2006/04/04

意味をなさないBeheの反証思考実験

インテリジェントデザインを反証可能という思考実験をBeheは提示した。しかし、それは超自然たるデザイナーを、機械論たる科学で実験できるという不可能な前提のもとに考えられたものだった。

インテリジェントデザインの生化学担当Dr. Michael Beheは、Kitzmiller v. DASB裁判(ペンシルバニア州ドーバーのインテリジェントデザイン裁判)の証言で、インテリジェントデザインは次のような実験で反証可能だと証言していた(証言記録):
In fact, intelligent design is open to direct experimental rebuttal. Here is a thought experiment that makes the point clear. In Darwin’s Black Box, I claimed that the bacterial flagellum was irreducibly complex and so required deliberate intelligent design. The flip side of this claim is that the flagellum can’t be produced by natural selection acting on random mutation, or any other unintelligent process.

実際、インテリジェントデザインは直接実験による反証を受け入れている。これを明らかにするための思考実験を提示しよう。Darwin’s Black Boxで、私はバクテリアの鞭毛が還元不可能な複雑さを持つので、インテリジェントデザインであると主張した。この主張は、突然変異に対して自然淘汰が働くこと、あるいはその他のアンインテリジェントな過程では鞭毛は創れないを意味する。

To falsify such a claim, a scientist could go into the laboratory, place a bacterial species lacking a flagellum under some selective pressure, for mobility, say, grow it for 10,000 generations, and see if a flagellum, or any equally complex system, was produced. If that happened, my claims would be neatly disproven.

この主張を反証するには科学者は実験室に行って、鞭毛のないバクテリアを運動性に対する適当な淘汰圧のもとにおいて、10000世代培養する。そして鞭毛もしくは同等の複雑なシステムができているか見る。出来ていれば、私の主張は完全に反証される。


Richard B. Hoppeによれば、この主張は、裁判でのもうひとつの証言を組み合わせると、全く意味がないことが示される[An Experimental Test of ID? Really?, 2005]。

もう一つの証言とはデザイナーの属性情報は不要というもの(証言記録):
Q. Now does the conclusion that something was designed, does that require knowledge of a designer? (何かがデザインされたと結論するとき、デザイナーについての知識は必要か?)

A. No, it doesn’t. And if you can advance to the next slide. I discussed that in Darwin’s Black Box in Chapter 9, the chapter entitled Intelligent Design. Let me quote from it.(不要だ。次のスライドに移ってほしい。私はDarwin’s Black Boxの9章"インテリジェントデザイン"で論じた。引用すると:

The conclusion that something was designed can be made quite independently of knowledge of the designer. As a matter of procedure, the design must first be apprehended before there can be any further question about the designer. The inference to design can be held with all the firmness that is possible in this world, without knowing anything about the designer.
(何かがデザインされたという結論は、デザイナーについての知識とはまったく独立に得られる。手順からいって、デザイナーについて問う前に、まずデザインをとらえなければならない。デザインに至る推論は、まったくデザイナーについて知らなくても、この世界において可能な堅牢さで行える。


デザイナーがいかなるものかは特定できないというのがインテリジェントデザインの建前であることは周知の通り[たとえば、IDEA CENTER FAQ]。
Richard B. Hoppeが衝いたのは、このBeheの思考実験が厳格なコントロールのもとにないという点だ。すなわち:

  • 10000世代後に鞭毛のあるバクテリアが存在していたら?

    • 進化したので、Beheの還元不可能な複雑さは反証される
    • デザイナーが介入して鞭毛を創ったので反証されない

  • 10000世代後に鞭毛のあるバクテリアが存在していなかったら?

    • 進化しなかったので、Beheの還元不可能な複雑さが証明される
    • デザイナーが鞭毛のあるバクテリアを撃ちまくって滅ぼしたので、反証される

デザイナーが実験に介入しないことが確認できないので、何の証明にもならないというわけだ。

Dr. Michael Beheの信じるデザイナー神は、還元不可能な複雑さを検証する実験に絶対に介入しないのだろう。
しかし、方法論的自然主義の枠外の概念であるインテリジェントデザイナーを方法論的自然主義の枠内の実験で判断することなど不可能。
そのことは、Behe自身もわかっているはずなのだが。





posted by Kumicit at 2006/04/04 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | DiscoveryInstitute | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。