2006/09/27

創造論者が使ってはいけない「アインシュタインは確固として創造主への信仰を保った」

Mark Isaakによる創造論者の主張の「CA114. Many famous scientists were creationists.」にはリストアップされていないが、「Einstein held unswervingly, against enormous peer pressure, to belief in a Creator.(巨大な仲間のプレッシャーに抗して、アインシュタインは確固として創造主への信仰を保った)」というのもあるらしい。

もちろん、そんなことはない。アインシュタインといえば:
In response to the telegrammed question of New York's Rabbi Herbert S. Goldstein in 1929: "Do you believe in God? Stop. Answer paid 50 words." Einstein replied "I believe in Spinoza's God, Who reveals Himself in the lawful harmony of the world, not in a God Who concerns Himself with the fate and the doings of mankind." Note that Einstein replied in only 25 (German) words. Spinoza was a naturalistic pantheist.

1929年のニューヨークのHerbert S. Goldstein師の電信での質問「あなたは、神の存在を信じますか?50語で答えてください。」に対して、アインシュタインは「私は、人類の運命と行いについて気にする神ではなく、世界の秩序ある調和として現れる、スピノザの神を信じます」と答えた。アインシュタインはドイツ語で25語で答えた。スピノザは自然主義の汎神論者だった。

http://en.wikipedia.org/wiki/Albert_Einstein


これについて、毎度おなじみの"若い地球の創造論サイト"Answers in Genesisは、"使ってはいけない論"にリストアップしている。彼らの論点は、「物理学者たちが正統的なキリスト教用語を使っていても、それは本来の意味ではない。物理学者たちはほとんど無神論者だ」というもの。

「物理学者たちはほとんど無神論者だ」というのはあやしいが、少なくとも、Answers in Genesis主宰者Ken Hamの思う神様と別物というのは正しい指摘だろう。

で、Answers in Genesisの主張「Don Batten: Physicists' God-talk」は:
Some well-known physicists in recent times have used language which, to many Christians, sounds as if these men have some sort of Christian faith, or are leaning in that direction. Some Christian people have thus been encouraged. Some writers in Christian magazines have encouraged this belief that the physicists are getting 'closer to God', even claiming that what they say authenticates the Bible.

近年、著名な物理学者たちが、多くのキリスト教徒たちに向かって、自らが何らかのキリスト教信仰を持っているか、キリスト教信仰に傾いていると思わせるような言葉を使うことがある。そこで、キリスト教徒たちの中には、これに励まされる者もいる、キリスト教雑誌の執筆者に中には、物理学者たちが神に近づいているとか、物理学者たちの発言が聖書を権威付けているとまで言うものもいる。

Albert Einstein once said, in reference to the mathematical orderliness of the universe, 'God does not play dice'. This was taken by many to mean that Einstein had some sort of faith in God. More recently, physicist and philosopher Paul Davies titled his book The Mind of God. Leon Lederman, a Nobel Prize-winner, called his book about the Higgs boson fundamental atomic particle, The God Particle. George Smoot, the cosmologist, described finding fluctuations in the cosmic microwave background radiation as like 'seeing God'. Stephen Hawking, the well-known English cosmologist, seemingly echoing the sentiments of such Christian intellectual giants as Isaac Newton, tells us that the aim of science is to know the 'mind of God'.

宇宙の数学的秩序について、アルベルト・アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言った。多くの人々はこれを聞いて、アインシュタインが何らかの神への信仰を持っていることを意味していると受け取った。最近では、物理学者であり哲学者でもあるPaul Daviesが本のタイトルを"神の心"とした。ノーベル賞受賞者であるLeon Ledermanは本の中で、素粒子ヒッグス ボソンを神の粒子と呼んだ。宇宙物理学者George Smootは、宇宙のマイクロ波の背景放射の変動の発見を、"神を見る"ように描写した。有名な英国の宇宙物理学者Stephen Hawkingは、アイザック・ニュートンのようなキリスト教の知的な巨人の感情と一見、同じようなことを言って、科学の狙いが"神の心"を知ることだと語る。

Are these men being drawn towards faith in God through their physics/astronomy/cosmology? Not at all! Biographies of Einstein's life show that he had no personal faith in God. A quote from a book review published in Nature shows how we should not let statements such as those by Lederman, Smoot and Hawking mislead us:

これらの人々は、彼らの物理学/天文学/宇宙論を通して、神へ信仰に惹かれているのだろうか? そんなことはまったくない。アインシュタインの伝記は、彼が神への信仰を持っていなかったことを示している。Natureに掲載された本のレビューの引用は、LedermanやSmootやHawkingのような人々の表現が、いかに我々を誤解させてはならないか示している:
Such statements seriously mislead the average person, who believes that the scientists are finding the personal God of traditional theology. Nothing could be further from the truth. Lederman calls the Higgs boson the "God Particle" because it is the most important particle in particle physics today; Smoot means that, when contemplating the cosmic radiation, he experiences a feeling of awe analogous to that of religious believers; and Hawking's phrase is shorthand for the Theory of Everything. All three physicists — like most physicists of this century — describe themselves as agnostics or atheists. They do not believe in a Person who created the Universe.

そのような表現は、科学者たちが伝統的な神学の人格神を見つけようとしていると信じている平均的な人々を誤解させる。それは全くの偽りだ。Ledermanがヒッグス ボソンを神の粒子と呼ぶのは、今日の素粒子物理でそれが最も重要な粒子だからだ。Smootは、宇宙放射を考えるとき、宗教の信者に類似した畏敬の念を持つと言っている。そして、Hawkingの表現は、万物理論の短縮形である。これら3人の物理学者はみな、今世紀の大半の物理学者と同じく、自らを不可知論者もしくは無神論者と描写している。彼らは宇宙を創造した人格を信じていない。


Likewise, Professor Davies does not believe in a personal creator-God either.
同様に、Davis教授も人格のある創造神を信じていない。

Physicists tend to use religious terminology because it graphically expresses the religious/philosophical nature of their thoughts and the sense of almost religious reverence they feel about their subject. Like the 'liberal' theologians, they use the language of orthodox Christianity, but in using the words they do not mean what we may think they mean.

彼らの考えの宗教的あるいは哲学的性質と、その主題について彼らが感じる宗教的敬意をわかりやすく表現できるので、物理学者は宗教用語を使用する傾向がある。彼らは、自由主義神学者のように、正統的なキリスト教の言葉を使う。しかし、それらの言葉を使うとき、我々の意味するもと考えるものを意味しない。

これは正しい指摘と言える。少なくとも、創造論者たちの思い描く、人格を持つ聖書の字義通りの神を、アインシュタインたちが信じていなかっただろうことは正しいだろう。

posted by Kumicit at 2006/09/27 00:01 | Comment(3) | TrackBack(0) | Creationism | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そういう意味に於いても、異端とされた初期キリスト教の派閥が説いた2神論、または2元論も有り得るとおもうのですが 
Posted by NO at 2006/09/28 18:29
但し、創造神に人格があるとかないとかは、別として
Posted by NO at 2006/09/28 18:31
方法論的自然主義を原則とする自然科学の取扱商品の中には、1元・2元あるいは人格の有無に関わらず、創造主や超越神などは入っていません。基本的にKumicitは方法論的自然主義ベースで執筆しているので、2元論な非人格神についても、肯定も否定もしません。
Posted by Kumicit 管理者コメント at 2006/09/28 23:06
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