- 土壌に空気を通すために、ミミズは地下にトンネルを掘る
- 死んだ皮膚細胞を消費するために、ダニは皮膚上で暮らす
- 土壌の浸食を防ぐために苔がむす
- フィンチは生き残るために多様化した
- 薬剤耐性を獲得するために病原菌は突然変異する
- 宿主に感染するために寄生虫は増殖する
- 植物が光合成できるように、太陽は光を放射する
- 大気に水分を供給するために水が凝集する
- 物質を形成するために分子が結合する
- 地殻プレートを調整するために、地震が起きる
- 地下の熱を放出するために間欠泉が吹き上がる
- 紫外線から守るために地球はオゾン層を持っている
これらは、Kelemen and Rossetが人間の目的論指向を調べるために用意した例文である。非常に明瞭に目的論な表現だが、被験者たちは回答制限時間が短いと、正しいと判定するようになる。これらはキリスト教とは無関係な「目的論」なので、キリスト教の影響の弱い日本で調査しても、似たような結果になるかもしれない。
関連エントリ
- 目的論を語る子供たち (2006/11/13)
Kelemen and DiYanni[2005]は、英国の児童を調査して、「生物および非生物の自然界の事物について、人工物のような目的機能の説明をつくり、動物と人工物の起源としてインテリジェントデザインを支持する傾向があること」を見つけている - 生物学まわりの目的論についての調べものメモ (2006/11/04)
Stanford Encyclopedia of Philosophyの「Teleological Notions in Biology(生物学における目的論の概念)」 - 人間の心は進化論を理解しにくいようになっている? (2008/11/30)
Dr Justin Barrettは、「これは両親や教師から何を言われようとも、子供たちが進化論より創造論を信じる傾向があることを意味する。人類学者たちは、ある社会の子供たちは宗教教育を受けなくても、神を信じている。子どもたちは通常かつ自然に発達させた心により、神による創造やインテリジェントデザインを信じるようになる。これに対して、進化論は人間の心には不自然であり、理解するのが難しい」と述べた。 - やっぱり人間の心は創造論を信じるような実装になっている (2009/03/03)
制限時間が短いと成人は目的論な誤りを犯しやすくなることを示した。しかし、Kelemen and Rossetは、制限時間にかかわりなく、地球が生命のためにデザインされ維持されていることを意味する誤った文を正しいと判断する傾向があることを見出した。... しかし、Kelemen and Rossetは、宗教信仰を持つ学生と無信仰な学生に差異がないことを発見した。