Intelligent design is a scientific theory which holds that certain features of the universe and living things are best explained by an intelligent cause, and are not the result of an undirected, chance-based process such as Darwinian evolution.ここでは進化論について、"undirected"と"chance-based"という表現を使っているが、他に、"blind"や"unguided"もよく使う。言ってる方は重い意味合いをこめているのだろうが、別に意味はない。自然現象は"blind", "undirected", "unguided", "chance-based"なものであり、それがどうということはない。
インテリジェントデザインは、宇宙と生物の特定の特徴がインテリジェントな原因によって最もよく説明され、ダーウィンの進化論のような、指示されない偶然ベースの過程の結果として説明されないと考える科学的理論である。
もって回った言い方になっているのは、「宇宙と生物の特定の特徴は自然現象ではない」と直に言いたくないからだろう。
インテリジェンスとは何か
まずは、実在するインテリジェントエージェントを語るFAQの回答:
Intelligent design begins with observations about the types of information produced by intelligent agents. Even the atheist zoologist Richard Dawkins says that intuitively, "[b]iology is the study of complicated things that give the appearance of having been designed for a purpose." Darwinists believe natural selection did the "designing" but intelligent design theorist Stephen C. Meyer notes, "in all cases where we know the causal origin of 'high information content,' experience has shown that intelligent design played a causal role."
インテリジェントデザインは、インテリジェントエージェントによって創られる情報の型について観察することから始める。無神論者の動物学者Richard Dawkinsも直感的にそれを言う「生物学は、目的のためにデザインされたかにみえる複雑なものを研究する」と。ダーウィニストは自然淘汰がデザインしたと信じるが、インテリジェントデザイン理論家Stephen C. Meyerは「高度な情報内容の原因的起源を知っている例すべてにおいて、経験的にインテリジェントデザインが原因の役割を果たしたと示されている」と注意する。
- インテリジェントエージェントとは時計職人だったり、自動車設計技術者だったりする。要する人間のに"職人"のことだ。
- 創られる情報の型とは時計だったり、自動車だったりする。おそらく古典的には設計図のこと。
- 高度な情報内容の原因的起源を知っている例すべてとはもちろん、あらゆる工業製品などを人間が作り出したものを指す。
- インテリジェントデザインが原因の役割を果たしたとは、インテリジェントエージェントたる技術者がデザイン(設計)したことによって、この世に出現したという意味。
さて、これを真に受けてみよう。そして、完成することのない工業製品の世界のインテリジェントエージェントの"情報の型"から見えるものから、彼らの言うデザイナーを類推してみよう。
そう、既存の技術の組み合わせによって最適な製品を作り出そうとしても、つくっているうちに、新しい技術が生まれる。想定外の事態に発生する障害と、対策の繰り返し。積もりに積もった対策を整理し直すと、新たなる問題点を創りこみ、さらに新たな想定外の事態に遭遇する。そして、再び障害と対策の繰り返し。そして、行き着く果ては、その種の製品の消滅。
ほしいものはあるのだが、それをイメージすることすらできない需要家。答えのないままに、それを作り続ける生産者。何らかの実物が出現することで、少しだけ道筋が見える。そして、ほしいもののイメージと、実現手段が少しだけ見えてくる。あるいは、実現手段として間違っていたことがわかる。もちろん、見えたと思った実現手段が、もう一歩進むと、間違いだとわかることもある。あるいは間違っていると判断した実現手段が、もう一歩進むと、有効だとわかることもある。
それでも、折り合いをつけて、何らかの使えるものを作り出す。そして、需要家はそこそこの満足あるいは大なる満足を見出す。
そのようなインテリジェントエージェントからの比喩で、インテリジェントデザインを語るなら..
- 成功と言える生物の背後にある莫大な失敗作たち
- つぎはぎだらけのデザイン
- それでも、見事と言うほかない生物
つまるところ、突然変異と自然淘汰による進化と識別できないというのが、デザインの特徴になるだろう。
そして、その"類推"へと話を進めるFAQの回答:
Intelligent design is thus heavily dependent upon "information theory." One of its fundamental premises is that "information" which is complex (highly ordered) and specified (fits a pre-existing pattern) is not produced by naturally occurring events (chance or law-governed processes), but rather this sort of observable information and complexity is best explained as the product of intelligent action.
インテリジェントデザインは従って、"情報理論"に大きく依存している。その基本的な根拠のひとつは、(高度に整然とした)複雑かつ(既存パターンに合う)指定された情報は、(偶然や法則に支配された過程の)自然に起こる現象では創れない。そのような観測される情報や複雑さはむしろ、インテリジェントな行動の産物として最もよく説明される。
偶然と決定論的な過程を排除しても、偶然と法則の組み合わせは排除できない[PvM: Unanswered Criticism of Dembski’s Specified Complexity, 2006/5/29]というのが正面からの反論だが。
真に受けてみても、哲学者Soberが衝いた「還元不可能な複雑さをデザインするマインドは還元不可能な複雑さを持つ」[Sober 2006]が効いてくる。
実在するインテリジェントエージェントたる人間の職人が、進化の果てに出現したものであれば、このFAQの回答文は意味をなさない。人間が特別に創造された存在でなければ、自然の産物たる人間の行動の産物は、自然の産物になってしまうからだ。
Implication(含意)は神学次第で何とでも
そして、FAQ回答文の最後は、"含意":
Intelligent design implies that life is here as a result of the purposeful action of an intelligent designer, standing in contrast to Darwinian evolution, which postulates that life exists due to the chance, purposeless, blind forces of nature.
インテリジェントデザインは、インテリジェントデザイナーの目的ある行動の結果として生命がここにあると含意する。これに対して、ダーウィンの進化論は、生命は偶然と目的なき、盲目の自然の力によって存在すると仮定する。
含意(Implication)とは、理論そのものの主張ではなく、理論から導き出せる"科学の枠外"のもの。目的・意義・価値・善悪判断などのは科学の取り扱い対象ではないが、科学理論と何らかの神学を組み合わせることで、導出できる。もちろん導出されたものは、科学の枠外なので、科学によって正否を判断できない。
たとえば、このFAQは「インテリジェントデザイナーは目的を持ってデザインする」という神学によって成り立っている。
「インテリジェントデザイナーは目的もなく、行き当たりばったりにデザインを濫造する」という神学と、「生命はインテリジェントデザイナーがデザインした」というインテリジェントデザイン理論の主張を組み合わせても、含意されるものは「生命は偶然と目的なき、盲目のデザイナーの力によって存在する」というものになる。
そして「インテリジェントデザイナーは目的を持ってデザインする」という神学と、「インテリジェントデザイナーは目的もなく、行き当たりばったりにデザインを濫造する」という神学を科学はどちらが正しいか、あるいはどちらも間違っているかを判断できない。従って、神学論争で決着をつける他ない。
少なくともインテリジェントデザイン理論家Dr. Michael Behe[wiki]は、後者の神学を排除していないと考えられる。Beheはその代表作"Darwin's Black Box"で:
Another problem with the argument from imperfection is that it critically depends on a psychoanalysis of the unidentified designer. Yet the reasons that a designer would or would not do anything are virtually impossible to know unless the designer tells you specifically what those reasons are. One only has to go into a modern art gallery to come across designed objects for which the purposes are completely obscure (to me at least). Features that strike us as odd in a design might have been placed there by the designer for a reason -- for artistic reasons, for variety, to show off, for some as-yet-undetected practical purpose, or for some unguessable reason -- or they might not. Odd they may be -- but they may still be designed by an intelligence. The point of scientific interest is not the internal mental state of the designer, but whether one can detect design. (Michael Behe, Darwin's Black Box, pg 223)と書いているからだ。
不完全さによる議論のもう一つの問題は、この議論が、正体のわからないデザイナーの精神分析に大きく依存していることである。しかしデザイナーが何をするかしないかの理由を知ることは、その理由をデザイナー自らはっきりと教えてくれない限り、事実上不可能だ。現代美術の展示室に行きさえすれば、目的が完全に不明な(少なくとも私にはそうだ)デザイン物体にお目にかかれる。デザインの中で、奇妙な印象を私たちに与える特徴は、そのデザイナーが理由があってそうしたのかもしれない。芸術的な理由か、多様性のためか、注意を引くためか、何かわからないが実用的な目的のため、その他創造もつかない理由のためかもしれないし、そうでないかもしれない。奇妙かもしれないが、それでもやはりそれらはある知性によってデザインされている可能性があるのだ。科学的な興味の核心は、デザイナーの精神状態ではなくデザインが検出できるかどうかである。(ダーウィンのブラックボックス p313)
従って、「インテリジェントデザイナーの目的ある行動の結果として生命がここにあると含意する」というFAQの回答文は、回答文作成者の神学の告白であって、神学論争に勝利した神学ではない。
神学次第でどうとでもなるというのは、特に奇異なのことではない。J.H.ブルック[Amazon]によれば、ダーウィンの進化論を論拠にしたのは、自由放任の資本主義(p.316)・社会主義(P.319)・Paleyの設計説(p.343)・神学的自由主義(p.339)・マルクス(p.318)など。自らが持てる神学次第で、どんな含意も引き出せる。たとえば)
浪費、苦痛、苦悩は創造プロセスにつきものであるからこそ、そこに新たな合理性を賦与しうるのだ。自然神学は、ダーウィニズムによってうるさい反論をかわすことができると論じたのはグレイだけではない。イングランドでは、適応を設計の証とするペイリーの個別創造説は複数の設計者を想定するに等しいというヒュームの反論を免れないことを、フレデリック・テンプルが認めていた。しかしながら、ダーウィンの進化論を潜在力が高等生物において顕在化されてゆく統一プロセスとして解釈するならば、一人の設計者にゆきつくはずだと、彼は示唆した。(p.343))

