[1850年のアルジャンティエール氷河のエッチング]
[Jean Gilleta(1856-1933)が撮影した写真。撮影年代情報はないが、撮影者の生年・没年から見て、1900年前後だろうか。]
[アルジャンティエール氷河 1966年(写真)]
人類の活動の気候に対する影響が出はじめたのは1970年代あたりからで見られている。この変化は、おそらく自然現象であり、人類が排出した二酸化炭素は影響していないか、していたとしても無に等しい程度である。
そして、当然、寒冷化したときは、この逆の経路をたどっている:
シャモニーでは実際、サヴォワ地方の会計法院の文書が証明しているように、1600年以降氷河が襲ってきた。圧倒的な氷河の前進に為すすべもなく、村は粉砕されていく。
「税制改革以来、[すなわち1600年以降 (サヴォワ地方の税制改革は1600年5月1日の勅令によって実施された)] 氷河、アルヴ川。、その他の急流が、この小教区(シャモニー)のあちこちで、195ジュルナル[面積の単位、一人の農夫が1日で耕せる農地面積]の土地を廃墟にしたり損なったりした。特に90ジュルナルの農地と12軒の家が破壊されたル・シャストラールの村では土地の12分の1しか残らなかったし、レ・ボワの村は氷河のために放棄された。ラ・ロズィエールとアルジャンティエの村では7軒の家が日増しに前進する氷河の下敷きになり、破壊はさらに続いて、ラ・ボンヌヴィルの村でさらに2軒の家を破壊し.... 十分の一税が大幅に減少した。」
[ル=ロワ=ラデュリ: "気候の歴史" p190]
「人類が気候に干渉しなければ悪いことは起きない」と信じる人もけっこういそうだが...
==>google しっぺがえし 温暖化
人類が温室効果ガス排出を今この瞬間にゼロにしたとしても、地球の気候は変動を続けていく。そして、居住可能な場所が不可能になり、居住不可能だった場所が居住可能になる。食料生産は変動し、これまでもそうだったように、おそらく、これからも大量の餓死者を出すことになるだろう。気候変動の進行が速ければ、人と農地を移転するために使える時間が限られ、被害は拡大するだろう。
ということで、人類が気候変動や異常気象に翻弄されてきた歴史をちょっとだけ振り返っておくことにする。
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