==>メモ「ホメオパシーのマヤズム」 (2010/09/22)
Hahnemannの生きていた18世紀末から19世紀初めは、ウィルスどころか、細菌が病気の原因となることすら知られていない時代だったので、その時点では荒唐無稽というわけではないかもしれない。
しかし、1876年のコッホの炭素菌発見以降の医学の発展とは無関係に、ホメオパシー業界ではマヤズムを放棄するどころか、病気の発見にあわせてマヤズムを増やしていく。
- 疥癬、淋病、梅毒、結核のマヤズム
- 結核と癌のマヤズムは疥癬と淋病と梅毒の混合物
- 急性/狂犬病、腸チフス、マラリア、白癬、疥癬、淋病、癌、ハンセン病、梅毒、結核のマヤズム
- 疥癬、結核、淋病、梅毒、マラリア、白癬、癌、ライム病のマヤズム
- チフスのマヤズムを追加
- ワクチンのマヤズムを追加
そして、今では「ホメオパシーレメディの大量摂取によって起きる」とされる症状に関して「レメディマヤズム」があるのだという。
But if the remedy is used in too large a dose, too high a potency or repeated too frequently, new signs and symptoms of the pathogenesis of the remedy will be produced, inducing the proving of the remedy and even a remedy miasm. Any aggravation, also this "similar" aggravation will delay the cure, and if too strong and overwhelming may even prevent the secondary healing response of the vital force (in hypersensitives or if there is irreversible pathology or the case incurable for example). So I do not fully agree with Jonathan's statement that there must always be an increase of vitality if the remedy is correct.似たような記述は他にも見つかる。
しかし、レメディの服用量が多すぎたり、ポテンシが高すぎたり、頻繁に服用しすぎたりすると、レメディの病気の新たな兆候と症状が出て、レメディのプロービングを起こし、さらにはレメディマヤズムが起きる。いかなるアグラベーション、この類似したアグラベーションも治癒を遅らせる。あまりに強く圧倒的な場合は、バイタルフォースの2次的な治癒反応を妨げるかもしれない(過敏だったり、不可逆な病理だったり、治癒不能な場合だったり)。したがって、レメディが正しければ、どんなばあいでもバイタリティが増加するというJonathanの主張には全く同意できない。
[Reply by Katja Schütt on April 16, 2010 at 6:20am on Homeopathy World Community]
The use of a random number of dry pills, especially of the higher potencies, frequently causes medicinal symptoms to appear. If one is using the dry dose it is best to follow Hahnemann’s 1831 recommendation and only use 1 pill and not to repeat the remedy too often! Too many dry pills accumulate in the vital force and may produce a “remedy miasm”. The grafting of dynamic remedy symptoms on the vital energy is something best avoided.確かに、事故による混入や、法規制回避の事象ホメオパシーや、アルコールによる希釈や、メチルアルコールの使用や、希釈前のマザーティンクチャーなどホメオパシーレメディには危ういものがある。しかし、ここで述べられているのは、ただの水や砂糖玉についてである。何も起きそうな気がしない。
任意の数の乾燥錠剤の服用、特に高いポテンシーで高頻度な場合、病気の症状が現れる。乾燥錠剤を服用する場合は、1831年のHahnemannの忠告にしたがって、1錠だけ服用し、レメディ服用を頻繁に繰り返さないこと。錠剤を大量に服用するとバイタルフォースを蓄積し、レメディマヤズムを起こすかもしれない。バイタルフォースのダイナミックなレメディ症状の移植は避けた方が良いものである。
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If a remedy is used in too large a dose, too high a potency, and repeated when not needed, there is a chance that too many signs and symptoms will be produced. If such over medication is continued there is a chance of producing a “remedy miasma” in that individual. Some mishandled provings have produced pathology and remedial diseases. Best to be very careful and conservative in such matters.
必要がないのに、レメディを大量かつタカイポテンシーで繰り返し服用すると、多くの徴候と症状が出る可能性がある。そのような大量服用を続けると、レメディマヤズムを体内に作り出す可能性がある。何らかの誤ったプルービングは病気やレメディ病を起こす。そのような問題には慎重かつ保守的になるべきだ。
[The Prevention of Epidemic Diseases by Homoeopathy on Homeopathy Online Education]
にもかかわらず、レメディマヤズムを持ちだす理由は2つ考えられる。ひとつは、もちろん、レメディに効果がないので、大なる可能性で病気が悪化していくことへの言い訳。レメディが効かないのではなく、副作用なのだと言うこと。
そして、もうひとつはホメオパシーの建前に忠実であるため。ホメオパシーでは「レメディの効果対象の症状=レメディの長期服用によって生じた症状」という"理論"のもとに、プルービングと称する「レメディの長期服用」が行われる。
==>何も証明しないProving (2010/09/05)
もし、「レメディの長期服用」によって何の症状も出ないなら、プルービングはただのいんちき。プルービングが真っ当なものだ主張するには、レメディ大量服用によって病気の症状が出る必要がある。
その論理から言えば、"レメディマヤズム"が起きるという主張は首尾一貫している。
むしろ、「レメディは安全」と「レメディの効果はプルービングによって証明されている」の両方を主張する方がおかしい。
「レメディは安全だが効果がない」もしくは「レメディは効果があるが、危険物である」のどちらかしか、ありえない。
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ハーネマンも「医術のオルガノン」248節、275,276節あたりで、レメディーの過剰投与および副作用の懸念を記しています。
それをホメオパス達は「ホメオパシーには副作用が無い」に変えてしまったので、レメディーマヤズムなんて持ちだして、思考が腸捻転するしかなくなってしまった気がします。
私はホメオパスたちが単に"マヤズム"の語感が気に入ってるだけって気もしてます……"マヤ文明"を連想させるので。
蛇足ですが、125節にプルーバー(プルービングする人)の取るべき食事、260節の慢性病患者の養生法を読むと、ホメオパシーが歴史上の話であることがよくわかって面白いです。
http://www.homoeoscan.com/p/cases.html
http://homoeoscan.com/2012/09/a-case-study-of-male-infertility-and.html