しかし、それほど遠い話ではない。本日紹介するのは、50年前の新聞記事で、ドイツのウィッチドクターの話。
21世紀のアフリカのウィッチハンティングのような凄惨な状況ではないが、そこそこ迷信深い世界があったようである。
「ほどなく人類は月を制するだろう。しかし、人類はいつになったら、魔法と黒魔術を信じるのを止めるのだろうか」とJohann Kruseは言う。
欧州で最後に人々がスイスで魔女を焼き殺して170年。しかし、Kruseによれば、旧世界の特にドイツ語圏で、迷信は今も生きている。彼は知っている。退職教師Kruseは40年間にわたり、この問題をおいかけてきた。そして、私設Hamburg「近代ウィッチ熱狂アーカイブ」の創設者である。Kruseは、迷信に対する最高の兵器は、その悪い影響に対する言論を広めることだ。しかし、彼は自らの苦戦を認めている。
Hessian Criminal Police Gazetteの最近の記事は「犯罪的迷信が過去50年で、もっとも頻発している」と言う。
Kruseは言う「中世暗黒時代のように、ドイツのほとんどすべての町にウィッチがいて、すべての村に悪魔の下僕がいる。この熱狂が多くの人々を倫理的に腐敗させている。熱狂は家族を破壊し、幾千の無力な女性や母親に対する断罪と、社会的差別につながっている。私は実例の証拠を持っているが、迷信のせいで、どれだけの数の人々が、自殺し、廃人になり、精神を病み、性犯罪の被害に遭い、死体を冒涜され、どれだけの動物が残虐に殺されたかわからない」
ローマカトリック教会から公式に賞賛された本で、Dr. Herbert Auhoferは、ウィッチクラフト関連で毎年最大70名がドイツの法廷に立っていると推定している。被告は数万のウィッチドクターの一部に過ぎない。ウィッチドクターたちは、1回の"治療"あたり、200ドルを受け取って、ドイツで不法医療を続けていると考えられている。
Kruseは言う「被告の多くは奇妙に軽い判決で放免されている。同じ村人にウィッチだと断罪された女性たちの多くは、断罪する者たちを怖れて行動をとれない。彼女たちは法廷に行くより、殴られたり窓を壊されたりする方を選ぶ。」
Kruseは助けを求める女性たちから手紙を受け取ると言う。「しかし、司法にもできないことを、私にできるだろうか」と問う。昨夏(1962)には、26歳のバヴァリア人労働者が、ウィッチだと嫌疑をかけられた人物の家に火をつけて、放火と故殺未遂で懲役3年の判決を受けている。
1959年にはスイス人男性が、義妹を撲殺して有罪判決を受けた。彼は彼女が自分に、いわゆる「モーゼ第6と第7の書」による魔法をかけたと主張した。
Kruseは「この本は専門家から捏造だと判定されている」と言う。オカルト犯罪についての本を執筆したドイツ連邦犯罪警察本部のDr. Herbert Schaeferは、「モーゼの書」が迷信に少なからぬ影響を及ぼしていると言う。
この書は今もドイツで売られており、ウィッチ祓いの方法が詳細に書かれている。ドイツ動物保護連盟の元代表Will Emrichによれば、この書には、多くの動物を痛めつけて殺すことにつがなる話を載せている。
「黒猫の耳を斬って、流れ出た血をパンにかけて食べると、熱がひく」
「生きたヒキガエルを2つに引き裂く。燃やして灰にする。ブランデーに混ぜると、アルコール中毒に効く」
「生きたモグラを数匹ローストして、パウダーを作る。少量のパウダーが癲癇に効く」
ウィッチ除けは今もある。子供の棺からとった赤熱した釘、牡牛の暖かい糞、死体の骨の粉。
ウィッチが死に、死体を水で洗うと、その水が毎晩、扉から漏れ出すと言われている。
[Reading Eagle - Jun 16, 1963 Page 3]