2010/10/01

ランダムから逃れるための神

昨日の「コントロールの喪失によって、インテリジェントデザイン支持に傾く..」と同様の研究で、「ランダムと超自然支持」についての研究を見てみる。

==>Kay, A. C., Moscovitch, D. A., & Laurin, K. (2010). Randomness, attributions of arousal, and belief in God. Psychological Science, 21, 216−218.

この研究では、被験者は、「ハーブサプリの色認識への効果」という名目の実験に登録した32名の学部学生(女性20名、平均年齢19)。これをランダムに振り分けられた:
  • Misattribution: 「副作用として、"mild arousal or anxiety"(ちょっとした興奮や不安)」という説明書きが与えられる
  • NO Misattribution: 「FDAの試験で副作用なし」という説明書きが与えられる

「サプリの入った錠剤」と称する、実際はただの砂糖玉を服用。続いて、ランダムに振り分けられ:
  • Raondomness prime: "change"(偶然)や"random"(ランダム)などのランダム性を意味する単語8つを含む、5単語な16文から、4語選んで文を1個作る
  • Negativity prime: "poorly"(貧しく)や"slimy"(汚らしい/下劣な)などのネガティブな意味を持つ単語8つを含む、5単語な16文から、4語選んで文を1個作る

==>Scrambled sentence primes(使用された単語)

そして、超自然(宇宙を制御する神・宇宙を創造した神・カルマのような法則)の存在を7段階評価。

==>超自然への信条についての質問

その結果は...
Kay_random_2010.png

  • 「副作用なしの説明」の被験者は、「ランダムな単語」による超自然支持が、「ネガティブな単語」より有意に強い。
  • 「副作用ありの説明」の被験者は、「ランダムな単語」の効果なし。
  • 「ランダムな単語」の被験者は「副作用ありの説明」によって、超自然のコントロール支持が下がる
  • 「ネガティブな単語」の被験者は「副作用ありの説明」の効果なし。
  • 「副作用なしの説明」&「ランダムな単語」な被験者は、他の被験者よりも、有意に超自然支持が強い。

この結果から、Kay et al.[2010]は次のように結論している。
These data suggest that belief in supernatural sources of control, such as God and karma, may function, in part, to defend against distress associated with randomness, even when the perception of randomness is not related to traumatic events.

これらのデータは、神やカルマなど超自然のコントロールへの支持信条は、部分的には、ランダム性に伴う苦痛から防御手段として機能していることを示している。たとえ、その苦痛がトラウマな出来事と無関係でも。
すなわち、人は「不確定な未来」を神やカルマなどを持ちだして、「確定したものだ」と思いたがるらしい。




posted by Kumicit at 2010/10/01 08:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID: General | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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