2009/12/16

米国の温暖化否定を概観する (7b) ゆるがない米国の世論

Climate Gateのドタバタが2009年11月にあった:
[Katherine Noyes: "Hacked Climate Emails: Tempest in a Teapot?" (2009/11/25)]

Union of Concerned Scientistsの広報担当Aaron Huertasは、「ハッキングされた科学者たちがやりとりしていたEmailメッセージは、言葉の選択が良くないものもあったが、実際に行われている科学に何らの欠点を示すものもない。Isaac Newtonは時には間違っていたが、それは重力理論が間違っていることを意味しない。」と述べた。

数週間後に国連気候変動会議が Copenhagenで開かれるにあたり、この分野における指導的な科学者たちは今週中にやっておきたいことが多くあっただろう。しかし、それはできなかった。匿名の泥棒によって、East AngliaのClimatic Research Unit (CRU)から大量のEmailが盗まれた。

これにより、このハッキングでEmailを盗まれた、気候変動における重要な科学者たちは、自分たちの研究の擁護とダメージコントロールに忙殺された。

National Center for Atmospheric Researchの気候解析部門の長であるKevin TrenberthはTechNewsWorldに、次のように述べた「私や他の多くの気候科学者たちは、生産的な仕事ではなく、この混乱の収拾・対処に今週、時間をとられた。私はそれもハッカーの戦略のひとつだと思う。」


Deliberate Timing?

本当に、責任者に対して何らの語られていないが、ニュースが明るみに出た時から、攻撃のタイミングは、ここ数日々、潜在的に有意な要因として広く注目された。

たとえば、Climatic Research Unitの責任者であるPhil Jonesは次のように述べた「この時点でEmail文書が盗まれて後悔されたことが偶然の一致だとは思えない。Copenhage会議の前に、気候変動の科学に対して疑問符をつけようとする協調した試みだろう」


'Written in the Heat of the Moment'

Jones は、盗まれたEmailと文書に関係する数人の科学者のひとりだった。それらの中にJonesが書いたEmailがあった「私は1960年から1981年の過去20年の時系列に実際の温度にMikeのNatureトリックを加えて、Keithのために低下を隠した。」とあった。

批判者たちはデータが気温上昇を示すように改竄された証拠として、そのEmailに飛びついた。しかし、Jonesと関係する他の科学者たちは彼らの研究を積極的に擁護した。

Jones は火曜日に次のように述べた。「私の研究仲間や私は、公表されたEmailの幾つかが意味が取れにくことは認める。私は、その結果として引き起こされた動揺や混乱を残念に思う。幾つかその頃の情熱で書かれている。他のメールでは、親しい研究者仲間の間で多用される口語表現が使われている。我々は、我々の科学出版物が堅牢かつ正直なことを確実にすることに、常に几帳面である。」

実際、CRUもJonesのデータの真実性を示す一連のグラフを公表した。


Calls for Inquiry

しかし、盗まれたEmailの実際の内容が問題になるかさえも、非常に疑問の余地がある。英国では、論争の両サイドがは、月曜日に調査を要求している。一方、米国では、その間、地球温暖化はホラだと論じてきた、オクラホマ選出共和党James Inhofe連邦上院議員が調査を求めていた。

'Something Orchestrated'

Trenberth は次のように述べた。「明らかに、ここで組織化された何かが進行している。私は他の人々がやっていると報道される形で、Inhofeのオフィスと連絡をとっていない。大量のEmailを受け取ったが、どれもとても短くて、とても攻撃的なものだった。明らかに異なる複数のグループがこのようなことを推進している。少なくとも、この状況は武運的には明らかに政治的だ。」

'Shooting the Messenger'

さらにTrenberthは次のように述べた。「我々が気候変動について理解していることすべてについて科学的基礎がある。他方、これについてすることは、議論に上がる。現在の論争の大旋風は、"知らせを持ってきたものを撃つ"の例である。残念ながら、これは少し成功しているようだ。先を見れば、この経験から、発言について注意を要すべきで、おそらく、ある時点で過去に遡って古いEmailを削除するのが適切だということになるだろう。」

'Another Political Football'

Union of Concerned Scientistsの広報担当Aaron HuertasはTechNewsWorldに対して次のように述べた。

「長い目で見れば、私はこれが世論に何らかの影響を与えるとは思えない。この主張を推進しているのは、Inhofeのように長年にわたり、いずれにせよ科学を攻撃してきた人々だ。彼らにとっては、またひとつの使える政治的フットボールである。そのような攻撃はつまるところ、月着陸はなかったと主張するようなレベルの陰謀論である。

「せいぜいがところ、この出来事は、あごひげと眼鏡をもつ落ち着いた紳士としての科学者という俗説を変えるだけだ。そして、これは科学者が人間的であり、仕事熱しであることを示すだけだ。」

「Isaac Newtonは時には間違っていたが、それは重力理論が間違っていることを意味しない。」と、NASAの気候学者Gavin SchmidtのNew York Timesのインタビューでの言葉を言い換えた。

「言い換えるなら、これらのEmailは、実際の科学を非難するものではない。」と、彼は結論した。
「長い目で見れば、私はこれが世論に何らかの影響を与えるとは思えない」というUnion of Concerned Scientistsの広報担当の発言だが、これがどうも正しい指摘のようである。

連続的なデータはないが、2つの世論調査をつなぐと、米国の世論の傾向が見れる。
Pew Research Center survey. Sept. 30-Oct. 4, 2009. N=1,500 adults nationwide. MoE +/- 3.

"From what you've read and heard, is there solid evidence that the average temperature on earth has been getting warmer over the past few decades, or not?" If yes: "Do you believe that the earth is getting warmer mostly because of human activity such as burning fossil fuels, OR, mostly because of natural patterns in the earth's environment?"

Ipsos/McClatchy Poll conducted by Ipsos Public Affairs. Dec. 3-6, 2009. N=1,120 adults nationwide. MoE +/- 2.9 (for all adults).

"You may have heard about the idea that the world's temperature may have been going up slowly over the past 100 years. What is your personal opinion on this? Do you think this has probably been happening, or do you think it probably has not been happening?"

If "Probably has" (N=769):
"Do you believe that the earth is getting warmer mostly because of human activity such as burning fossil fuels, OR, mostly because of natural patterns in the earth's environment?"

[via PollingReport.Com]
これらの結果をつなぐと...


<-- PEW --------------------> Ipsos
June July Aug Jan Apr  Oct Dec
2006 2006 2006 2007 2008 2009 2009
% % % % % % %
Yes 70 79 77 77 71 58 70
Because of human activity 41 50 47 47 47 36 43
Because of environ, patterns 21 23 20 20 18 16 24
Don't Know 8 6 10 10 6 6 3
No 20 17 17 16 21 33 28
Mixed/Don't Know 10 4 6 7 8 10 3
2008年4月と2009年9-10月で大きく変化しているが、Climate Gate騒ぎの後では、元の傾向にもどり始めている。

その理由を求めて、とりあえず、簡単に手に入るニューヨークのセントラルパークの月平均気温を見てみたところ...
NewYorkMonthly.png
2009年6月と7月は記録的に涼しかった。マンハッタンでは通常は8月より7月の方が暑いのだが、2009年は逆転している。マンハッタンからNew Haven線に乗っているうちに州境を通過するコネチカット州でも同様の傾向が見られる。

でも冬になって、夏のことを忘れたらしく、元の傾向に戻り始めている。Climate Gateの世論への影響は、夏の気温よりも、はるかに小さかったと見るべき。

同様に、2007年11月に起きた温暖化フェイク論文騒動も、上記の世論調査をみると、何の影響も与えていないことがわかる。
[Fake climate change paper (2009/11/09) on Nature Blog]

地球温暖化に対する議論は、変な展開をした。「人類に起因する地球温暖化」を論破するというフェイク論文について、ブロゴスフィアは大騒ぎ。

フェイク論文そのものはサイトから削除されたようだが、Google Cacheには残されている。これのEditorialのCacheも残っている。「我々は、政策立案者たちに動揺を引き起こした、全地球的な気温上昇が、工業からの排出とは関係がなく、自然現象と結論するしかない」とフェイク論文は結論した。

しかし、記載された著者たちと所属機関は存在しないようだ。記載された編集委員会も怪しい。Registerや様々なブログが、これらを楽しんだ。そのなかに、このフェイク論文の作者が英国の著述家David Thorpeであるという説がある。しかし、Thorpeはこれを否定した:
明白にしよう。このサイトのコンテンツを私は書いていない。誰かがやったことだ。私がジョークが好きだと知っている誰かから頼まれたので、サイトをデザインしただけだ。このサイトが私が書いたかのように見えるのは認めよう。とても面白いサイトなので、自分で書いたものだったら、よかったと思う。しかし、私は書いていない。


[Daniel Cressey: "INTERVIEW: author of spoof paper speaks" (2009/11/09) on Nature Blog]

Q: 本名は言えますか?

A: いえません

Q: 職業は? 気候分野の仕事あるいは勉強をしたことは?

A: 関連分野の仕事をしています。

Q: どこか言えますか?

A: いえません

Q: なぜフェイクサイトを作ったのですか? ただのジョークですか? それともフェイク論文を真に受ける人々がアホに見えるようにするため?

A: 目的は、自らを気候変動懐疑論者と呼ぶ人々が、いかに信じやすく、科学的に無学であるかを見せつけるためです。彼らは、多くの気候変動の研究者たちの仕事を軽蔑するが、彼らのポジションを支持するものなら何でも信じてしまう。彼らの気候変動へのアプローチは懐疑論とは正反対です。

Q: あなたのネタが報道されたことに驚きましたか?

A: 別に。"Oregon Petition"とかDavid Bellamyの危ない氷河の図と同様に狂った主張が、広く世界を巡り、懐疑的なコミュニティに拾われる。しかし、どうやっても彼らを説得できません。人々を起こして、話を聞かせるには、デモンストレーションが必要です。それが私がやったことです。

Q: どれくらいで、あなたの論文がフェイクだとばれると思いましたか?

A: Google時代なので、フェイクはそんなに続きません。しかし、フェイクであることがばれるまでに、非常に多くの懐疑論者をひっかけました。Rush Limbaughは自分の番組で放送し、James Inhofeのオフィスはそれをサイトにアップした[編集部注: Inhofe上院議員のオフィスは、サイトにアップしていないと言っている]。Benny Peiserは2000人のこのネタを送り、Ron Baileyはこれについて執筆した。

Q: あのフェイクサイトをつくるのに、どれくらい時間がかかりましたか?

A: 4日です。

Q: なぜサイトは消えたのですか? 自分で消したのですか?

A: ホスティングしている会社が削除を決めました。

Q: あなたのフェイクにだまされた人々に、何と言いますか?

A: ばかじゃん

Q: 気候変動についての、あなたの本当の意見はどんなものでしょうか? 人類は現在観測されている温暖化に責任があると思いますか?

A: はい。明白に。

Q: ほかに仕込んでいるフェイクはありますか?

A: それは内緒です。

[フェイク論文コピー]

Journal of Geoclimatic Studies (2007) 13:3. 223-231
DOI:152.9967/r755100729-450172-00-4

Carbon dioxide production by benthic bacteria: the death of manmade global warming theory?
海底細菌による二酸化炭素の生産:人類起源の温暖化理論の終焉?

....


まさに、長い目で見れば、冷夏もフェイク論文もClimate Gateも米国人の温暖化に対する見方に影響を及ぼさない。




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posted by Kumicit at 2009/12/16 08:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | Sound Science | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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