- 証拠に反論する広告キャンペーンの開始
- 自分の視点を支持する、既に否定された科学研究や神話を科学的事実として宣伝する
- 科学的な不確定さを指摘し、即時対応したときの経済減少を主張
- 自分たちの視点を支持するローカルなデータを使い、全地球的な証拠を無視する
- 「予算獲得のために大災厄の不確かな予測を利用している」と、科学者を批難する
- 「イデオロギー的ゴールを推進するために環境問題を誇大宣伝している」と環境保護主義者を批難する
- 「米国だけ規制したら、競争力を失う」と主張する
- 「対策をとるためには、さらなる研究が必要だ」と主張する
- 影響とともに生きていく方が費用がかからないと論じる
==>米国の温暖化否定を概観する (1) 前哨戦 あるいは オゾン層破壊否定の戦い(2009/12/13)
この戦いの最後に登場した否定論者サイドの科学者Dr. S Fred SingerとDr. Sallie Baliunasはいずれもオゾン層の専門家ではなかった。そして、地球温暖化問題でも否定論者として登場した。
==>米国の温暖化否定を概観する (2) オゾン層破壊否定の終わり あるいは温暖化否定論者の登場(2009/12/13)
==>米国の温暖化否定を概観する (5) 温暖化否定論の立場をとる科学者たち(2009/12/13)
温暖化否定論の主張はDr. S Fred Singerひとりで尽くされてしまっている。その主張を、理系スタッフのほとんど存在しない保守系シンクタンクが出版物などの形で広めていく。専任やフェローなどの形で理系のPhDを関与させているのは、Dr. Sallier Baliunasの所属するThe George C Marshall Instituteや、Dr. S Fred Singerが自ら主宰するSEPPくらいである。
==>米国の温暖化否定を概観する (5b) 温暖化否定シンクタンク (2009/12/18)
そして、それらの宣伝を受けて、温室効果ガス排出規制に対抗する政治家(共和党Inhofe上院議員)がいる。
==>米国の温暖化否定を概観する (6) 温暖化否定の政治家Jim Inhofe(2009/12/14)
Jim Inhofe連邦上院議員の行動は、2002年のLuntzメモにしたがったもの。その助言は、かつてのオゾン層破壊否定のときに行われたものと同様なものだった。
==>米国の温暖化否定を概観する (6b) 2002年のブッシュ政権への助言 Luntzメモ (2009/12/17)
地球温暖化否定とオゾン層破壊否定はまったく同じ形で進行しているように見える。しかし、その2つには巨大な違いがあった。それは福音主義キリスト教である。聖書創世記をかかげて、温暖化を否定する連邦下院議員や牧師たちもいる。
==>米国の温暖化否定を概観する (3) 聖書に基づく温暖化否定論(2009/12/13)
「人間は1万年前までに神よって現在の姿で創造された」と信じる人にが40%以上という、福音主義キリスト教(南部バブテスト)の影響のもとで、20〜30%が温暖化していないと回答し、15〜30%が人間が温暖化の原因ではないと回答する。
==>米国の温暖化否定を概観する (7) 温暖化否定論に立つ米国人たち(2009/12/15)
ただし、創造論者たちは、温暖化否定というわけではない。
==>米国の温暖化否定を概観する (4) 温暖化否定の立場に立つわけではない創造論者(2009/12/13)
また、世論調査結果は、夏が涼しいとか、Climate Gateとかで変動するものの、長い目で見れば趨勢はほとんど変わっていない。福音主義キリスト教の影響が大きい人々は考え方を変えないようである。
==>米国の温暖化否定を概観する (7b) ゆるがない米国の世論(2009/12/16)
2つの流れが合流した温暖化否定論
1993年頃、Philip Morrisなどの煙草会社は「副流煙と癌に関連性」という問題を抱えていた。このとき、「副流煙と癌に関連性はない」という主張を繰り広げていた人々の中に、Dr. S Fred Singer[ie Yach et al. 2001]とSteven Milloy[ie UCS 2007]がいた。Philip Morrisと「副流煙と癌」、Dupontと「CFCによるオゾン層破壊」、Exxonと「CO2による温暖化」と登場人物と問題は変われど、「企業と問題と保守系シンクタンクと常連"科学者"の存在」という構図がある。
ただ、温暖化否定論(温暖化していない・CO2は温暖化に効いていない・人間の排出したCO2は温暖化に効いていない)が、副流煙やオゾン層破壊と異なるのは、福音主義キリスト教の影響。
実際、福音主義キリスト教は進化論とともに地球温暖化とも敵対する。反進化論のひとつであるインテリジェントデザインの本山たるDiscovery Instituteの別部門Technology and Democracy Project (TDP)のミッションのひとつが温暖化否定論である。
[George Gilder & Richard Vigilante: "Stop everything . . . it’s Techno-Horror!" (2001/03/15) on Discovery Institute]これはたまたまのことではない。あちこちの州で提案されては消えていく反進化論州法案(成立したルイジアナの場合も含めて)の中には、進化論と地球温暖化を並べて標的にする例が見られる(そうでない例もあるが)
Especially apt for the politics of fear are threats deemed sudden in their onset, irreversible in their impact, and unverifiable in advance. Typical are exponential processes which, as eco-catastrophists often point out, are nearly undetectable until they virtually take over. Think of lily pads, doubling every week. Just a month before they take over the pond, they still cover only a cosmetic one-sixteenth of its surface. From this point of view, global warming is a perfect kind of threat, particularly in the form proposed by Joy, where it might be masked for years by the onset of a new ice age also precipitated by a global carbon-dioxide buildup. “It’s non-linear; it could tip either way.” Computer climate models trump all physical evidence that temperatures were two degrees higher a thousand years ago during the so-called Medieval Climate Optimum, and are now merely recovering from the throes of the little ice age of mid-millennium.
始まりは突然で、影響は元へ戻らず、前進しないと検証できない脅しは、恐怖の政策には適切だ。環境破滅主義者たちはしばしば指摘する、典型的な指数過程は、実質的に優勢になるまで検出できない。毎週2倍になっていく睡蓮の葉を考えればわかるだろう。睡蓮の葉が池を覆い尽くす一ヶ月前はまだ1/16を覆っているだけだ。この観点から、地球温暖化は完全な形の脅しである。特にJoyによって提示される、新しい氷河期の始まりによって長年にわたってマスクされた、世界的な二酸化炭素蓄積によって引き起こされるかもしれないという形式は。「それは非線形だ。それはどちらにも傾く」 1000年前の中世気候最適期は今より2℃高く、今は千年期なかばからの小氷期から回復しているだけだというすべての物理的証拠に、計算機気候モデルは勝る。
...
If we try to battle all these threats at once, and non-threats like global warming and PCBs as well, we will end up wasting all our wealth on windmills, strewing them across the California environment, or tilting with them like Don Quixote. We will resort to ever more stifling controls that will suppress the unexpected boons of creativity which have always been the source of our prosperity and success. We will invest in problems rather than in opportunities and end up without either wealth or freedom, facing the ultimate problem of demoralization and sclerosis.
我々がすべての脅威および、地球温暖化やPCBなどの非脅威と同時に戦おうとするなら、我々は結局すべての富を、風車に浪費するか、カリフォルニアの環境にばらまくか、ドンキホーテのように戦うことになる。我々の繁栄と成功の源泉であった創造性の予想外の収益を抑制するような、これまでより息苦しい規制に向かうことになる。我々は機会よりも問題に投資し、富も自由も手にできなくなり、士気喪失と硬直化という最終的な問題に直面することになる。
[HB6027-2008 Michigan, SB1361-2008 Michigan]公立学校の理科教育に創造論と温暖化否定論を持ち込もうという声は大きい。
such as biological evolution, the chemical origins of life, human impact of climate change, and human cloning
[SB320-2008 Oklahoma]
such as biological evolution, the chemical origins of life, global warming, and human cloning,
[SB733-2008, Act473, Louisiana]
including, but not limited to, evolution, the origins of life, global warming, and human cloning.
選挙で選出される州教育委員が温暖化否定をふりかざすこともある。たとえば、創造論者Don LcLeroyの後任として、テキサス州教育委員長となったGail Loweは委員長就任前の州教育委員のときに、"人間に起因する温暖化"と記述する教科書を却下すると述べている:
Texas Gov. Rick Perry has just appointed Gail Lowe, R-Lampasas, as chairman of the State Board of Education. Lowe will replace Don McLeroy, whose nomination as chairman the state Senate rejected in May.創造論支持や温暖化否定といった立場を明瞭に掲げて当選する州教育委員たちの存在。それはテキサス州の有権者たちの、それなりの数が、創造論支持や温暖化否定支持であることの反映である。
テキサス州Rick Perry知事はテキサス州教育委員長にLampasas選出共和党Gail Lowe州教育委員を指名した。Lowe州教育委員は、5月に州上院が留任を承認しなかったDon McLeroyの後任となる。
[TFN: "Breaking News: Perry Picks Lowe to Head SBOE" (2009/07/10)]
She said the last science textbook turned down [by the state board] was an environmental science book. Lowe said she guarantees she will turn down any book encouraging population removal or blaming global warming on the normal activities of everyday people.
Gail Loweは「州教育委員会が却下した理科の教科書は、環境科学の本である。人口削減を推奨したり、地球温暖化を通常の人々の活動のせいにする本はすべて却下することを保証する。」と述べた。
[TFN: "Gail Lowe: Promoting Political Agendas over the Interests of Schoolchildren" (2008/10/08) ]
そのような人々にとって、理科教育を自分たちの思い通りにできない間は、家庭でカウンターを放つことが、あるべき姿ということになる。
かくして、米国の温暖化否定論は存在し続ける...