日本卸電力取引所が扱う電力取引には、30分単位の電力を取引するスポット市場(前日9:30に入札)・時間前取引(発電不調と需要急増の場合にのみ利用できる取引で、取引方法はスポットと同じ)と、月及び週単位の先渡定型市場・先渡掲示板市場がある。
のスポット市場の取引方式では日本卸電力取引所: 取引ガイドにあるように、売りと買いともに「価格と量」を入札し、「X円以下なら買う」という「買い入札量」と「X円以上なら売る」という「売り入札量」が一致する「X円」を約定価格(システムプライス)とする。
この連系線制約を考慮しない約定処理で、託送可能量を超える取引が成立した場合、市場は分断され、連系線の両側で、約定の処理が行われる。
で、これらに関するデータだが、公開状況は日本卸電力取引所 市場情報提供サービス規程によれば、以下の通り:
項目 | 公開情報 | 会員 |
システムプライス(仮想的約定価格) | 前々月分のみ | 取引後 |
分断された市場ごとの約定価格 | 取引後 | 取引後 |
約定量 | 前々月分のみ | 取引後 |
分断された市場ごとの約定量 | 非公開 | 取引後 |
売入札量 | 翌日 | 取引後 |
買入札量 | 翌日 | 取引後 |
個々の売入札価格と量 | 非公開 | 非公開 |
個々の買入札価格と量 | 非公開 | 非公開 |
情報会員は「入会金 105,000円(税込)年会費 315,000円(税込)」なので、ちょっと買う気にならない。しかも、個々の入札価格と入札量は手に入らない。(ちなみに、貸借対照表によると、情報会員は10社)
公開情報だけでも、市場分断を考慮しなければ、売買入札量とシステムプライスの関係を見れる。
これからは「売入札はほぼ100%取引成立している。27\/kWhあたりまでは、取引成立の率によらず出現しているが、30\/kWhとなると、取引は99〜100%成立したときのみ。このことは、売入札の価格上位1%程度が高価格をつけていたことを示唆している」といったことは言える。
これより踏み込んだことを言うためには、個々の入札(価格と量)が必要だが、取引会員58社を含めて、公開されていない。
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