2006/12/12

Truth in Scienceが省略した部分

英国の創造論団体であるTruth in Scienceがばらまいた教材にあるの元記事は英国Education Guardianの2005年9月12日の「A design for life」である。ただし、何故か前半だけが引用されている。

引用されなかったところが、Behe自らは神と信じるデザイナーだが、「天使、あるいはある種の悪魔的な力、なんらかのニューエイジパワー」でもOKだと発言した部分。

ということで引用されなかった部分を見てみることにする。

John Sutherland: Is there a bottom line in microscopic terms - a ground level below which you can't get any further into the structure of matter?
微視的な面でこれ以上、物質構造に立ち入れない限界線がありますか?

Michael Behe: Yes. We're at the molecular level of biology and from physics we know that's where it ends.
はい、分子レベルの生物学で限界であり、物理学により、我々の限界線であることがわかっています。

JS: And the baseline is irreducible complexity?
限界線は還元不可能な複雑さですか?

MB: Exactly.
まさに、その通りです。
と2005年9月に言っているのだが、2003年にはNick Matzkeが分解している:

==> Matzke, N. J. 2003. Evolution in (brownian) space: a model for the origin of the bacterial flagellum. http://www.talkdesign.org/faqs/flagellum.html or http://www.talkreason.org/articles/flag.pdf (see also 'Background to "Evolution in (Brownian) space"', http://www.talkdesign.org/faqs/flagellum_background.html or http://www.talkreason.org/articles/flagback.cfm)

ついでだが、インテリジェントデザイン理論家たちは、バクテリアの鞭毛の40個のタンパク質のうち30はユニークだと嘘つき宣伝している。しかし、実際には、異体同形が「27あり・12未解明・1なし」とNick Matzkeは指摘している[Nature掲載の, Panda's Thumb関連エントリ]。

しかも、1996年のBehe発表な還元不可能な複雑さについて、今は亡き創造科学の父Henry Morrisと仲間たちは"若い地球の創造論"の概説書"Scientific Creationism"(1974,1985)で概要を書いている:
The problem is simply whether a complex system, in which many components function unitedly together, and in which each component is uniquely necessary to the efficient functioning of the whole, could ever arise by random processes. The question is especially incisive when we deal with living system. Although inorganic relationships are often quite complex, living organisms are immensely more so. The evolution model nevertherless assumes all of these have arisen by chance and naturalism. [Scientific Creationism, 2nd edition, 1985 page 59]

問題は、多くの部品がいっしょになって機能し、全体が効率的に機能するには個々の部品が代替不可能な必須である複雑なシステムが、ランダムな過程によって形成されるかどうかだ。この問題は我々が生物システムを取り扱うときに痛烈な問いとなる。非有機的な関係でもしばしば複雑になるのだから、生物でははるかに複雑になる。進化モデルはこれらすべてが、偶然と自然主義によって起こったと仮定する。
分解可能な"還元不可能な複雑さ"にして、鞭毛を構成するタンパク質について嘘つきなインテリジェントデザイン理論家たちにして、創造科学の既出品。

とはいえ、このパラグラフは省略しても全体に影響はないかもしれない。しかし、次は意味が深いところなのだが:
JS: It's no secret that you are a Catholic. But, as I understand it, your scientific theory does not predicate God in any form whatsoever. You've suggested that the designer could even be some kind of evil alien. Is that right?
あなたがカトリック教徒であることは秘密ではありません。しかし、私の知るところでは、あなたの科学理論はいかなる形の神についても断言していません。あなたは(インテリジェント)デザイナーが邪悪な異星人のようなものであってもよいと示唆されています。それは本当でしょうか?

MB: That's exactly correct. All that the evidence from biochemistry points to is some very intelligent agent. Although I find it congenial to think that it's God, others might prefer to think it's an alien - or who knows? An angel, or some satanic force, some new age power. Something we don't know anything about yet.
そのとおりです。生化学の観点からの証拠はすべて、何らかの高度に知的な作用です。私はそれを神だと考えるのが好みだが、誰かはそれを異星人だと考えたいかもしれない。それは知ったことではありません。天使、あるいはある種の悪魔的な力、なんらかのニューエイジパワーでも。まだ私たちはそれについて何も知ってはいないのです。

JS: But you're not reinserting God into the mix?
しかし、あなたは神を再度、理論に挿入しようとしていませんか?

MB: No, we focus simply on the observation of design. We don't say the designer is God.
いいえ、私たちはデザインの観測にのみ焦点を合わせています。私たちはデザイナーが神だとは言いません。
インテリジェントデザイン理論家(といっても、DembskiとBeheとMeyerとLuskinくらいか?)たちの中で、ただひとりデザイナーは悪魔でも異星人でもいいと主張する。それは創造論者の好みではないネタなので、省略か?


JS: Do you detect among scientists that this is a topic of respectable professional interest?
科学者にとって専門的に興味をもつ話題だという科学者をご存知ですか?

MB: Right now it's a topic that scientists are interested in but can only talk about in hushed tones behind closed doors. When I go to meetings people come up to me furtively to talk about it.
現時点では、科学者たちは興味があるが、密室でひそひそな話をする程度の話題です。会議などに私が参加すると、それについて話すために、人目を忍んで私に近づいてきます。

JS: Has the National Academy of Science taken an interest?
JS: It takes a position strongly condemning it. The recently retired president, Bruce Albert, sent a letter to all 2,000 members of the NAS essentially naming me.
全米科学アカデミーは興味を持ちましたか?それは、強くそれを非難している立場をとっています。最近引退した代表Bruce Albertは、基本的に私を指名しているNASの全2,000人のメンバーに、手紙を送りました。

JS: Did Galileo come to mind?
ガリレオは思い浮かびましたか?

MB: Yeah. In a way it's flattery
はい。ある意味では、それはお世辞です
なんてことを言っているが、1996年に出版した代表作「Darwin's Black Box(Amazon.com)では:
The result of these cumulative efforts to investigate the cellto investigate life at the molecular levelis a loud, clear, piercing cry of ‘design!’ The result is so unambiguous and so significant that it must be ranked as one of the greatest achievements in the history of science. The discovery rivals those of Newton and Einstein, Lavoisier and Schrödinger, Pasteur and Darwin....

これらの積み上げられた細胞の探求成果、すなわち分子レベルでの生命の探求成果は、大きなそして明白な叫び声"デザイン!!"をあげている。この結果は、あまりに明白で、あまりに顕著であり、科学史上で偉大なる成果のひとつにランクされるべきものである。この発見は、ニュートンとアインシュタイン、ラボアジェとシュレディンガー、パスツールとダーウィンに匹敵する。
と自画自賛なことを書いている。かなーり割り引かないと実態には近くならないようだ。

タグ:創造論 英国
posted by Kumicit at 2006/12/12 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ID: General | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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