2011/02/12

矛盾するホメオパシー

ホメオパシーレメディを大量に服用について、相反する建前が存在する。

  1. レメディを大量に服用すると症状が出る
    レメディの効果は、「類似の法則」が正しいことを前提とする"Proving"という方法で決定される。すなわち、「レメディを大量に服用したときに現れる症状に、そのレメディは効くはずだ」という前提で、「レメディを長期にわたって服用する」というのが"Proving"である。
  2. レメディを大量に服用しても、何の副作用もなく、安全である

に登場するOverdoseイベント(1023チャレンジ)は1.に対するカウンターである。

そして、もうひとつホメオパシーに矛盾する点がある。

  1. ホメオパシーは個々人にあわせたオーダーメイド医療
  2. Oscillococinumなど誰もが使うベストセラーレメディがある

Personalized treatment is the decisive argument advanced by all homeopaths who deny the value of double blind testing, homeopathy against placebo; they say that this type of test cannot apply to homeopathic treatment because it is adapted to the individual patient, and is not based on pathology alone but also on the "temperament" and the "biotype" of the patient.

「パーソナライズ治療」は、プラセボに対してホメオパシーの効果を検証するダブルブラインド試験の価値を否定するホメオパスたちが好む主張だ。彼らは、ダブルブラインド試験がホメオパシー治療に適用できない理由として、ホメオパシーが個々の患者に合わせた医療であり、病理学のみに基づくものではなく、患者の気質やバイオタイプにも基づくものであることを挙げる。

However, these same homeopaths, convinced as they are of the need to tailor the treatment to the individual, are strangely quiet when it comes to discussing the value of homeopathic treatments that are broadly prescribed, such as Arnica, for various and sundry afflictions, and especially Oscillococinum, the miracle anti-influenza drug that enjoys constant publicity in all the media as soos as the weather turns nippy and people start to come down with colds and flus of all kinds.

しかし、個々人に合わせたテーラーメイドの治療の必要性を主張する同じホメオパスたちが、奇妙なことに、幅広く処方されるホメオパシー治療の価値についての議論には沈黙する。たとえば、様々な苦痛に処方されるアルニカや、天候が不順になり人々が風邪やインフルエンザに罹患する季節になるとメディアに広告があふれるミラクルなインフルエンザ治療薬であるOscillococinumなど。

[Jean-Marie Abgrall: "Healing or stealing?: medical charlatans in the new age"(治療か泥棒か?ニューエイジのニセ医師たち),2006, p.40]

に、街頭インタビューで登場したホメオパシー薬品もベストセラーOscillococinumだった。

「個々人に合わせたテーラーメイドの治療」という建前は掲げられているが、実際には「薬局で定番品を買う」のがホメオパシー。そして、大量服用しても副作用はないが、レメディが何に効くか調べるときだけ症状が出るのがホメオパシーレメディ。とても魅力的な商品だ(販売側にとっては)。



関連エントリ





タグ:Quackery
posted by Kumicit at 2011/02/12 07:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック