創造論の父Dr. Henry M. Morris死去
かつての創造科学の本拠地たるInstitute for Creation Scienceのニュースリリースによれば、「創造科学の父であり、Institute for Creation Scienceの名誉所長であるDr. Henry Morrisが断続的脳卒中に襲われ、2006年2月25日夜に創造主にして救い主たるイエスキリストのもとへ召された。享年87歳。」
"若い地球の創造論"の最もアクティブなサイトAnswers in Genesis(AiG)の主宰者Ken Hamは次のようなメッセージを出した[AiG緊急記事]:
Dr. Morris is one of my heroes of the faith. He is the man the Lord raised up as the father of the modern creationist movement. The famous book The Genesis Flood, co-authored by Dr. Morris and Dr. Whitcomb, was the book the Lord used to really launch the modern creationist movement around the world. It was the first major creation book I read, and had a special place, therefore, in the beginnings of the creationist movement in Australia. Our prayers are with the family.
Dr. Morrisは私の信仰上のヒーローでした。彼は主が現代創造論運動の父として名声を高めさせた人物です。Dr. Whitcombと共著でDr. Morrisが書いた有名な本"The Genesis Flood"は、主が真に世界中で現代創造論を立ち上げるのに使われたものです。あの本は、私が初めて読んだ創造論の本であり、オーストラリアにおける創造論運動の始まりにおいて特別な地位を占めました。
我々の祈りは、家族とともにあります。
なお、Dr. Henry M. Morrisの経歴はwikiによれば次の通り:
1918年10月6日生まれで、テキサスで育ち、1939年にRice Universityの土木工学を卒業。1940年にMaryと結婚。1942年までテキサスのInternational Boundary and Water Commissionで水工学の仕事をした。1942〜1946年はRice Universityで土木工学を教え、1946〜1951年はUniversity of Minnesotaで水工学で修士および博士学位を取得。1952〜1956年までUniversity of Louisianaの土木工学の教授を、1956〜1957年はSouthern Illinois Universityの教授をつとめた。
1961年に聖書学者John C. Whitcombと共著で、"The Genesis Flood"を出版し、洪水地質学と創造科学のコンセプトを確立。1963年にCreation Research Societyを設立し、1970年にInstitute for Creation Research設立。
1974年に創造科学の教科書的な本である"Scientific Creationism"を出版(1985年に第2版)。
近年はInstitute for Creation Researchの所長を息子のDr.John D. Morrisに譲って引退していた。
Dr. Henry Morrisの死に悼むインテリジェントデザインDembski
インテリジェントデザインの理論家Dr. William A. Dembskiは自らのブログUncommondecentの2006年2月26日付けでHenry Morrisを悼むエントリをアップしている。このエントリでDemskiは、2005年2月に自らが記した文書(インテリジェントデザインを批判したDr. Henry Morrisに対する反論)からの引用で哀悼の意を表している:
My own experience has abundantly confirmed Ruse’s remark. In traveling outside the United States, I’ve found that evolutionary theory goes largely unchallenged. In the United States, by contrast, there remains widespread skepticism toward evolution. And even though intelligent design has emerged as the most visible banner under which evolution is now being challenged, the challenge would not exist without the efforts of Henry Morris and young earth creationists.
I myself would not be a design theorist today without them. To be sure, I am not a young earth creationist nor do I support their efforts to harmonize science with a particular interpretation of Genesis. Nonetheless, it was their literature that first got me thinking about how improbable it is to generate biological complexity and how this problem might be approached scientifically.
私自身の経験からRuseの意見を十分に正しいと確認できた。米国外を旅して、進化論がまったく問題にされていないことを知った。米国では、これと反対に、進化論に対する懐疑論が広く残っている。たとえインテリジェントデザインが進化論を問題にする最も目立つ旗となった今でも、その挑戦はHenry Morrisと"若い地球の創造論"者たちの努力なしには存在しなかっただろう。
私自身は彼らなしには今日、デザイン理論家となっていなかっただろう。確かに私は"若い地球の創造論"者でもなければ、創世記の特定の解釈を行って科学と調和を図る彼らの活動を支持していない。しかし、私が初めて、生物の複雑さを生成するのがいかにありえないことか、そしてこの問題にいかに科学的に探求するかについて考えることになったのは、彼らの本のよるものだ。
これはもともと弔辞ではなく、「Dembski: INTELLIGENT DESIGN'S CONTRIBUTION TO THE DEBATE OVER EVOLUTION: A REPLY TO HENRY MORRIS」(2005年2月1日)の一部である。Dembskiの"若い地球の創造論"に対する見方を表したものと考えもよい。
なお、インテリジェントデザインの本山たるDiscovery InstituteがDr. Henry Morrisの死について、2006年2月末の時点では特に触れていない。これは、インテリジェントデザインが創造科学の再包装でないという無言の主張かもしれない。