シミュレーション・アーギュメントとインテリジェントデザイン
シミュレーション・アーギュメントという論が前世紀末からある。これは、我々が現実世界ではなく、虚構世界に生きている確率を論じるものである。
技術的に成熟した人類の次の段階の文明には、巨大な計算力があるだろう。この経験的事実に基づくと、シミュレーション・アーギュメントは次の命題のうち少なくとも一つは真であることを示す。(1)人類段階の文明が、次の段階の文明に到達する可能性は限りなくゼロに近い。(2) 次の段階の文明は、自らの祖先のシミュレーションを実行することに興味を持つ可能性は限りなくゼロに近い。(3) すべての人々のうち、シミュレーションの中に生きている人々の比率は限りなく1に近い。このシミュレーション・アーギュメントは原理的に反証不可能であり、科学ではなく論理学の範疇にある。
これに関して、Dr. Whitworthは、シミュレーション・アーギュメントを科学の版図内で証明する方法がないか探求しているが、それは無理で、やはり論理学の版図内にあるとしか言いようがない。
ところで、このシミュレーション・アーギュメントの特殊例として、インテリジェントデザインを考えることは可能かもしれない。
ただし、インテリジェントデザイン運動な人々は、シミュレーション・アーギュメントには関心がない。というか2007年まで存在すら知らなかった。
なお、シミュレーション・アーギュメントの(1)に関連して、誕生する人間の総数の推定だけを基に、人類の存続期間を予測すると主張するDoomsday Argument(終末論法)というものが存在する。
これは、シミュレーション・アーギュメントと同じく、コペルニクス原理に基づく論である。
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