そんな生気論がまだ存在していた時代のSamuel Hahenmannのつくったホメオパシーもまた生気論ベースの考えだった。始祖Hahnemannの死後、基盤だった生気論が退場し、病原体理論と折り合いをつけらなかったホメオパシーはアカデミアの世界から退場した。その後は、言葉を飾るなら代替医療として、普通に言えばニセ医療として残った。
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その後は、他の多くのニセ医療と同様に、通常科学の用語を呪術な意味で使うようになっている。
そんな用語のひとつが「エネルギー」である。通常科学では「ジュールという単位で計測されるスカラー量」だが、ホメオパシーでは「原物質のイデア」あるいは「原物質の精霊」といったものである。呪術用語でいうならフォースもしくはパワー。たとえば...
[on 腰痛治療ナビ]有名なニセ科学用語「波動(オカルト)」とセットで使われる「転写」も登場する:
「原物質(レメディーの主要成分)のエネルギーを閉じ込めた物質」となります。「エネルギー」という表現に戸惑われる人も多いかと思いますが、それがレメディーが単なる砂糖玉でない所以なのです。
...
この希釈の程度は「物質」としての分子が存在していないレベルにまで達しており、ホメオパシーでは「原物質」のエネルギー・波動・スピリットのみを取り出したものと言われています。「原物質(レメディーの主要成分)のエネルギーを閉じ込めた物質」
[on ドイツマリエン薬局 自然療法ショップ]
そのエッセンスを限りなく(1000倍から10の100万乗分の一まで)希釈して、揺らし(振り)つづけることによって、「その生薬の持つエネルギー」だけを抽出して、ショ糖の粒にしみこませます。
[SAHHO]
そうしたレメディがなぜ効果があるのかについては、今の科学では証明できていません。水の転写能力のせいだという説もあります。まずは物質のエネルギーが抽出されたものがレメディだと考えてください。
[on アンアンティーノ]
小さな砂糖玉のレメディーは、3000〜4000種類の鉱物や植物、動物のエネルギーを転写して作られています。
[SALONつ・ち・や]もう少し、それらしいサイトである、COMドメインに存在するInternational Academy of CLASSICAL HOMEOPATHYの日本法人(co.jpドメインにある)でも...
ホメオパシーのレメディを作る時、原料を希釈する際に「激しく振る」という行為を繰り返していきます。そうすることにより、原料のエネルギーが中間的物質に転写され、それがレメディーの中に残るという考え方なのです
[on インターナショナル・アカデミー・オブ・クラシカルホメオパシー日本校]かなり抑制した表現だが、物理用語エネルギーではなく、呪術用語フォース&パワーの意味合いで「エネルギー」を使っている。
ホメオパシーの創始者であるハーネマンは著書である『オルガノン』に「ホメオパシーの薬は前代未聞の特殊な処理をほどこすことにより、自然の物質に潜む治癒のエネルギーを抽出する。」と記しています。
ハーネマンは、自然界にあるすべての物質には、何らかのエネルギーが密かに備わっており、物質を的確に扱えばこのエネルギーを有効に使うことができることを発見したのです。
当然、レメディの働きも、生気論あるいは呪術的なものになる。
[on 日本ホメオパシー振興会(帯津系団体)]すなおに「精霊」と言った方がしっくりくるが、そうもいかない大人の事情で、ニセ医療頻出な「エネルギー」を使っている。
ホメオパシーにとって健康とはその人のVital Force(生命力エネルギー)が正常な状態、病気とはそのVital Forceが障害を受けている状態、病気の症状とはその唯一の表現であると考えています。生命のエネルギーがこんな障害を受けているという苦悩の表現であり、また治癒の過程でもあります。
...
ホメオパシーは、人間、動物、植物といった種を超えた大きな生命エネルギーに直接働きかけているものなのです。
そして、これを少し過激すると、結果として感染拡大につながるネタになる...
[on インターナショナル・アカデミー・オブ・クラシカルホメオパシー日本校]このような考え方は、おおよそホメオパシー世界のコンセンサスのようで、迷ったらとりあえず見るべきHpathyでも、主宰者Manish Bhatiaは控えめながら、次のように述べている:
病気の原因は微生物やウィルス、細菌などの生化学レベルにあるのではなく、それらが持つ悪性のエネルギーによって、人間のエネルギー(バイタル・フォース)が乱されることにあるということです。
人間はさらされる細菌の種類と数によって病気になるのではありません。
インフルエンザや肺結核に感染した人と同じ場所にいても、感染しない人は大勢います。逆に、もっとも健康に良いといわれている環境にいて、食事や運動、睡眠など生活のあらゆる面に注意を払っていても感染症にかかる人もいるのです。
[Homeopathy Elementary Course --Chapter 11 - How do Homeopathy Medicines Work? on Hpathy.com (Alternatives at hpathy.org)]
the homeopathy medicine 'Arsenic' does not contain even a single molecule of arsenic and the homeopathy medicine Cinchona(or china) does not contain any bark extract in it. (Beyond 12 C potency)
So if there is nothing chemical left in these medicines, then how and why do they work? Big questions. And Frankly speaking, I do not have any specific answers to them either. This is an unsolved puzzle.
The current hypothesis regarding the action of homeopathy medicines is as follows -
ホメオパシー薬"Arsenic(ヒ素)"は一分子のヒ素も含んでおらず、キナノキは樹皮抽出物をまったく含んでいない(12C以上では)。では、薬に化学物質がまったく残っていないのに。何故、どうやって効くのか? それは大きな問題だ。率直に言って、私は答えがない。これは未解決の謎だ。... ホメオパシー薬の働きについての現在の仮説は以下の通り:
Diseases as characterized by various names (diabetes, hypertension, cancer, peptic ulcer, OCD etc.) are not definite entities. They are 'states' - states of deviation from health. Diseases as we know them, are just the final stage of a long process. Homeopathy recognizes all diseases as a process and not as an entity. Homeopathy medicines when given to a healthy human being, create an artificial disease like state which is called proving. When given to a sick person having a similar 'disease state', the medicine (somehow) stimulates the body's defense mechanism (possibly through neuro-endocrine axis) in such a specific manner that the body itself compensates the diseases state and the process of healing starts.
様々な名前(糖尿病、高血圧、癌、消化性潰瘍、OCDなど)で特徴づけられる病気は、明確な実体ではない。これらは「状態」 -- 健康から逸脱した状態である。我々が知る病気は、長い過程の最終段階に過ぎない。ホメオパシーはすべての病気を実体としてではなく、過程として認識する。健康な人間に与えられたホメオパシー薬は、プロービングと呼ばれる人為的な病気状態をつくりだす。類似した「病気の状態」にある患者に与えれば、身体自体が病気状態を補正し治療過程を開始するような形で、薬は身体の防衛メカニズム(おそらく神経内分泌を経由した)を何ほどか刺激する。