2012/07/28

JEPXの価格をちょっと見てみる

現在の日本の卸電力取引所(JEPX)の一日前(Day Ahead)市場は、30分単位の48個の商品を前日に取引する形になっている(昨秋からは時間前取引も追加)。完全自由化と異なり、売手も買手も、「価格と量」を入札する(完全自由化では買手は購入量のみ)。電力会社間の送電線容量を超える取引が発生した場合は、市場を分断して、価格及び落札者を決定する(米国PJMなどは、はるかに狭い領域に分断される)。

2005年の取引開始の頃は、電力会社は強制的に売買入札させられていた。なんというか経済合理性を無視した演劇みたいなもの。でも、2007年頃には、自社の発電コストの高い発電機よりも、安く調達できる場合は市場から調達するようになり、普通の市場になっている(とある電力会社の企画部門によれば)。

で、その価格だが、詳細は年会費31万5000円のJEPX情報会員にならないと入手できない。個人の趣味で買うには高いので、時間帯及び分断市場を平均化した、無償公開の一日前市場価格を見てみることにする。
  • DA-24:システムプライスの24時間単純平均値
  • DA-DT:8時から22時までのシステムプライスの単純平均値
  • DA-PT:13時から16時までのシステムプライスの単純平均値

JEPX_DA24_20120723.png
JEPX_DADT_20120723.png
JEPX_DAPT_20120723.png

特に何がどうということもない2007年9月21日のピークタイムに60円/kWhを記録している。(完全自由化ではないので)買手も価格を入札するのだが、それでも暴騰することあるのは注目に値する。その後、2009年は約定量はそこそこあるものの、電力需要そのものが経済不調で少な目に推移していたため、価格はわりと低迷。
JEPX_DAQQ_20120723.png

東京電力の福島第一と福島第ニの脱落、東北電力の女川及び複数の火力発電所の脱落により、需給逼迫後の2011年には、価格水準そのものも上昇し、暴騰する回数もかなり多くなっている。

この時期以前に契約された長期先物契約は、契約更改までは、このような市場の価格水準とは無関係。しかし、契約更改時に、市場価格から乖離した低価格で契約継続することはないだろう。
posted by Kumicit at 2012/07/28 07:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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