2010/08/31

Samuel Hahnemannは病原体としての細菌を知らない時代の人

Edward Jennerが種痘を考案したのが1796年。そのインパクトは巨大なものがあり、同時代のHahnemannも強い印象を受けていたようであり、彼の著書"Organon"にも種痘への言及が多くある。
[Samuel Hahnemann: "Organon" § 46]

The inoculated cow-pox, whose lymph, besides the protective matter, contains the contagion of a general cutaneous eruption of another nature, consisting of usually small, dry (rarely large, pustular) pimples, resting on a small red areola, frequently conjoined with round red cutaneous spots and often accompanied by the most violent itching, which rash appears in not a few children several days before, more frequently, however, after the red areola of the cow-pock, and goes off in a few days, leaving behind small, red, hard spots on the skin; – the inoculated cow-pox, I say, after it has taken, cures perfectly and permanently, in a homoeopathic manner, by the similarity of this accessory miasm, analogous cutaneous eruptions of children, often of very long standing and of a very troublesome character, as a number of observers assert.[10]

The cow-pox, a peculiar symptom of which is to cause tumefaction of the arm[11], cured, after it broke out, a swollen half-paralyzed arm.[12]

The fever accompanying cow-pox, which occurs at the time of the production of the red areola, cured homoeopathically intermittent fever in two individuals, as the younger Hardege[13] reports, confirming what J. Hunter[14] had already observed, that two fevers (similar diseases) cannot co-exist in the same body.

リンパが保護物質となる牛痘接種では、別の性質の皮膚の発疹の感染、すなわち普通は小さな乾燥した(稀には大きい膿疱性)面皰が、多くの場合は小さな赤い斑点が連なり、少なからぬ子どもたちに掻痒と発疹が現れるが、数日で、牛痘接種の赤い斑点とともに消えて、皮膚上に小さな赤くて硬い点が残る。多くの観察者が断言する[10]ような、非常に長く残り、非常に厄介な性質をもつ皮膚の吹き出物に類似した斑点によって、牛痘接種はホメオパシーな方法で、完全かつ恒久的に治療する。

腕の腫大を引き起こす[11]という独特の症状を持つ牛痘が、吹出物が出た後で、半ば麻痺した腕を治癒する[12]。

牛痘に付随して赤い斑点とともに起きる発熱が、間歇熱をホメオパシー的に治癒するというのは、Hardege[13]が報告し、J.Hunter[14]が既に観察していた「二つの発熱(類似した病気)は同時には起きない」ということを確認するものである。

10 Especially Clavier, Hurel and Desmormeaux, in the Bulletin des sciencs medicales, publie par les membres de l’ Eure, 1808, also in the Journal de medicine continue, vol. xv, p.206.
11 Balhorn, in Hufeland’s Journal, 10, ii.
12 Stevenson, in Duncan’s Annals of Medicine, lustr. 2, vol. I, pt. 2, No. 9.
13 In Hufeland’s Journal, xxiii.
14 On the Veneral Disease, p.4.
Samuel Hahnemannは、当時の代表的な医療である種痘に対して、いかなる懐疑・疑義・否定的感情も持っていない。そして、その働きを「ホメオパシー」なものと考えていたことを示している。

そして、牛痘と天然痘が違う病気であることから、「like cure like」(そのものではなく似たものでOK)の信念を強めて行く:
[Samuel Hahnemann: "Organon" § 56 Sixth Edition]

To attempt to cure by means of the very same morbific potency (per Idem) contradicts all normal human understanding and hence all experience. Those who first brought Isopathy to notice, probably thought of the benefit which mankind received from cowpox vaccination by which the vaccinated individual is protected against future cowpox infection and as it were cured in advance. But both, cowpox and smallpox are only similar, in no way the same disease. In many respects they differ, namely in the more rapid course and mildness of cowpox and especially in this, that is never contagious to man by more nearness. Universal vaccination put an end to all epidemics of that deadly fearful smallpox to such an extent that the present generation does no longer possess a clear conception of the former frightful smallpox plague.

病原性と同じ作用強度で治癒しようというのは、正常な人間の理解に反しており、したがって経験に反している。最初にアイソパシー(Isopathy/同種療法)をもたらした人々は、ワクチンを接種された各人が、将来の牛痘感染を防止し、先んじて治癒することで、人間が牛痘ワクチンから利益を受けると考えていたと思われる。しかし、牛痘と天然痘は似ているだけであり、同じ病気ではない。多くの点で異なっており、特に牛痘は急速に進行し、症状は穏やかで、近寄らないかぎり人間には感染しない。ユニバーサルなワクチン接種によって、かつて恐怖の疫病としての天然痘というイメージを現在の世代が持っていないように、死の恐怖の天然痘の流行は終止符を告げた。
Antonie van Leeuwenhoekが1674年に微生物を発見していたが、それが感染症の原因であることをが明かになるのは、Robert Kochが炭疽菌に純粋培養の成功によって炭疽の病原体であることを証明した1876年のことである。

マラリアに対するキニーネの効果(病原体であるマラリア原虫に特異的に働いて死滅させる)と、天然痘に対する種痘の効果(天然痘よりも人間へのダメージがはるかに小さいが、それへの抗体が天然痘に対しても機能する)は、まったく別な理由で治癒・予防効果を持っている。それらを、Samuel Hahnemannの時代には区別できるだけの知識はなかった。そして、Hahnemannはこれらを混ぜ混ぜして、ホメオパシーに辿りついてしまう。

当時としては観察に基づく"理論"としてありだったかもしれない。しかし、その後の病原体としての細菌、キニーネの作用、ウィルスなどの新たな事実の発見によって、ホメオパシーは軌道修正あるいは撤収すべきだったが、Hahnemann亡き後の後継者たちはそうしなかった。

「ホメオパシーの原点であるキニーネの効果が、実は通常の摂取量でのキニーネアレルギーだった可能性」や「やらない方がましな医療に、効果のないホメオパシーが勝利していた可能」も考慮されることはなかった。
posted by Kumicit at 2010/08/31 20:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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