2010/11/02

現実の病気の原因とは何の関係もないホメオパシー

ホメオパシーの始祖Samuel Hahnemannが死亡したのが1843年。その同じ年に生まれたRobert Koch炭素菌を発見し、細菌が病気の原因であることがわかったのが1876年。ウィルスの発見は1892年のこと。牛痘と天然痘から思いついた類似の法則は思いつき以上でしかない。そして、希釈の法則のもととなったキニーネ大量摂取も本人がしたつもりになっていただけで、実際には通常服用量で、出た症状はキニーネアレルギーだった疑いがある

前世紀初頭には、ホメオパシーは「現実の病気の原因」や「現実の病気の治療」と何の関係もないものになっていた。

だから、「現実の病気の原因」とは何の関係もない「ホメオパシーな病気の原因」を語ることがある:
[dr manish agarwala (2008/05/17)]

we homoeopaths do not treat as per disease names, but I would like to know the name of the disease/allopathic diagnosis to get an idea of what your son is suffering from. the family history is very important in such cases.

我々ホメオパスは病名で治療しない。病名や通常医療の診断結果を知りたいのは、それによって、ご子息の病気の原因を知りたいからです。そのような例では家族の履歴が重要なのです。
あるいは...
[National homoeopathic workshop concludes (2010/10/21) on Times of India]

"Homoeopath is a natural science based on laws of the nature and a true homoeopath never cures the patient but enables the patient to cure himself," said Prafull Vijayakar, homeopathic expert and modern master who teaches predictive homoeopathy based on Hahnemannian homeopathy. He also said basically it was the protein imbalance that was responsible for all pathologies and health disturbances.

Hahnemannのホメオパシーに基づく予測ホメオパシーを教えるホメオパシー専門家Prafull Vijayakarは「ホメオパスは自然法則に基礎を置く自然科学で、本当のホメオパスは患者を治療することはなく、患者が自らを治癒できるようにする。あらゆる病気および健康問題の原因はタンパク質のバランスの崩れによるものである」と言う。
もちろん、病気の原因を知らなかった時代のSamuel Hahnemannの思いつき「miasm(マヤズム)」も今となっては、「現実の病気の原因」とは何の関係もない「ホメオパシーな病気の原因」のひとつ。

もともとは、生気論を背景に持っていたようだが...
[Samuel Hahnemann: "Organon" § 12 Sixth Edition]

It is the morbidly affected vital energy alone that produces disease, so that the morbid phenomena perceptible to our senses express at the same time all the internal change, that is to say, the whole morbid derangement of the internal dynamis; in a word, they reveal the whole disease; consequently, also, the disappearance under treatment of all the morbid phenomena and of all the morbid alterations that differ from the healthy vital operations, certainly affects and necessarily implies the restoration of the integrity of the vital force and, therefore, the recovered health of the whole organism.

病気に影響されたバイタルエネルギーだけが病気を起こすのであり、我々の感覚で認識できる病気現象は同時に内的変化を示してる。すなわち、内部ダイナミクスの病的変調である。ひとことで言うなら、それらは病気全体、したがって、病気の現象の治療によって消滅を示している。そして、健康的バイタル動作から乖離した病気状態は、バイタルフォースの整合性の回復を意味している。したがって、全身の健康回復を意味している。
生気論は、Samuel Hahnemann晩年から次第にゆらぎ始めて、半世紀ほどで消え去った。

今となっては、「現実の病気の原因」とは何の関係もない「エネルギー」として、Dr. Charlen Wernerなどによって語られるものになった。

「現実の病気の原因」とは何の関係もないという点は、ニセ医療にわりと見られるもの。たとえば量子ヒーラーたちは意識のシフトが病気の原因であり、意識のシフトによって病気を治療できると言う。


タグ:Quackery
posted by Kumicit at 2010/11/02 08:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
病気や怪我をすると人間ってどうしても気落ちしてしまいますが、出来るだけ前向きに頑張りたいものですよね。
私は腎移植や肝移植について勉強をしています。
助かる命がそこにあるのなら、少しでもお役に立ちたいと日々考えています。
こちらの記事はそんな私の勉強になり、色々参考になりました。
ありがとうございました。
Posted by 腎移植について at 2011/03/31 13:44
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