==>DG. Gibson et al. :"Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome", Science DOI: 10.1126/science.1190719, 2010
これについて、インテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembskiがお約束な反応をした。
The rhetoric is interesting. What they’ve done is stuck a synthetic genome inside a nonsynthetic cell. Nonetheless, they’ve slipped into talking of a “synthetic bacterial cell.” Indeed, one headline reads “The First Self-Replicating Synthetic Bacterial Cell.” This is hype.古い地球の創造論の立場をとるDembskiにとって、"Creation"という単語は容認できないのだろう。
このレトリックは面白い。彼らがやったことは、合成じゃない細胞の中に合成ゲノムを入れたことだ。しかし、彼らは「合成細菌細胞」については為した。そして、記事の見出しは「初の自己増殖する合成細菌細胞」だ。
If something is going to be called “synthetic,” shouldn’t the whole of it be synthesized and not merely a minuscule portion of it? Also, does such a cell knowably signal design and, if so, why wouldn’t cells untouched by Synthetic Genomics do the same, i.e., implicate design?
{William Dembski: "“First cell controlled completely by a synthetic genome”" (2010/05/20) on UncommonDescent]
しかし、本来は、インテリジェントエージェンシーたる人間が、インテリジェントに生命を作ることは、何らインテリジェントデザイン運動にとってダメージにはならない。生命はインテリジェントな原因によるものだというインテリジェントデザイン運動の主張にとって、何ら背反するような成果ではないからだ。
同様の反応は3年前にもあった。それは、イタリアのProtoLife社のCOOであるMark Bedauが、あと3〜10年でウェット人工生命が作れるだろうと言った件[ie.msnbc]。これは細胞膜と代謝系と遺伝系を準備して生物を合成しようというものである。無機物から生物を創る生命の起源とはまったく別。
しかし、「無機物から生物を創る」話だと思ったのか、進化論破壊を誓っている統一教会信者Dr. Jonathan Wellsは、人工生命などできないのだという反応をした。
They will succeed only by re-defining "artificial" and "life." For example, "artificial" will cover any human manipulation of an existing organism -- so replacing a few genes or enzymes in an already-living cell will count as creating "artificial life."
彼らは「人工」と「生命」という言葉を再定義することでのみ成功するだろう。たとえば、たとえば、「人工」は既存の生物器官の対する、人間によるいかなる操作にも適用され、既存の生物のわずかの遺伝子や酵素も、「人工生命」を創ったことにするだろう。
[Jonathan Wells: "A Prediction for Artificial Life" (2007/08/21)]
誰もMiller-Ureyの実験の話なんかしてないのに、勝手にそう思っているようだ。"artificial life"まで読んだところで、怒りモードに入って、それ以上は記事を読めなかったのだろう。
これらの反応は、反進化論の立場からの発言ではなく、別の立場からの発言かもしれない。たとえば、DembskiやJonathan Wellsは「人間ごときに生命が作られたら、生命の起源たる神の値打ちが下がる」と思っているのかもしれない。
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