2006/05/01

"聖書と科学は一致する"という死屍累々 (1) コンコーディズム以前

地質学・地球物理学によって明らかにされていく地球の歴史と、聖書創世記の記述はまったく一致するところがない。それを解釈という形で一致させようという動きが地学の発展とともに始まった。17世紀のことである。地学もまた科学であって、"一時的真理"であり、知識の改訂が繰り返される。それに追従しようとすれば、聖書と科学を一致させる"解釈"もまた改訂を繰り返すことになる。それは聖書解釈を一時的真理とすることになり、否定された説の死屍累々ということになる。

今日はClarke&DayとYoungにしたがって、否定された説を概観する。

Jonathan D. A. Clarke and Allan J. Day: "HISTORICAL OVERVIEW- From Aristotle to the 18th C", pp.19-22,
Davis A. Young: "SCRIPTURE IN THE HANDS OF GEOLOGISTS (PART TWO)", Westminster Theological Journal 49 (1987) 257-304.

Diluvialism[Clarke&Day]

17世紀から18世紀にかけて、ノアの洪水によって地球を説明しようとしたのがDiluvialismと呼ばれる考え方。これを唱えたのは、主として英国のプロテスタントであった。その主張は:

  • 地球はもともとは完全な球体であった。
  • 海洋や峡谷や山はノアの洪水によってできた地球の不完全性である。
  • 化石はノアの洪水の犠牲者である。

19世紀初頭にはDiluvialismは消滅した。その理由は:

  • 聖書の記述から、洪水の始まりと終わりを説明する無矛盾なモデルを作れなかった。
  • 1回の全地球的洪水を否定する地質学的証拠が多数発見された。


Neptunism[Young 1987]

18世紀から19世紀初頭にかけて、ドイツとフランスで起こり、英国に広まった説でその主張は:

  • 地球は全球が海洋だった。
  • 時間の経過とともに水位が下降し、大陸が出現した。
  • 大陸が浸食され、浸食されたものや生物の残骸が沈殿物層として堆積した

これは、海で堆積したと考えられる地層が山頂でも見られることから考えられたもの。この考え方はドイツの地質学者Abraham G. Wernerによって確立した。その後、1830年頃までには消滅。

この説と聖書を一致させようとしたのが、フランスの駐エジプト大使をしていたBenoit de Mailletであった。彼は、地層が20億年以上にわたる海洋の減少によって生じたと結論した。また人類は50万年以上前から存在し、海を起源とすると考えた。そして人魚は海洋を離れられず人類に遷移できなかったものと考えた。Benoit de Mailletは自著Telliamedで:
that the sentence, ‘In the beginning God created the Heavens and Earth,’is a very improper translation of the Hebrew, that the words used in that language signify only ‘formed the Heavens and the Earth.’ Furthermore, the word ‘create’ is a new term, invented only a few centuries ago to express a new idea; therefore your Bible assumed the preexistence of matter when God formed the heavens and the earth.[Maillet, p. 161]

「始めに神は天と地を創造した(create the Heavens and Earth)」というのはヘブル語の誤訳であって、これらの言葉は「天と地を形成した(formed the Heavens and the Earth)」を意味している。さらに、"create"という単語は数世紀前に創られた新しい言葉で、新しい概念を表現するものだ。従って、聖書は、既に存在しているものから天と地を形成したと仮定する。

さらに
God could indeed have used such means for the creation of the earth and the formation of the mountains through the action of the waters of the sea. The separation of the waters from the earth, as mentioned in Genesis, is even in favor of such an opinion. The void which first occurred on the earth and the uselessness of the latter at the beginning correspond to the same conditions postulated by our author for the initial stage of the globe. It is obvious, if not unquestionable, that the waters of the sea have built the mountains and uncovered through their diminution what they had formed during the first chaos of matter. This emergence led to the growth of grass and plants on the rocks; the vegetation in turn led to the creation of animals for which they represent the food supply; and finally the animals led to the creation of man who depends on them, as the last work of the hands of God. [Maillet, p. 234]

神は地球の創造と山岳の形成に海の水の活動を使えた。創世記に書かれた地と水の分離はそのような意見に合う。最初に地球にあった空隙は、始めは役に立たないことは、地球の初期の間我々の著者によって仮定される同じ状況と一致する。海の水が山を造ったことは明らかであり、海の水の減少によって、最初の混沌の間に形成されたものが出現した。この出現に、岩の上の草と植物の成長が続いた。この植物の生長は、順に、それらが食物供給を意味する動物の登場につながった。そして、ついに、神の手の最後の仕事として、動物は彼らを頼りにする人の作成に至った。

これで聖書の記述と地球の歴史は一致したが、20億年という長い時間を聖書と整合させるという問題が残った。これについて:
The expression ‘six days’ mentioned in your sacred books for the completion of all these works is metaphorical, as you may easily imagine. It cannot even represent the time mentioned by Moses during which the earth rotates on itself six times in its annual orbit around the sun, since according to these same books, the sun was not created until the fourth day. Besides, do they not state that a thousand of your years represent no more than one day for God? Therefore, we must conclude that the six days employed by the Divinity to complete creation indicate a length of time much longer than the measure corresponding to our ordinary days. [Maillet, p. 231]

容易にイメージできるように、これらの仕事を完了するのに要した、聖書に記述された"6日間"という記述は比喩的なものだ。それは時間が地球が太陽のその一年の軌道で6回、それ自体を中心に回転するというモーゼによる言及を表現できていない。というのは聖書によれば、太陽は4日目まで発生していない。この他、あなたの1000年が神のほんの1日しか過ぎないと述べていなかったか?したがって、我々は完全な創造に神が費した6日が我々の普通の1日よりもはるかに長い時間を示すと結論しなければならない。

後のコンコーディズムによる聖書と科学の一致のパターンが19世紀初頭には完成していたことがわかる。

なお英文は、Benoit de Maillet, Telliamed [ただし、Urbana: University of Illinois, 1968年の英訳版]による。


Catastrophism[Clarke&Day]

19世紀始めの30年間の地球の歴史の研究で成果があったのがCatastrophismである。それは:

  • 英国諸島と欧州大陸の地層の順序は一致している
  • それらの地層は特徴的な化石によって特徴づけられていた
  • それぞれの地層は、不整合によって切り離されていて、それは構造運動と浸食を意味しているように見えた
  • 地層は継続した時代を代表し、それが世界的な大災害によって終了したと考えられた

特に英国では地質学の支配的な考え方になった。このフレームワークのもとでSedgewick,やMurchisonやCuiverやBucklandが欧州の地質学的変化を確立した。しかし、この説も1830年頃までに消滅。その理由は:

  • 地層の不整合が全世界的ではなく、地域が限定され、他の場所では時代の遷移が漸進的であること。
  • 堆積過程が解明され始めたこと。天変地異によるものとされた堆積物が、世界中で観察される普通の堆積過程の結果によるものだとわかったこと。



posted by Kumicit at 2006/05/01 09:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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