2011/10/20

HIV患者に通常医療を忌避させるアフリカ系"福音主義キリスト教会"


英国で、HIVを祈りで治癒できると主張して、信者に通常医療を忌避させて死なせる事件が起きている。BBCの報道によれば...
[Andy Dangerfield: Church HIV prayer cure claims 'cause three deaths' (2011/10/18) on BBC]

神はAIDSを癒すことができると信じて、アンチレトロウィルス剤の摂取をやめるように奨めるロンドンの教会に、女性たちが参加した後に死亡したと、彼女らの友人および著名なHIV医師たちが述べた。

BBC Londonの調査に対して、1980年代の有名なAIDS awareness campaignの責任者だった元保健相Fowler卿は、このような教会活動に懸念を示した。「これは直面すべき、まさしく間違った、悪い助言である」と、先月に英国上院HIV委員長を務めた保守党上院議員であるFowler卿は述べた。

自分自身もHIVに感染している、東ロンドンのNewhamのJane Iwu (48歳)は、これらのうちの1件について「牧師のもとへ行って、『神はヒーラーであり、あなたを癒すことができるので、受けている医療をやめるように』と言われた友人を知っている。彼女は牧師を信じた。彼女は医療を受けるのをやめた。そして彼女は亡くなった」と書いている。
」と書いている。

無責任な助言

BBC Londonは、東ロンドンの第2の女性を取材し、牧師からアンチレトロウィルス剤の摂取をやめるように牧師から助言された後に亡くなった友人について話を聞いた。

一方、東ロンドンHackneyにあるCentre for the Study of Sexual Health and HIVのセンター長であるJane Anderson教授は、「これとは別に、牧師の助言の結果としてHIVで死亡した人について対処したことがある。私自身は一度しか、そのような例を見たことはないが、確かに起きた。我々は、十分に頻繁に祈ればHIVが治癒するという信条を表明する患者を多く見てきた。我々は、錠剤を摂取しないことを選択して、ときには死に至った人々を見てきた」と述べた。

Fowloer卿は「これは人々に対して危険であり、すなわち公衆衛生上、危険である」と述べて、これらの牧師たちへの懸念を表明した。「これは無責任である。牧師たちは、ものごとをもっと真摯に見つめて、完全に間違った助言を人々にしないようにすべきだ。」

HIV予防慈善団体African Health Policy Network(AHPN)によれば、祈りの力が感染症を治癒するのだと人々に語る教会の数がロンドンで増大している。「多くの教会でこのようなことが起きている。我々は多くの事例を聴いている。」とAHPNの代表者であるFrancis Kaikumbは述べた。

AHPNは、英国本部を南ロンドンのSouthwarkに置いているSynagogue Church Of All Nations (SCOAN)は、そのような行為をしている教会のひとつだと考えている。

Forbes Richlistによれば、この教会を率いるTB Joshua牧師はナイジェリアの3番目に金持ちな聖職者である。BBCの取材に対して、この教会の指導者たちは自らを福音主義キリスト教牧師だと描写した。ナイジェリアのLagosにある教会のウェブサイトには、祈りによってHIVが治癒されたと協会が主張する人々の写真が載せられている。

HIV-AIDSヒーリング

一つの例では、教会のウェブサイトは「Mrs Badmusは、TB Joshua牧師の祈りによってHIV-AIDSが100%治癒したことを確認する2つの医療機関の診断書を誇り高く掲げている」とある。

その教会のウェブサイトの実現可能な"奇跡"の中に"HIV-AIDSヒーリング"も並べられている。"癌ヒーリング"や"乳児奇跡"も宣伝されている。

その教会の英国ウェブサイトは月次"prayer line"を宣伝していて、そこには「病気治療を受けているなら、記録と証言のために医療記録を持ってくることが重要です」と書かれている。

南ロンドンでの礼拝の様子を写した動画がネットにポストされていて、その中で、関節炎や喘息や統合失調症を患っていたと主張する参加者たちが、教会から提供された"anointing water"をスプレイすると病気が治癒したと言っている。

セントラルロンドンに住むMary Buhari(44歳)はBBCに大して「教会の担当者との電話で、HIVを治癒できると告げられた」と述べた。「HIVを含む地球上のどんな病気も祈りで治癒できると言われた。」

しかし、BBC Londonが牧師がHIVと治癒できるか質問すると、SCOANは「我々はヒーラーではない。神がヒーラーである。神が癒せない病気はない。神が治癒できない病気はない。我々は人々に医療を受けるのをやめるように求めていない。医師が治療し、神が癒す」と回答した。

直近の、HIV Awareness上院委員会報告には「信仰団体によるHIV感染者へのアプローチは進んでいるが、やる必要がもっとある。信仰団体の指導者はHIVについて問題として関与し、HIVに関して有効かつ正しいサポートとコミュニケーションを行うことが不可欠である」と書いている。

保健省のスポークスマンはこの報告に関して「60以上の推奨事項が作られており、我々は今後数か月、議会に対応していく」と述べた。
通常医療を忌避させている教会だが、BBCの取材になると通常医療を拒否させていないと言う。

で、ここで登場したSCOAN (The Synagogue Church of All Nations)はナイジェリアを本拠地とする自称"福音主義キリスト教会"である。
[SCOAN (The Synagogue Church of All Nations)]
Scoan.png


英国ロンドンにも拠点を持っている。
[SCOAN LONDON]
ScoanLondon.png


そして、あやしい水を販売している。
[Anointing-Water]
anointing_water_icon1.png

posted by Kumicit at 2011/10/20 02:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | Quackery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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