2011/08/01

メモ 地下埋設をめぐる

 福島県内の学校の除染が進行している。その除染の方法のひとつが"表土剥ぎ取り"である。その剥ぎ取った表土は、校庭の地下に埋設されている。そのような方法をとる根拠として、日本原子力研究開発機構のレポートがある。
[日本原子力研究開発機構 "学校等の校庭・園庭の空間線量低減のための当面の対策に関する検討について " (2011/05/11)]

学校敷地外へ土壌を持ち出さずに敷地内における空間線量率を低減させる方法としては、表層土を剥離した上で、その土壌をまとめて地下に集中的に置く方法や、下層土と入れ替える(置換する)方法が考えられる。本調査で得られたデータを用いて、これらの方法における遮へい効果や空間線量率を推定することが可能となる。また、覆土の厚さの決定に対しても有効である。
この結果を追認するように、原子力保安院も「一時保管の方法」として地下埋設を推奨する。
[原子力安全・保安院:"「福島県内(警戒区域及び計画的避難区域を除く)における生活圏の清掃活動(除染)に関する基本的な考え方」について" (2011/07/15)]

廃棄物等を一時保管する方法は、@まとめて地下に置く方法、A山積みにする方法、Bコンクリート構造物で囲む方法等が考えられ、地域の実情に応じて選択する。
...
2.まとめて地下に置く方法の留意事項
(1) 帯水層に達しないよう注意し、廃棄物等を保管するための穴を設ける。
(2) 穴の底面及び側面にはあらかじめ遮水シート等を敷き、水が地下に浸透しないように努める。
(3) 廃棄物等は耐水性材料等で梱包し、穴に入れる。
(4) その日のうちに放射性物質が沈着しているおそれが少ない土(数 cm 以上掘り返した土等)を被せる。なお、目安として放射線は、厚さ 10cm の覆土で 25%、15cm で 15%、20cm で8%程度まで低減するとされている
(5) 雨水浸入防止のため遮水シート等で覆う、あるいはテントや屋根等で覆う。また、状況に応じ降雨の排水のために排水溝を設ける。なお、廃棄物等が有機物を多量に含む場合には、ガスの発生に注意する。
(6) 覆土を掘り返さないよう注意喚起を行う。
(7) 廃棄物等が飛散しないよう管理する。
(8) 定期的に線量率を測定することが望ましい。
しかし、この地下埋設は短期的には有効な線量削減対策だが、朝敵長期的には適切ではないとされる。
[【肥田美佐子のNYリポート】米原発専門家に聞く「文科省の学校土壌処理は汚染拡大招く時代錯誤」 (2011/07/29) on WSJ]

キンバリー・キアフォット教授(原子力工学・放射線医学・生体工学)

放射性物質を含む表層土を埋め込み、上に土をかけることで、放射性核種が地中に広がり、検出がいっそう困難になってしまう。汚染部分が拡大すればするほど、ますます手に負えなくなる。埋めた場所を正確に記録する必要があるが、放射性物質が環境内を移動するため、難しさが増す。ビニールシートを使っても、放射性物質は地中で飛び散り、四方に拡散しかねない。地中に埋めると、さらにコントロールできなくなる。
...
表層土を専用の保管コンテナに入れるのが、はるかに望ましいやり方だ。米国でも使われているが、天候や放射性元素にも耐久性のある非常に頑強な大型コンテナがいい。あくまでも一時的使用が目的だが、水など、あらゆるものを遮断する。
それでも、福島県中通にある市は地下埋設へと動いている。

南相馬市は当面は線量半減を目指し、最終的には1mSv/年未満にすべく、当面は公共施設・民間施設をすべてを対象とし、国の除染方針明確化後はの内・森林・河川についても除染を行うこととしている[南相馬市放射性物質除染方針, 2011/07]。この除染において、剥ぎ取った表土を地下埋設することとしている。
[南相馬市災害対策本部: "放射性物質除染マニュアル" (2011/07) ]

(6) 表土剥ぎ
放射線に対する感受性は年齢が小さい子どもほど高いとされています。このことから、保育園、幼稚園、小・中学校の校庭についてはその表土を剥ぎ取り放射線量率を低減させることとします。
校庭等の表土剥ぎについては、表層土を機械又は人力により剥ぎ取り、また、砂場、花壇、植栽帯などについても現地の状況、放射線量率の測定結果を確認しながら剥ぎ取ります。加えて、敷地内側溝に堆積した土砂を全て除去します。
剥ぎ取られた表土及び側溝の土砂等は、基本的に学校等敷地内にトレンチを掘削し遮水シートを敷き込み、その上に転圧しながら埋め戻し、遮水シートで包み込みます。包み込んだ表層土等の上に、トレンチから発生した土砂を転圧しながら埋め戻します。
本宮市も同様の方針であり、たとえば、本宮市立白沢中学校でも「表土剥ぎ取りと地下埋設」を行っている。

その措置をあくまでも一時的なものと明言してるのは福島市:
[福島市教育委員会:"学校等の校庭等の表土改善事業の実施について" (2011/04.24)]

2.市が行う表土除去の工事方法について

市では、校庭等の状況や工事期間等を考慮し、工事方法は国が示した敷地内に「まとめて地下に置く方法」により工事を行います。この方法は、作業工程的に短期間で作業が可能になるほか、遮水シートを用いることにより地下水への影響を防ぐことができるなどのメリットがあります。

[福島県教育委員会; "校庭等の表土改善事業についてのQ & A 集" (2011/0/24)]

Q7 表土を敷地内に埋設しておく期間の見通しはあるのか?

A 汚染された表土は、敷地外に搬出して処理すべきであり市としても国に強く要望しています。しかし、現時点では搬出しても処分できる場所がありませんので、暫定的な対応として敷地内に埋設しておくことになります。なお、国から放射性物質を除去できる技術や搬出処理について方法等が示されれば早急に対応します。[郡山市: "小・中学校、保育所の校庭等における表土除去に関するお知らせ" (2011/07/08)

校庭の表土除去及び地中への仮置きについて(7月8日更新)

 除去した土は、校庭・所庭の一角に仮置きして、凝固材で表面を固め、シートで覆うとともに、周囲をロープで囲み、児童、生徒が近づけないよう、安全に配慮した措置を講じてきましたが、子どもたちのさらなる教育環境等の向上を図るため、除去した表土については、校庭等の状況に応じ、順次地中へ仮置きしています。
この他、伊達市が学校ではなく別の公有地に仮置きとして埋設しようとしたものの、仮置き場所も確保できていないもよう。

そして、このまま最終処分場が決まらないままになると、この地下埋設が恒久化してしまい、地下埋設は最終処分と化してしまう。


で、最終処分場を福島県内に確保しようとした環境省だったが、6月9日に福島県佐藤知事が県内最終処分場を拒否したことで、確保できないでいる

もちろん、拒否する側も政治的な立場がある。最終処分場として、福島第一原発に近く汚染の強い地域をつかうことは、帰還不可能領域とすることを意味する。これは、たとえば「半数が大熊町にもどれるなら2年以内に」という状況からも、大熊町・双葉町・浪江町・楢葉町・富岡町レベルでも、福島県レベルで政治的にOKできないのは当然。
[福島県大熊町(全域が警戒区域)の町民アンケート (2011/07/25) on 日経新聞 copy]

全世帯11,042名にアンケート用意配布、3419名が6/30までに回答。

Q 2-2 収束プログラムが進み、大熊町へ戻れる状況になるといて、あなたは最大何年位であれば待てますか

  1. 半年以内 9.0
  2. 1〜2年以内  41.7
  3. 3〜5年以内 19.7
  4. 10年以内 5.1
  5. いつまでも 13.2


[クローズアップ2011:原発工程表見直し(その1) ステップ2、課題山積 (2011/07/20) 毎日新聞

村全域が警戒区域と緊急時避難準備区域に指定されている川内村の遠藤雄幸村長は「避難区域の解除に向けた検討が始まるというのは期待したいと思う。
なので、地方自治体の権限を強制的にオーバーライドして、最終処分場を確保したいところだが、文科省・環境省にはおんな権限はおそらくない。したがって、このまま、剥ぎ取った土を環境中に埋めるしかない。

経産省(保安院)・環境省・文科省そして、福島県・福島市・二本松市・本宮市・伊達市・郡山市・南相馬市・大熊町・双葉町・富岡町・浪江町という登場人物たちでは決着をつけられにない。そして、結果として「文科省の学校土壌処理は汚染拡大招く時代錯誤」ということに。




posted by Kumicit at 2011/08/01 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Earthquake | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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