2006/07/04

"若い地球の創造論"と矛盾しない宇宙版ID

インテリジェントデザインは"若い地球の創造論"と矛盾しない

インテリジェントデザインの本山たるDiscovery Instituteのプログラムアドバイザであり、インテリジェントデザインの主導者であるPhillip Johnsonは1993年の「Creator or Blind Watchmaker?」という記事で、小異(地球の年齢や創造の方法の違い)を捨てて、大同(創造論)につけと主張した:
By controlling the terminology, then, Darwinists have given the world the impression that the significant divide in public opinion about evolution is that between the Genesis literalists and everybody else. This is a sorry misunderstanding. For the fundamental disagreement is not over the age of the earth or the method of creation; it is over whether we owe our existence to a purposeful Creator or a blind materialistic process. The 47 percent in the 1991 Gallup Poll who say that God created suddenly and the 40 percent who say that God created gradually are basically in agreement- in comparison to the 9 percent who say that God did not create at all. When the majority finally understands this, it will become possible to challenge the monopoly of evolutionary naturalism both in the media and the educational system.

用語をコントロールすることにより、ダーウィン論者は進化論についての世論を、文字通りの創世記解釈とそれ以外のみんなに決定的に分かたれるという印象を与えた。これは悲しい誤解だ。基本的な不一致は、地球の年齢や創造の方法ではない。基本的な不一致は、我々の存在が、目的を持った創造主によるものなのか、盲目の機械論的過程によるものかなのだ。1991年のGallupの世論調査での、神は全く創造をしていないと答えた9%と比べれば、神が突如に創造したと答えた47%と時間をかけて神が創造したと答えた40%は基本的な考えは一致している。このことを多数派が理解すれば、メディアと教育の分野で進化論的自然主義の独占への挑戦が可能となるだろう



Discovery InstituteのCenter for Science and CultureのResearch DirectorであるDr.Bruce L. Gordonは「Confusion at the Times Higher Education Supplement: Intelligent Design Theory is NOT Creationism」において:

... being a young earth creationist is a sufficient but not a necessary condition for being an advocate of intelligent design. Most current ID theorists of consequence not only are not creationists, some of them aren’t even theists.

"若い地球の創造論"者であることは、インテリジェントデザイン支持者の必要条件でなく十分条件である。現在の主要なインテリジェントデザイン理論家たちの大半は創造論者ではなく、一部は有神論者でもない。


すなわち、インテリジェントデザインは"若い地球の創造論"を否定しないように創られていると言っている。


宇宙版IDは"若い地球の創造論"を否定するか

本来のインテリジェントデザインの方針に従えば、宇宙版であってもインテリジェントデザインは"若い地球の創造論"を否定しないはずだ。

宇宙版IDは

  • 皆既日蝕
  • 宇宙観測に適した透明な大気
  • 宇宙観測に適した暗い夜
  • 生命にとって特別な液体である水
  • 地球を防御する惑星群
といった論点で、地球が特権的であると論じている。
(http://www.privilegedplanet.com/QandA.php)

宇宙の年齢については巧妙に避けている。
"若い地球の創造論"と矛盾しそうなのは次の論点:
Q #4: Is Earth a data recorder?
A: A walk through a Redwood forest is like a walk through the Library of Congress. Trees, along with corals, polar ice, marine sediments, and lake sediments contain vast storehouses of detailed information about Earth's past climate. Is this a typical feature of planets? On the contrary, we argue in that, as planets go, Earth (or, more precisely, the Earth-Moon system) is a quite high fidelity recorder of the past

Q: 地球はデータレコーダーか?
A: Redwoodの森を歩くことは、議会図書館を歩くようなものだ。木々や、サンゴや、極冠の氷や、海底の堆積物や、湖の堆積物は、地球の過去の気象についての詳細な情報の膨大な記録庫である。これは惑星たちの典型的な特徴だろうか? そうではなく、我々はここで、地球(より正確には地球-月の系)が過去についての非常に高精度のレコーダーだと論じる。


この論点は、Phillip Johnsonの方針に反して、"若い地球の創造論"と矛盾している。少なくとも、6000年を超える記録が、南極の氷には残されている。しかし、他の項目は特に問題にならない。

Ken Hamが主宰する"若い地球の創造論"サイトAnswers in Genesisは、この宇宙版IDの本"The Privileged Planet"を攻撃もしていなければ、持ち上げもしていない。また、かつての創造科学の本拠地であるInstitute for Creation ResearchのオンラインショップにはThe Privileged Planet - DVDが並べられている。

このことからも、宇宙版IDは"若い地球の創造論"と敵対するものではないことがわかる。



posted by Kumicit at 2006/07/04 00:01 | Comment(0) | TrackBack(1) | Skeptic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

ID〈28〉理に適ったデザインの推定 /銀河系レベルでも“証拠”
Excerpt: 【科学】ダーウィン進化論の終焉??科学の新パラダイム ID〈28〉 第一部 ID理
Weblog: e-News
Tracked: 2006-07-04 10:26