usg_ringo うさぎ林檎について、英訳版とドイツ語版で確認してみた。
@kumicit 『医術のオルガノン』28節冒頭が「この自然治癒の法則は、すべての正しいプルービングとすべての真の経験において証明されている」と訳されています。これは第2版で記述された部分のようです。
2010/12/27
まずは英訳版から...
§27「薬品の治癒力」に関して「似たものが似たものを治癒する」というホメオパシーの法則を語っている部分であり、英訳の「Nautural law of cure(治癒の自然法則)」がまっとうな訳。
The curative power of medicines, therefore, depends on their symptoms, similar to the disease but superior to it in strength (§ 12 – 26), so that each individual case of disease is most surely, radically, rapidly and permanently annihilated and removed only by a medicine capable of producing (in the human system) in the most similar and complete manner the totality of its symptoms, which at the same time are stronger than the disease.
薬品の治癒力は、したがって、その症状と、病気と類似しているが強度に勝っていることに依存しており、それ故に、最も類似し、完全な形で症状全体を人間全体に再現する能力を持ち、同時に病気よりも強い薬品のみが、個々の症例の病気の大半を確実に完全に迅速に永続的に消滅・除去できる。
§ 28
As this natural law of cure manifests itself in every pure experiment and every true observation in the world, the fact is consequently established; it matters little what may be scientific explanation of how it takes place; and I do not attach much importance to the attempts made to explain it. ...
この治癒の自然法則は、すべての純粋な実験と世界の真の観察の中に明確に存在し、したがってこの事実は証明されている。どうやってそれが起きるのかについての科学的説明は重大な問題ではない。私は説明をつけようという試みを重要だとは考えない。...
[Samuel Hahnemann: "Organon"]
オリジナルバージョンであるドイツ語では次のようになっている。
§ 28となっている。「自然(Natur)救済/治癒/医療(heil)法則(gesetz)は純粋な(reinen)実験(Versuchen)と真の(ächten)経験(Erfahrungen)」とあるが、このNaturheilやNaturheilgesetzはホメオパシー以外では見かけない単語。自然治癒(Spontaneous remission)はドイツ語では「Spontanheilung」であり別物。「この自然治癒の法則」というのは§27からの流れ上も意味が違っている。
Da dieses Naturheilgesetz sich in allen reinen Versuchen und allen ächten Erfahrungen der Welt beurkundet, die Thatsache also besteht, so kommt auf die scientifische Erklärung, wie dieß zugehe, wenig an und ich setze wenig Werth darauf, dergleichen zu versuchen. ...
[Samuel Hahnemann: "Organon der Heilkunst (6. Auflage)"]
ついでだが「すべての正しいプルービングとすべての真の経験において証明されている」についても、明らかにホメオパシー用語「プルービング」ではなく「実験(experiment/Versuchen)」であり、意味が違っている。ドイツ語版§121に「Bei Prüfung der Arzneien ....」とあり、対応する英語版は「In proving medicines to ascertain their effects on the healthy body ...」とあり、プルービングはPrüfung/Provingと記述している。
ということで、Samuel Hahnemannは「自然治癒/Spontaneous remission/Spontanheilung」について言及していない。
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私は28説の「自然治癒の法則」は26節の「ホメオパシーの自然法則」を指していると解釈していましたが、
違いますでしょうか?
26節
>以前述べたことは、ホメオパシーの自然法則をよりどころにしている。この自然法則はいろいろなところでその存在がうすうす感じられてはいたけれども、今まで認められてこなかった。昔から起きていた真の治癒はこの法則に基づいていたのに。その法則とは次の通りである。
生きている体において二つの作用(アフェクチオン)がダイナミックに働くとき、より弱い作用はより強い作用によって永続的に消される。ただし、二つの作用が発現した状態に関して(両者は本質的に異なっているけれども)、より強い作用はより弱い作用にきわめて類似していなければならない。
この部分は勿論何もしないで得られる「自然治癒」を説明したものではなく、レメディーの作用機序によって治癒する課程を補完するための説明だと思います。そもそもハーネマンはレメディーによって治療することを考えていたのですから、そこに「自然治癒」の入り込む隙はあるはずがありません。
日本のホメ団体は「自然治癒力を高める」「免疫力を上げる」等をレメディー利用のセールストークにしています。このへんのやり口は欧米諸国でも一緒なのでしょうか?
で、朝のエントリ( http://transact.seesaa.net/article/176133142.html )でも書きましたが、レメディの効果を主張するために「それは自然治癒ではなくレメディが効いた」というのがhpathyやabchomeopathyなどインド系サイト(といって英独な人も多い)の論調です。
そうなっているのは、Stephen Barrett, M.D.などのニセ医学批判者から「それはレメディが効いたのではなく、自然治癒だろ」という攻撃( http://www.homeowatch.org/policy/pharm.html )を受けているからだと思われます。
免疫については調査中につき、また後日に。
一方、"stimulate immune system"(免疫系を刺激する)はわりとホメオパシーな人々が商売にポジティブな意味合いで使っている例が多く見つかります。
kudaranai
くだらなくてわかりにくい