2010/03/18

Ben Goldacre on 査読ではなく編集者1名による学術誌

Journal of Aidsに拒絶されたAIDS否定論者Peter Duesbergの論文が査読なし学術誌Medical Hypothesesに掲載され、編集者により2009年9月に撤回された。

問題の"論文"はこれ:

==>Duesberg et al: "HIV-AIDS hypothesis out of touch with South African AIDS – A new perspective" (2008)

これについて、2009年9月12日にBen Goldacreが査読制度に絡めて論じている:
[Ben Goldacre: "Medical Hypotheses fails the Aids test (2009/09/12) on BadScience


科学者の調査で問題点が示唆される査読制度について、新聞が報道した。学術誌に投稿された論文は同じ分野の他の科学者たちがレビューして、品質について意見を付ける査読は、問題ありだと常に認められてきて、ニュースではない。時間がかかり、汚職の可能性があり、詐欺や剽窃や二重投稿を阻止できない。査読に派問題があるが、よりよい方法は見つけるのは困難だ。

ここに失敗した代案の例がある。今月(2009/09)、Aidstruth.orgのようなWebサイトで研究者による協調キャンペーンで、学術出版社ElsevierはMedical Hypothesesという学術誌から2本の論文を取り下げた。この学術誌は類まれなもので、査読制度をもっておらず、投稿論文の採択はただひとりの編集者に委ねられている。

Medical Hypothesesの論文はここでも取り上げてきた。二人のイタリア人が、「(あぐらをかいてすわる、MSGの入った食物を多くの種類を少量ずつ摂取する、手仕事をたしなむなどを含む)東洋の集団と多くの特徴を共有するので、蒙古人種的なであるkとは、ダウン症候群の適切な指標になる」と論じたシュールにひどい論文を掲載した。この他、鼻閉の治療法としてマスターベーションの効果と副作用を論じた論文2本のことを覚えているかもしれない。

今月に撤回される論文は、新たな愚かな領域のものだ。いずれも「AIDS反体制」を自認するコミュニティに属する者たちの論文で、うち一本は彼らの表看板であるPeter DuesbergとDavid Rasnickが共著だった。

この論文はJournal of Aidsが拒絶したものであり、「査読者が誤りを指摘していたかもしれない」というのは表現が控えめすぎる。「南アフリカの人口は過去数年増加しているので、南アフリカで多くの人々が死んでいるはずがない」と主張するための捧げた全頁が私のお気に入りだ。

誰だって、そんなしょぼい推論を指摘すると思いたいが、この論文は投稿から採択まで2日だった。しかし、Aids研究の先例となる研究論文を歪めて引用していた。副作用はあるがAidsを死亡宣告ではなくした抗レトロウィルス剤を、RansnickとDuesbergは論じて、効果が副作用を上回るという主張を攻撃し、「これらの主張に反して、The Lancetに2006年に掲載された米国および英国の研究者たちのよる研究は、抗レトロウィルス剤によるAids患者治療は死亡率の低下をもたらさなかったと結論した」と書いた。

これは、単純明解に疑いようもなく、Lancet論文の誤った引用だ。この論文は、多くの適切に実施されたランダム化試験の系統的レビューによって抗レトロウィルス剤が人々の生命を救ったことを示している。彼らが引用したLancet論文は、複数の抗レトロウィルス剤の組み合わせであるHAARTを受けた患者がその後10年の症状の進行を調べたものある。そして、2003年にHAARTを受けた患者たちは、1995年にHAARTを受けた患者たちより症状が良くないという結果ではなかった。これはHAARTがプラセボ以上の効果がないことを意味するのではない。これはHAARTを受けた人々が8年間症状が進行しなかったことを意味する。この論文を知っていれば、これは明らかだ。さらに、明らかにありえそうにない主張を支持する証拠をチェックする時間をかければ、誰にとっても明らかだ。

この件から査読制度について何が言えるだろうか? Medical Hypothesesの編集者Bruce Charltonは異なる編集モデルの学術誌を持つことは、学術界に有益だと論理的にくりかえし論じてきた。査読は挑発的な考えを検閲でき、科学者は分野内の学術文献で権威者として話す自由を持つべきだと。しかし、AIDS否定論者であれ、誰であれブログで同じ分野の研究者にたいして権威者として話すことができる。学術誌には、それ以上を求める。

20人の研究者などがMedlineに対して、Medical Hypothesesをインデックスから外すように求める要請をしている。南アフリカのAIDS否定論は死なずに済んだはずの推定33万人の人々の死に責任がある。査読をうまくやることも、まずくやることもできただろう。編集者1名というモデルをうまく使うことも、愚かに使うこともできるだろう。しかし、この論文はタダのアフォだ。
posted by Kumicit at 2010/03/18 01:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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