ブラウンガス情報サイトにあって記事で、燃料電池にブラウンガスは使っても意味がないといっている:
[Tom Napier: Brown's Gas and Energy]入出力ゼロの永久機関を作ろうにも、電圧が足りない。
It has also been proposed to use Brown's Gas in a fuel cell. Unless it is proposed to store the Brown's Gas, this is an inherently absurd idea. A fuel cell is fundamentally an electrolysis cell run backwards. That is, the same relationship between current passing and mass of input and output gas applies, less inevitable losses. If the oxygen and the hydrogen were generated separately, which they are not, an ideal fuel cell would generate a given current using exactly the same input gas flow as would be supplied by electrolyzing water with the same current. Unfortunately, the electrolysis cell requires an input voltage of around 1.7 volts while a practical hydrogen/oxygen fuel cell generates 1.23 volts in theory and perhaps 0.7 volts in practice. Thus the ratio of output electrical power to input electrical power would be roughly 42%. Operating such a system has no conceivable utility.
燃料電池にブラウンガスを使うという提案がなされたことがある。しかし、ブラウンガスを貯蔵するというのでないかぎり、これは本質的にダメな考えである。燃料電池は基本的には電気分解装置を逆回転させたものである。すなわち、流れる電流と入力される質量と出力されるガスの関係は同じであり、小さな不可避の損失がある。実際にはそうではないが、酸素と水素が別々の生成されたとき、理想的な燃料電池は、電気分解に使われた電流と水とまったく同じ量の電流と水を生成する。残念ながら電気分解には1.7V程度の電圧が必要だが、実用的な水素・酸素燃料電池では理論的には1.23Vしか生成できず、実際にはおそらく0.7V程度である。したがって、入力される電力に対する出力は約42%である。そのようなシステムは実用性がない。
また、ブラウンガス支持サイトでは、燃料電池とブラウンガスは無関係と記述:
[Brown's Gas and Fuel Cells Compared on Brown's Gas]
Brown's gas and fuel cells are often spoken about in the same breath although they entail very different technology. Brown's gas involves the onboard generation of oxyhydrogen from water while fuel cells involve hydrogen (or another substance like methanol) being manufactured outside the vehicle, then pumped into the car's tank where it will then be used to generate electrical power.
ブラウンガスと燃料電池は同じ文脈で語られることが多いが、まったく違う技術を使っている。ブラウンガスはオンボードで水から酸水素ガスを生成するが、燃料電池は外部で生成されて、自動車に供給された水素あるいはメタノールを使って、発電している。
[jibbguy: "Brown's Gas ("HHO") : Clean, Cheap, and Suppressed Energy" (2008/04/15) on OpEdNews]
Another misnomer about Hydrogen gas power relates to confusing HHO with Electric Fuel Cell technology: Systems such as the BMW one use an electric fuel cell that pushes 99.999% pure pressurized Hydrogen through a special membrane, which releases electricity to power DC motors. This has nothing to do with burning Brown's Gas… Which can be used in standard internal combustion or Diesel engines with little or no modifications. Electric fuel cells are currently extremely expensive, do not last very long before being contaminated, and require the "Five Nines" purity of Hydrogen. A large infrastructure is needed, and the gas is stored at very high pressures.
もうひとつの水素ガスパワーについての誤りはHHOと燃料電池技術の混同に関係している。BMWのようなシステムは、99.999%純粋水素を特殊な膜を通して発電して直流モータに供給する燃料電池を使っている。これはブラウンガスを燃やすこととは全く関係がない。ブラウンガスは普通の内燃機関や少し変形したディーゼルエンジンなどで使える。燃料電池は現時点では非常に高価であり、コンタミが起きる前に使えなくなり、99.999%の純度の水素が必要である。大規模なインフラ設備が必要で、ガスを高圧で保存しなければならない。
国内の研究報告では論拠不明な記述あり
査読つき論文で、ブラウンガスと燃料電位について取り上げた例は見当たらない。環境庁の研究報告が1本あり、これによれば、燃料電池にブラウンガスを使える可能性は小さい:
[坊垣和明: "水素代替エネルギーとしての新水素・酸素混合ガスの実用化技術開発" (2005) ]PEFCについて実験をしたように見える記述だが、持続性に問題があり、効率は純粋水素を上回れることがないわけでないという程度。
1.水素酸素混合ガス生成技術の確立
混合ガス発生装置の改造で20%の発生効率向上が確認できた。当初の発生装置と比較すると効率は約2倍に向上している。しかし、燃焼させた場合に取り出せるエネルギーでの総合効率(燃焼エネルギー/発生に投入したエネルギー)は約50%である。
...
4.水素・酸素混合ガスの燃料電池への適応
混合ガスを各種の燃料電池へ導入するための検討を行う。
(1)燃料電池への混合ガス導入可能性の検討
混合ガスを固体酸化物型燃料電池に導入した場合、水素と酸素の反応性が非常に高く、爆発性の反応が予想されるため、制御上および安全上の点から、導入は難しいと考えられる。
(2)各種燃料電池への適用試験
- 固体高分子型燃料電池(PEFC)における特性把握:固体高分子型燃料電池による実験の結果、一部の条件においては純水素よりも高い効率で発電できることがわかった。しかし、持続性に課題が残ることも判明した。
- 固体酸化物型燃料電池(SOFC)における特性把握:固体酸化物型燃料電池は、燃料極と空気極の酸素分圧差に基づき発生する起電力により、電解質中の酸化物イオン(=酸素イオン)の移動を通じて、燃料を電気化学的に酸化することにより発電を行うものである。通常、これらの反応は1000℃近い高温で行われる。
したがって、安定な制御を行うことが可能で、混合ガスを固体酸化物型燃料電池に導入することが出来たとしても、化学的な酸化反応(=燃焼)が優先的に起こるだけで、電気出力を取り出すことは難しいと考えられる。
これ以外に、機会学会で酸水素ガスに言及した例があるが、論拠が示されていない:
2604 超振動流水を用いた電解生成酸水素ガスの特性 (I)考えられる論拠は、坊垣[2005]のみ。
Characteritics of Oxygen Hydrogen Mixing Atomic Symmetrized Aeration (I)
有冨正憲[東京工業大学]・伊藤大輔[東京工業大学]・大政龍晋[日本テクノ]
電解槽内の電極間に高速な振動流を加えることにより新しい酸水素ガスの発生技術を確立するとともに、この酸水素ガスは圧縮でき燃料電池に利用できることが判明したので、本報では、電解槽内の振動流の流速分布の測定結果、及び、酸水素ガスの圧縮特性と、シリンダ内に高圧で貯蔵した場合の金属壁からの透過によるリークを調べた結果を論じる。
...
水素ガスの圧縮貯蔵技術の開発を目指し、電解槽内の電極間を狭め、電極間に高速な振動流を加えることにより新しい酸水素ガスの製造技術を確立した。そのガスの分子構造を計測することはできなかったので、特性を調べた結果、以下のことが明らかになった。
(1) 新しい酸水素ガス発生装置に用いている超振動 α-攪拌機は800Wの電力で200m3/h以上の高流量が得られる。
(2) 酸水素ガスは安全に15MPaまで圧縮できる。
(3) 酸水素ガスは10MPaの高圧状態でも金属壁から漏洩は生じず、金属製のタンク等で安定に貯蔵できる。
なお、予稿のコピーはこれとこれ。
とても怪しい、完全にフリエネな主張を行っている発表者が言及した例もある:
堀内道夫: "ブラウンガスを活用した最新溶融技術の開発状況" (2002/07/05) on 汚染土砂等超難度資源化技術セミナー]ただし、ここでも論拠は示されていない。
そういうときにブラウンガスというのが非常に近い存在になるのです。というのは、PEFC型の燃料電池にいきなりブラウンガスを入れてちょっとした工夫をすると、それで小さな豆電球がつきますから、水素を分離しなくてもいけるという実験結果もあります。
...
これはまたちょっと面白いことですが、それだったら、なぜいきなり電気を使わないのかということになるわけです。、これはカロリー計算では、1のエネルギーを入れて潜在エネルギーが3のエネルギーを持ったブラウンガスが出ているからです。
ブラウンガス on Rytnic's World
- Stanley Meyerの詐欺有罪報道[Sunday-Times 1996/12/01]
- 1998年のStanley Meyerの死亡 [Columbus Dispatch 2007/07/08]
- Patrick Kellyの「水を水素燃料に変換する」詐欺有罪[ニュージャージー州プレスリリース, 2006/11/09]
- 元テレビ局経営陣John Kanziusの塩水燃料[Nature 2007/09/14]
- wikipedia:水燃料自動車 [water fuelled car]
- wikipedia:酸水素ガス[Oxyhydrogen]
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