[Alison George: "Earth economist: The food bubble is about to burst" (2011/02/10) on NewScientistここで言及されているサウジアラビアについての報道を見てみると、実際に小麦国内生産断念に向けて政府買い入れ量を漸減していることがわかる。
地球エコノミストは言う。食糧バブルは破裂寸前だと]
農業が依存している水資源を急速に吸い上げていると、Earth Policy InstituteのLester Brown所長は警告する。
食糧バブルとは何か?
食糧生産が持続不可能な水と土地の利用によって拡大しているときのことである。現時点で問題とすべきは水バブルである。世界銀行はインド人の15%(1億7500万人)が地下水の汲み上げすぎによる穀物生産によって必要な食糧を得ている。帯水層への水の補充以上の速さで水を汲み上げている。その数字は中国では1億3000万人と見られる。
バブルが破裂した場所があるか?
サウジアラビアは補充されることがない化石帯水層からの水を使って小麦を自給していた。収獲量は年間300万トン近くあったが、2008年にサウジアラビア当局は帯水層はほぼ枯渇したと述べた。来年は最後の収穫の年になるかもしれない。これは極端な事例だが、世界人口の半数が地下水面が低下している国で生きている。インドと中国は帯水層の低下により穀物生産能力を失っていくだろう。我々はいつ、どれくらい突然にバブルが破裂するかわからない。
人口増加に伴い、穀物生産の減少は大きな問題になる
そのとおりだ。1日当たり21万9000人の人口が増加している。しかし、それだけではない。30億人が食物連鎖を上方へ移動し、より穀物を消費する家畜製品を消費するようになっている。さらに、主として米国では穀物の自動車用エタノールへの転換もある。米国では4億トンの収穫のうち1億1900万トンがエタノールに転換された。
現在と同じことを続けていると何が起きるのか?
我々が知る文明は、このままビジネスを継続すれば、そのストレスに耐えられない。炭素排出を削減し、貧困を根絶し、人口を安定化させる準戦時体制に移行する。我々は経済による森林と地下帯水層と土壌などの自然支援システムの復元をいなければならない。このような破壊を生き延びた文明はない。そしてそれは我々の文明も同様だ。我々はまだ限界には至っていないが、人々が考えているよりも限界に近付いている。2010年にモスクワを襲った熱波がシカゴを襲えば、はるかに巨大な問題となる。ロシアは1億トンの穀物生産の40%を失ったが、我々だと4億トンの40%喪失に相当し、それは巨大な収穫減少だ。
このような災厄をどうやって防げるのか?
多くの国で、灌漑の水は無料もしくは低価格であり、それ故に、有り余る資源として扱われる。実際には貴重な資源であり、適正な価格をつけるべきだ。そして、我々は安全保障の意味を再定義する必要がある。真の驚異は軍事的超大国ではなく、水や食料の不足であり、気候変動であり、破綻国家の増加である。
個人としてできることはあるか?
私が受ける質問で最も多いのが「私に何ができるか?」である。人々は私に電球を取り換え、新聞をリサイクルするように言ってほしいようだが、私は世界経済、特にエネルギーを再構築すべきだと考えている。それは政治活動となってきている。もし近隣に石炭火力発電所があるなら、それを閉鎖させる運動をすべきだ。
[Souhail Karam: "Saudi Arabia scraps wheat growing to save Water" (2008/01/08) on Reuters]裕福で人口も2600万人程度であるサウジアラビアなら、こういうことも可能だが、中国やインドは厳しそう。
Saudi Arabia is abandoning a 30-year programme to grow wheat that achieved self-sufficiency but depleted the desert kingdom's scarce water supplies.
The government will start reducing purchases of wheat from local farmers by 12.5 percent per year from this year, officials from the agriculture and finance ministries said on Tuesday.
The kingdom aims to rely entirely on imports by 2016.
"The reason is water resources," said one official, who did not want to be identified.
Saudi Arabia produces 2.5 million tonnes a year of durum and soft wheat, enough to meet domestic demand
サウジアラビアは小麦生産拡大30年計画を放棄する。この計画は小麦自給を達成したが、砂漠の王国の乏しい水供給を枯渇させた。政府は今年から国内農家からの小麦買入れを年12.5%ずつ削減しすると、火曜日に農業および金融省当局は述べた。王国は2016年までに完全輸入の実現を狙っている。匿名で当局者は「理由は水資源である」と述べた
サウジアラビアは年間250万トンのデュラムコムギと小麦を生産しており、この量は自給に必要な量である。
[Nadim Kawach: "Saudi wheat output dips below one mln tonnes" (2010/10/25) on Emirates24/7]
“Last year’s wheat production declined to its lowest level since 1986,” the Saudi Arabic language daily Aleqitsadiah said, quoting a government report.
“Farmers meanwhile continued to withdraw from the market as nearly 3,871 of them have already quit….nearly 5,360 farmers are now in the market but most of them are expected to pull out in the next few years.”
「昨年の小麦生産は1986以来の最低となった」とサウジアラビア語のメディアdaily Aleqitsadiahが政府報告書を引用して報道した。「農民は市場から撤退を続けており、3871名が既に農業を断念し、5360名近くが市場に残っているが、その大半は今後数年で事業を断念する。」
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“The decision we took two years ago to halt local wheat output is final and clear…there is no going back,” said Fahd Balghaneem, Saudi Minister of Agriculture and Head of the Grain Silos and Flour Mills Organization (GSFMO).
“The country is now giving priority to water security over food security…this was a cabinet decision, which also directed us to stop producing wheat locally.”
[Saudi Arabia's Wheat Production via Crops Data from World on the Edge (2011/01/16) on Earth Policy Institute]
タグ:Climate
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