2006/11/22

何故、政治保守&キリスト教徒は進化論を受け入れるべきなのか by Michael Shermer

Michael ShermerはScientific Americanに連載を持っている。2006年10月号掲載「Darwin on the Right: Why Christians and conservatives should accept evolution」では、進化論が政治的保守とキリスト教といかに親和するかを説いている:
According to a 2005 Pew Research Center poll, 70 percent of evangelical Christians believe that living beings have always existed in their present form, compared with 32 percent of Protestants and 31 percent of Catholics. Politically, 60 percent of Republicans are creationists, whereas only 11 percent accept evolution, compared with 29 percent of Democrats who are creationists and 44 percent who accept evolution. A 2005 Harris Poll found that 63 percent of liberals but only 37 percent of conservatives believe that humans and apes have a common ancestry. What these figures confirm for us is that there are religious and political reasons for rejecting evolution. Can one be a conservative Christian and a Darwinian? Yes. Here's how.

2005年のPew Research Centerの世論調査によれば、生物が現在の形態のままであると信じている福音主義キリスト教徒の比率70%なのに対して、プロテスタントは32%で、カトリックは31%である。政党支持で見れば、60%の共和党支持者が創造論者であり、わずか11%が進化論を受け入れている。これに対して民主党支持では29%が創造論者であり、44%が進化論を受け入れている。2005年のHarrisの世論調査では、63%のリベラルが人間と類人猿が共通祖先を持つと信じているの対して、保守支持者では37%しか信じていない。これらの結果からわかることは、進化論を拒絶する宗教的で政治的な理由があることだ。保守的キリスト教徒かつダーウィン支持者たりえるだろうか?それは可能だ。以下のように。

1. Evolution fits well with good theology. Christians believe in an omniscient and omnipotent God. What difference does it make when God created the universe--10,000 years ago or 10,000,000,000 years ago? The glory of the creation commands reverence regardless of how many zeroes in the date. And what difference does it make how God created life--spoken word or natural forces? The grandeur of life's complexity elicits awe regardless of what creative processes were employed. Christians (indeed, all faiths) should embrace modern science for what it has done to reveal the magnificence of the divine in a depth and detail unmatched by ancient texts

1. 進化論は良い神学と合っている。キリスト教徒は全知全能の神の存在を信じている。神がいつ宇宙を創造したのか、それが10,000年間前なのか10,000,000,000年前なのかで、何が違うだろうか? 日付のゼロの個数にかかわらず、創造の栄光は畏敬の念を禁じえない。神がどのように生命を創造したか、それが言葉によるものか、自然の力によるものかで何が違うだろうか? いかなる創造過程が使われたかにかかわらず、生命の複雑さの勇断さには畏怖を感じずにはおれない。キリスト教徒、そしてすべての宗教の信者は、古代の文献よりも、深くそして詳細に神の壮大さを明らかにするために為したことについて、現代科学を受け入れるべきなのだ。

2. Creationism is bad theology. The watchmaker God of intelligent-design creationism is delimited to being a garage tinkerer piecing together life out of available parts. This God is just a genetic engineer slightly more advanced than we are. An omniscient and omnipotent God must be above such humanlike constraints. As Protestant theologian Langdon Gilkey wrote, "The Christian idea, far from merely representing a primitive anthropomorphic projection of human art upon the cosmos, systematically repudiates all direct analogy from human art." Calling God a watchmaker is belittling.

2. 創造論は悪い神学である。インテリジェントデザイン創造論の時計職人な神は、利用可能な部品を集めて生命を鋳造する鋳掛屋に限定される。神は我々よりちょっと進んだ遺伝子工学者にすぎない。全知全能の神はそのような人間的な制約を超えているはずだ。プロテスタント神学者Langdon Gilkeyは「キリスト教の考えは、人間の技巧の宇宙への、原始的な擬人化した投影などではない。人間の技巧からの類比を系統的に拒否する」と書いた。神を時計職人と呼ぶのは、神に対する過小評価である。

3. Evolution explains original sin and the Christian model of human nature. As a social primate, we evolved within-group amity and between-group enmity. By nature, then, we are cooperative and competitive, altruistic and selfish, greedy and generous, peaceful and bellicose; in short, good and evil. Moral codes and a society based on the rule of law are necessary to accentuate the positive and attenuate the negative sides of our evolved nature.

3. 進化論は現在と、人間性のキリスト教モデルを説明する。社会的霊長類として、我々はグループ内の友好とグループの間の敵意を発展させた。本質的に、我々は強調的であって競争的である。そして、利他的であり、利己的である。そして、貪欲であり、気前が良い。そして、平和的であり、好戦的である。要するに善であり悪である。倫理規範と法の支配に基づく社会は、我々の進化する性質の良き面を強化し、悪しき面を弱めるために必要なのだ。

4. Evolution explains family values. The following characteristics are the foundation of families and societies and are shared by humans and other social mammals: attachment and bonding, cooperation and reciprocity, sympathy and empathy, conflict resolution, community concern and reputation anxiety, and response to group social norms. As a social primate species, we evolved morality to enhance the survival of both family and community. Subsequently, religions designed moral codes based on our evolved moral natures.

4. 進化論は家族の価値を説明する。次のような特徴は家族と社会の基盤であり、人間と他の社会的哺乳類で共有されている:所属と結合、協力と相互関係、同情と感情移入、競合解消、コミュニティ懸念と評判不安とグループ社会基準への反応。社会的霊長類種として、我々は家族とコミュニティの生き残りを強化するために、倫理を発展させた。その後、宗教は我々の進化した倫理的性質に基づいて倫理規範をデザインした。

5. Evolution accounts for specific Christian moral precepts. Much of Christian morality has to do with human relationships, most notably truth telling and marital fidelity, because the violation of these principles causes a severe breakdown in trust, which is the foundation of family and community. Evolution describes how we developed into pair-bonded primates and how adultery violates trust. Likewise, truth telling is vital for trust in our society, so lying is a sin.

5. 進化論はキリスト教の倫理指針を説明する。キリスト教の多くの倫理は、特に真実を話すことと婚姻の忠実さのような人間関係に関連している。というのは、これらの原則違反が家族とコミュニティの基盤である信頼を深刻に破壊するからだ。進化論は、いかに我々が一夫一婦な霊長類に進化したか、そして不倫がどのように信頼を冒涜するかを説明する。同様に、真実を話すことは我々の社会における信頼にとって不可欠なので、嘘をつくことは罪である。

6. Evolution explains conservative free-market economics. Charles Darwin's "natural selection" is precisely parallel to Adam Smith's "invisible hand." Darwin showed how complex design and ecological balance were unintended consequences of competition among individual organisms. Smith showed how national wealth and social harmony were unintended consequences of competition among individual people. Nature's economy mirrors society's economy. Both are designed from the bottom up, not the top down.

6. 進化論は保守的自由市場経済を説明する。チャールズ・ダーウィンの自然選択は、アダム・スミスの見えざる手と完全に一致する。ダーウィンは、複雑なデザインと生態系のバランスが、いかにして、個々の生物の競争の予想外の結果として生じるかを説いた。スミスは、国富と社会的調和が、いかにして、個人の間の競争の予想外の結果として生じるかを説いた。自然の経済は社会の経済とよく似ている。いずれもトップダウンではなく、ボトムアップにデザインされている。

Because the theory of evolution provides a scientific foundation for the core values shared by most Christians and conservatives, it should be embraced. The senseless conflict between science and religion must end now, or else, as the Book of Proverbs (11:29) warned: "He that troubleth his own house shall inherit the wind."

進化論は、大半のキリスト教徒と保守主義者によって共有される中心的価値について、科学的基盤を与えるので、これを受け入れるべきだ。科学と宗教の無意味な対立は終わるべきである。さもなくば、旧約聖書箴言11章29節の警告するように「家に煩いをもたらす者は風を嗣業とする者。愚か者は知恵ある人の奴隷となる」


Michael Shermerの語る神学は、進化論を政治的保守とキリスト教を整合させる。インテリジェントデザインの父たるPhillip Johnsonやインテリジェントデザイン理論家Dr. William Dembskiが語る神学は進化論を敵視する。

これは19世紀の欧州における進化論のあり方と何ら違っていない。J.H.ブルック[Amazon]によれば、ダーウィンの進化論を論拠にしたのは、自由放任の資本主義(p.316)・社会主義(P.319)・Paleyの設計説(p.343)・神学的自由主義(p.339)・マルクス(p.318)など。相容れぬはずの思想たちが同じダーウィンの進化論を論拠にした。
米国の反進化論州法を成立させることに貢献したWilliam Jennings Bryan[wiki]は民主党員である。彼は自由放任主義に反対する立場から、進化論を敵視した。

結局は、いかなる神学を持つかによる。ただ、アウグスティヌスのような紀元400年頃の教父たちの立場に立つなら、Michael Shermerの語る神学の方を選択すべきだろう。

==>忘却からの帰還:創世記を字義通り解釈することは...

アウグスティヌス (著), 片柳 栄一 (翻訳):アウグスティヌス著作集 第16巻 創世記注解, 教文館,1994 (Amazon ) 第1巻第19章39 p.35

地のことについて、天空のことについて、星辰の運動や回転あるいはさらにその大きさや距離についてさえも、また太陽や月の蝕について、年月や季節の周期について、動物や植物や石やその類の他のものの本性について、キリスト者でない人が、きわめて確実な理性と経験によって支持された知識を持っていることがしばしばである。キリスト者がこうした事柄について、いわば聖書に基づいて語ると言いながら戯言を語るのを他の人が聞き、天地の相違とよく言われるような誤りを犯しているのを見て取り、笑いを禁じえなくなるなどというのは、きわめて見苦しいことであり、有害であり、つとめて避けるべきことである。誤った人が嘲笑されるというのは、それほどおぞましいことではない。しかしわれわれの聖書の記者が、[教会の]外にいる人々から、このようなことを考えていたと信じられ、いわば無学の人々として批難され、唾棄されるなら由々しきことであり、われわれがその救いのために心を尽くしているこれらの人々にも有害な結果をもたらすことになろう。というのも[教会の]外にいる彼らが最もよく知っている事柄に関して、キリスト者の数のうちにあるある人が誤ったことを言っており、われわれの聖書から、自分で虚しい考えをつくりあげ、主張しているのを知るなら、どうして彼らは死人の甦りや永遠の生への希望や天の御国についての聖書の証言を信じるようになるだろうか。
posted by Kumicit at 2006/11/22 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Skeptic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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