the reservoir of water would be superheated. Further heat would be added by the energy of the water falling from above the atmosphere. As with the vapor canopy model, Noah would have been poached.
  • Where is the evidence? The escaping waters would have eroded the sides of the fissures, producing poorly sorted basaltic erosional deposits. These would be concentrated mainly near the fissures, but some would be shot thousands of miles along with the water. (Noah would have had to worry about falling rocks along with the rain.) Such deposits would be quite noticeable but have never been seen.

  • 地下の水をどうやって維持するか?少なくとも地殻を構成する岩石は水には浮かない。水はノアの時代よりも前に地表へと押し出される
  • 1マイルの深さであっても、地球は非常に高温である。地下に貯えられた水は加熱される。さらにVapor Canopy Modelと同様に大気上層から落下する水のエネルギーが加わる。ノアはゆであがってしまう。
  • 証拠はあるか?放出された水は亀裂の両側を浸食し、あまり成層されない玄武岩の浸蝕された堆積物が生産される。これらの多くは亀裂近くに集中するが、一部は水とともに数千マイル彼方へ飛ばされる。(ノアは雨と共に落下する岩にも困ったことだろう)


それはそれとして、ここで注目すべきは、Dr. Walt BrownがこのHydroplate Theoryにおいて:

  • 水を貯え、互いにつながっている地下10マイルのChamber(小室・洞)ができた原因をまったく説明しない。掟に従い、初期状態を物理法則を無視して想定する。
  • 洪水は神様の介在なしに自動的に発生する。神様は黙ってみているだけで、地殻の亀裂から破滅的な状況が発生する


Dr. Walt Brownは
The Bible says that “all the fountains of the great deep burst open in one day.."
聖書は言う「この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。
とは言うものの、神様については言及しない。

洪水地質学の言うノアの洪水とは、現象としては旧約聖書創世記7章の記述に従うが、創世記6章7節「主は言われた。『わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。』」のような意図的なものではない。あくまでも地球の初期条件から必然的に導かれる自然現象である。あえて言うなら、創造6日の時点でノアの洪水は神様によってビルトインされていた

創造科学の掟とは:
  • 創造6日間は物理法則を無視してよい。どんな初期状態を作ってもよい
  • その後は、物理法則は完全に有効である
  • 神様は直接介入しない
というものだということを、非常に明瞭に示している例と言えるだろう。


なお、聖書の日本語訳には日本聖書協会訳を使用した。

posted by Kumicit at 2006/02/21 04:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。